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福岡の絶品“冷やしラーメン”コレクション2023夏【1】

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梅雨も明け、いよいよ夏本番。暑い日には汗を噴き出しながら、いつもの熱々のラーメンを啜る。というのもオツなものですが、メニューに「冷やしラーメン」を見つけると、やっぱり頼んでみたくなりますよね。そこで、本記事から3回にわたり「2023年夏、福岡のおすすめ“冷やしラーメン”」を今夏初登場のものも含め計6杯紹介していきます。ポイントとしては2つ。第1はざるラーメンや和え麺などの冷やしでなく、しっかりとダシを取った冷製スープを張る“冷やしラーメン”のみをラインナップしていること。第2には「楽しめるのは夏のみ。定番のラーメンを差し置いてでも今食べるべき絶品の冷やしラーメンであること」。初めての店では、看板メニューから入りたくはなりますが、ここで紹介する店はいきなり“冷やしラーメン”でも全然あり。冷製でも各店の持ち味を存分に感じられる名作揃いです。

それでは、まず清水の「麺屋割ぽう ツクリ茸」と六本松の「大島ラーメン あづまや」の冷やしラーメンからいきましょう。

麺屋割ぽう ツクリ茸(清水)

「こんなところに!?」。初めて訪れる時、皆が一様に驚く穴場的立地。清水エリアの小道の奥、那珂川沿いの民家を改装したラーメンと割烹の店です。

「麺屋割ぽう ツクリ茸」外観

2021年10月のオープン以来僕自身たびたび訪れていますが、和食出身の店主・吉原和也さんの独創的なラーメンセンスには舌を巻きます。

「ツクリ茸」天草大王とツクリ茸の塩ラーメン

例えば「天草大王とツクリ茸の塩ラーメン」(1,200円)には、真菰茶の茶葉が浮かべられ、食べ進めるごとに優しく味が変化。さらに別皿で、屋号の由来であるツクリ茸(マッシュルームの和名)のラグー、天草大王のつくねも付けるなど「最後まで飽きがこないように」との仕掛けが楽しいですね。ラーメン丼にル・クルーゼを使っているのも珍しいと思います。さらに、ラーメンをのせる無垢板の盆は吉原さん自身が丸太から切り出して作ったそう。店作り、味作り共に、とてもきめ細やかな気遣いを感じます。

「ツクリ茸」生搾りレモンと天草大王の冷やし醤油ラーメン

そんなこだわりの強い同店ですから、今夏登場した冷やしラーメンも、もちろん個性派。
「生搾りレモンと天草大王の冷やし醤油ラーメン」(1,300円)は、キンキンに冷やした透明のガラスの器にダシ氷もぷかり。各自で搾るフレッシュレモンが添えられた清涼感のあるビジュアルです。

丼と揃えた透明のレンゲですくい、飲んだ瞬間に「うまっ!」となる、冷んやりスープは天草大王をふんだんに使っています。天草大王のガラを約8時間炊き込んだ白湯スープに、翌日鶏挽き肉や昆布などを加えて炊き、濁りをとる「掃湯」(サオタン)の手法でとったスープは、コク深く美味。香味油、レモン果汁がアクセントとなるスープに、小鉢の天草大王のササミを浸して食べるのもいいですね。

「ツクリ茸」内観

冷やしラーメンを満喫した後は、デザートの「真菰茶 ミルクプリン」(320円)がおすすめ。
リバービューの店内で、ゆったりと過ごせるのもお気に入りです。

大島ラーメン あづまや(六本松)

長崎県西海市の大島で50年以上の歴史を誇る麺食堂の3代目・三岳龍太さんが2017年に開業した人気店です。豚骨と鶏ガラの共出しスープと、本店創業者である三岳さんの祖父の時代から自家製にこだわる麺を用いたラーメン、チャンポン、皿うどんがメニューの3本柱。

「あづまや」外観

どれかが突出することなく、3種それぞれに根強いファンが付いているのが「あづまや」のすごいところ。つまり、何を食べてもうまいってことです。これは、夏メニューとしてプラスアルファで加えた「冷やしラーメン」も類に漏れず。

「あづまや」冷やしラーメン赤

この「夏季限定冷やしラーメン」(800円)は、“赤”と“白”があります。ボリューム感のある具材は、サニーレタス、ベビーリーフ、フライドエシャロットに大判の豚肩チャーシュー、さらには黄身が超リキッドな煮卵。柚子ドレッシングのかかった“サラダラーメン”的な風合い、味の方向性もそう表現するのがよく伝わると思うのですが、やっぱりこのスープがうまいですね。豚骨と鶏ガラを乳化させた“肉系白湯”を冷製スープにするのは実は難しく、現に他店の冷やしラーメンでも、しっかりと白濁したスープはあまり見かけません。

「あづまや」冷やしラーメン白

くさみ、えぐみが出ないよう豚骨、鶏ガラの下処理、アク抜きをしっかりと施し、冷やしても脂が分離しすぎないように余分なものは丁寧にすくいながら煮込んでいます。
また、隠し味に豆乳が加えてあるため、まろやかさが増し、飲みやすく仕上がっていますね。
これらにぎやかな具材、“豆乳入り冷製白湯スープ”を見事にまとめているのは、長崎・チョーコー醤油のラーメンダレ。僕は白、赤どちらもいただきましたが、白はより飲み干しやすいライトな冷やし、自家製ラー油がかかる赤も見た目ほどは辛くなく、後味もすっきり。どちらもおいしかったです。
今回紹介した「麺屋割ぽう ツクリ茸」の冷やしラーメンは9月下旬、六本松の「大島ラーメン あづまや」は8月末まで販売していますので、ぜひ食べてみてください。

麺屋割ぽう ツクリ茸
福岡市南区清水2-1-48
092-551-3833

大島ラーメン あづまや
福岡市中央区六本松1-5-17
092-751-3636

上村敏行
1976年鹿児島市生まれ。株式会社J.9代表取締役。2002年、福岡でライター業を開始。同年九州ウォーカーでの連載「バリうまっ!九州ラーメン最強列伝」を機にラーメンライターとして活躍。各媒体で数々のラーメンページを担当し、これまで1万杯以上完食。取材したラーメン店は3000軒を超える。ラーメン界の店主たちとも親交が深く、久留米とんこつラーメン発祥80周年祭、福岡ラーメンショー広報、ソフトバンクホークスラーメン祭はじめ食イベント監修、NEXCO西日本グルメコンテストなど審査員も務める。ラーメンライターとしての活躍はイギリス・ガーディアン紙、ドイツのテレビZDFでも紹介された。「九州の豚骨こそ最強!」を掲げる「RAMEN WONK KYUSHU(ラーメンワンク九州)」主宰https://rwk-j9.com

店舗名:麺屋割ぽう ツクリ茸
ジャンル:日本料理、ラーメン
住所:福岡市南区清水2-1-48
電話番号:092-551-3833
営業時間:11:30~OS14:30、夜は予約制
定休日:火曜
席数:カウンター5席、テーブル12席
個室:なし
メニュー:天草大王とツクリ茸の塩ラーメン1,200円、生搾りレモンと天草大王の冷やし醤油ラーメン1,300円、かしわ飯480円、真菰茶ミルクプリン320円
URL:https://www.instagram.com/tukuritake.1016/
店舗名:大島ラーメン あづまや
ジャンル:ラーメン
住所:福岡市中央区六本松1-5-17
電話番号:092-751-3636
営業時間:11:00~OS14:30/17:00~OS20:00(日曜・祝日11:00~OS17:30)
定休日:木曜
席数:カウンター5席、テーブル12席
個室:なし
メニュー:大島ラーメン700円、チャンポン850円、皿うどん850円、俺のニラそば800円、夏季限定冷やしラーメン赤・白 各800円
URL: https://www.instagram.com/ryuta.azumaya/

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この記事を書いたひと

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