美野島で発見！イタリアンのシェフが本気で作る絶品和製パスタ

スマホのマップアプリで検索するも、「本当にここで合ってる？」と疑ってしまうような立地です。美野島陸橋の細い側道を歩いていくとアパートが建ち並ぶ一角にのぼりが見えてひと安心。今回訪れた「小鉄ノスパゲテイ」はそれぐらい隠れ家的です。昼夜ともにほぼ同じ営業スタイルですが、夜は若干メニューが増えます。今回は夕方、少し早いディナーでお邪魔しました。

オープンしたのは今年4月1日。屋号に“街のパスタ屋”と冠しているように、メニューの柱はスパゲティです。なかでもランチ、ディナーともに用意しているのが「小鉄ノミートソース」と「小鉄ノナポリタン」の2種類。それぞれスパゲティの王道なのでなんとなくイメージできますが、店主の小鉄さんから「おすすめです」と太鼓判を押され、注文するスパゲティはこの2品に決めました。

ただメニューに載っていた冷菜も気になり、2品お願いすることにしました。

冷菜はあらかじめ調理されているのですぐ提供されるのがうれしいですね。1品目は「鶏ムネマスタードマヨ」（550円）。マスタードの風味、辛味、ケッパーの酸味、ピンクペッパーの香りがいい塩梅で、ついついお酒が飲みたくなる味わい。「夜はもちろん昼でも軽く一杯は大歓迎で、それもありカジュアルに飲める微発泡缶ワインやワインベビーボトルを準備しています」と小鉄さんは話します。

そして２品目は冷菜の中でも人気No.１、２に入るという「小鉄ノローストビーフ」（990円）。牛モモ肉を低温調理しており、しっとりと柔らかな食感です。ハチミツなどを隠し味に加えているという醤油ベースの特製ソースが食欲を引き立てます。ソースにあらかじめ入っている粒マスタードの風味もアクセントになっており、こちらもワインに相性バッチリです。ちなみに冷菜はすべてテイクアウトができます。
そうこうしているうちにおまちかねのスパゲティができたようです。

まずは「小鉄ノナポリタン」（990円）から。具材はおなじみのベーコン、タマネギ、ピーマンですが、ピーマンが生なことに少し驚きです。ただ薄くスライスしているので、生であることはまったく気にならず、むしろフレッシュな香りが食欲をそそります。さらに一口目からベーコンのスモークの風味をしっかり感じられます。聞くとベーコンは自家製で、「薩摩茶美豚というブランド豚のバラ肉を使っています。仕込みから完成までに１ヵ月間ほどかかりますね」と小鉄さん。ほのかにカレー風味のスパイス感も鼻に抜け、さながら“大人のナポリタン”ですね。

次は「小鉄ノミートソース」（990円）です。ナポリタンもですが、グラナ・パダーノの粉チーズとタバスコを出しながら、「グラナ・パダーノは瓶に入っている分、すべてかけるのがおすすめ」と小鉄さん。言葉通り、全部かけて食べてみたところ、濃厚なチーズの風味が加わり、より味わいの深みが増しました。ミートソースもよくあるトマトベースのものではなく、赤ワインでじっくり煮込んだボロネーゼを思わせるテイストです。一口食べると幾重にも重なったような合いびき肉の深い旨味、ナツメグやクローブといった香辛料の香りを感じ、こちらも当初のミートソースのイメージを越えてきます！

店主の小鉄さんは高砂で18年も「IL GUFO」というイタリアン料理店をやっていたそうですが、今回のリスタートについて「前の店はトラディショナルなイタリア料理のスタイルで、料理人として自分のこだわりを前面に出していたんですけど、それだとお客様を置いてけぼりにしてる気がし始めて、もっと大衆的な“街のパスタ屋”というスタイルでやりたいと思ったんです」と話します。

今回は生パスタも茹で時間が3分程度のものを「淡路麺業」という生パスタ専門の製麺業者から仕入れているそうです。その理由を小鉄さんは「乾麺だと茹で時間が長いため、お客様をおまたせしてしまいます。気軽にふらりと来て、サクッと食べて、飲んで帰る、そんな風にご利用いただきたくて、この生パスタを選びました」と話します。

基本的に予約は受け付けていないそうなので、土曜や日曜などは開店直後を狙うのがおすすめ。イタリアンのシェフが本気で作った大衆的なスパゲティを気軽に楽しめる注目の新店ですよ。

• 陶器市で賑わう有田で焼物と話題のベーカリーに出会う旅
• ハラミ、タン、テールに特化！クオリティにこだわる焼肉店