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幕末に思いを馳せながら、おでんや串焼きでゆるりと一献

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「寺田屋」と聞いて、すぐに京都・伏見の旅籠を思い浮かべるのは、かなりの歴史好き・幕末ファンでしょう。幕末期、薩摩藩士による騒動や坂本龍馬が襲撃されるなど2度にわたって事件の舞台になり、多くの歴史小説にもその名が出てきます。

そんな、歴史の舞台をイメージした居酒屋が大名の路地にある「寺田屋」で、その2号店が「寺田屋 すみ処」です。今回は大人がゆっくりくつろげる店として、焼鳥をメインに提供している「すみ処」を訪れました。

寺田屋ケース

ビルの1階ながら靴を脱いで上がる店内は、古い旅籠屋を思わせる内装。壁には帯刀し羽織袴にブーツを履いた、龍馬の肖像写真が飾られています。磨き込まれて黒光りする床に設えられた客席はカウンターから座卓まですべて掘りごたつ式で、ゆっくり腰を落ち着けて飲むにはもってこいです。
カウンター正面のネタケースには、丁寧に仕込まれた串焼きから牡蠣やホタテなどの魚介類、新鮮な野菜が綺麗に並んでいました。

寺田屋沖漬け

まずは一献と日本酒の銘柄を眺めていると、「ちょうど今日いいヤツが入ったんですよ」と店長の徳永興二さんが箱から取り出してくれたのが「鍋島」の純米吟醸。佐賀といえば、幕末に「薩長土肥」と呼ばれた維新の雄藩の一つ。おそらくは土佐の龍馬とも関わりがあったであろう肥前の酒を、自家製で漬け込んだ「やりいか沖漬けウニ添え」(1,200円)をつまみながらゆるりと手酌で飲りはじめました。

寺田屋おでん

目の前のネタケースで目にとまった牡蠣を指差しながら注文すると、「生でも焼きでもいけますが、おでんもおすすめですよ」と、徳永さん。その声にしたがい、「おでん」(1個200円~)を盛り合わせでお願いしました。名残りを迎えた諫早の小長井牡蠣は冬を越えてプリップリに身を太らせ、今がもっとも美味しい時期。大粒の身を噛んだ瞬間に磯の香りがジュワッと広がり、何ともミルキーな甘みがたまりません!

おでん種は大根、こんにゃく、玉子などの定番から、牛スジやテール、さらにトマトチーズといった変わりダネまで揃っています。アジコにドンコ、昆布、鰹節、鯖節などでとった出汁は黒い関東風で、ふくよかな味わい。4月とはいえ寒の戻りがあったこの日、体の内からポカポカとなりました。

寺田屋焼鳥

「すみ処」の名前どおり、ネタケースの隣の焼き台では赤々と炭が熾されています。串焼きは1本150円からで、今回は「てきとう串盛り」(5本1,280円)を注文しました。備長炭でじっくり焼かれて出てきたのは、豚ばら、きも、かわ、レタス巻き、厚揚げの5種類。ネタによって塩焼きかタレ焼きの味つけで、前者は日本酒、後者は焼酎との相性が良さそうです。

寺田屋焼めし

おでんに焼鳥と、王道の居酒屋メニューを制覇した後ですが、シメに外せないのが創業以来の名物メニュー「牛ねぎ焼めし」(750円)です。牛肉とご飯をパラリと炒め、たっぷりのネギとゴマを振りかけた焼めしをパクパク食べながら、途中ではさむ紅ショウガが絶妙なアクセントに。麺好きには「焼めん」(700円)もあるので、こちらもオススメです。

寺田屋店内スタッフ

店に入った時刻はまだ明るかったのですが、店を出る頃にはとっぷりと日が暮れ、外に出ると入口に掲げられた二つの白提灯が夜道に浮かび上がっていました。今やすっかり若者の街というイメージの強い大名ですが、アラフォー以上の世代でもゆっくりとくつろげる店が残っているのは嬉しい限り。次なる河岸を求めて、提灯を後にしました。

寺田屋外観
店舗名:寺田屋 すみ処
ジャンル:居酒屋、焼鳥
住所:福岡市中央区大名1-4-22 ドリーム大名1F
電話番号:092-714-4886
営業時間:17:30~OS23:30
定休日:不定
席数:カウンター12席、掘りごたつ19席
個室:2~4名
メニュー:串焼き150円~、串盛り(5本)1,280円、おでん200円~、やりいか沖漬けウニ添え1,200円、酒盗じゃがバター580円、塩くじら炙り330円、牛ねぎ焼めし750円、焼めん700円
URL:https://teradaya-fukuoka.com

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この記事を書いたひと

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