国内外を問わず、いまや多くの人々が夢中になる福岡グルメ。味・伝統・人情と魅力は様々ですが、そこに“景観”という要素を加えたのが、2023年6月開業のザ・リッツ・カールトン福岡(※以下、リッツ)です。
18階のフレンチ「Viridis(ヴィリディス)」や日本料理レストラン「幻珠」、24階のバー&ラウンジ「bay」など、どの店にも高層階ならではの浮遊感・高揚感がたっぷり。今回訪れた「幻珠 by 鮨 将司」もまた、それと同じ空気が薫る注目の鮨店です。
この特殊なロケーションが、「幻珠 by 鮨 将司」を福岡唯一無二の鮨店にしたのは言うまでもありません。筑後和傘をモチーフにした内装も洒脱ですが、何よりカウンターのすぐ向こうに広がる雄大な眺めが絶品なのです。正面に大濠公園、右手に福岡タワー、左手には緑深き山々。リッツは夜景も売りですが、「今日はランチで大正解」と思わせるに十分なパノラマでした。
「私も昼の風景は好きですね」と微笑むのは店長の安部直宏さん。「山側では雨なのに、海側では空から綺麗な光が射してたりと、常に移ろう自然美には日々感動するばかりです」。市内随一の景観は、この道35年の熟練職人をも虜にしたようです。
その安部さんが披露するのは、東京・北青山のミシュラン一つ星店「鮨 将司」監修によるおまかせコース。「鮨 将司」は創意が光るつまみと洗練された江戸前鮨のコースで人気を博す名店ですが、その店主・山口将司さんがかつてザ・リッツ・カールトン東京に在籍した縁から今回のタッグが実現したそうです。東京の超人気店プロデュースとあればフーディーにはたまらない一軒ですよね。
安部さんも「ここでは玄界灘の海の幸を多用して、東京とは一味違う〈鮨 将司〉をお目にかけますよ」と意気込みを語ります。
さて、ランチは15,000円コースのみ。つまみ2~3品、茶碗蒸し、鮨10貫、お椀、フルーツという内容で、ディナーではさらに豪華版のつまみが加わります。
その1品目は、昼の定番である本マグロと生ウニの手巻きで始まり、このアラの焼きしゃぶがそれに続きます。レア感を絶妙に残した白身に淡麗な自家製ポン酢が絡まると、手巻きの重厚な味わいが一転、口の中に爽風をそよがせます。
鮨の途中に挟まれる、鯛の酒盗入り茶碗蒸しも印象的でした。直前に食べた握りの余韻を上書きする、上品な塩味がなんとも粋なアクセント。こうした味の緩急への目配りは「鮨 将司」の特徴で、その辺を意識するとさらにうまさが深まりそうです。
もちろん主役の鮨たちも、期待に違わぬ顔ぶれです。対馬産のヤリイカには流れるような包丁を入れ、甘みを倍増させた逸品。千葉産ヒラメの熟成も的確で、ひと噛みごとに旨味が味蕾に染み入ります。
スッと口に収まるシャリは、酸味を抑えた柔和な風味。山形産コシヒカリに、米酢と少量の赤酢を加えた「鮨 将司」流です。後口も軽やかで、その快さはまるで窓外の青空と響き合うかのようでした。
しっとり吸いつくようなマグロは、巧妙に入れた隠し包丁で口溶けをより滑らかに。最高のタイミングを見極めて、ふわとろに炊きあげた対馬産穴子も妖艶そのもののうまさです。こうした食事と絶景があれば、他に何が必要でしょう? ここならきっと、心ときめく“ハレの日”を過ごせること間違いなしです。
すると、「ホテルだからこその強みもあるんです」と安部さん。「例えば魚の苦手なお連れ様には、別途懐石や肉料理を交えたコースをご用意できますし、最後にパティシエの焼いたケーキをお持ちすることも可能。リッツにはその道の職人たちがおりますからね。可能な限りのご要望にお応えします」
なるほど。僕らはもっとホテルを自由に使っていいのかもしれません。そんな鮨店の可能性を「幻珠 by 鮨 将司」は見せてくれそうです。
幻珠 by 鮨 将司
福岡市中央区大名2-6-50福岡大名ガーデンシティ ザ・リッツ・カールトン福岡18F
092-401-8882レストラン予約
ジャンル:寿司
住所:福岡市中央区大名2-6-50福岡大名ガーデンシティ ザ・リッツ・カールトン福岡18F
電話番号:092-401-8882 レストラン予約
営業時間:12:00~・13:00~/18:00~・19:30~
定休日:火・水曜
席数:カウンター10席
個室:なし
メニュー:ランチ15,000円~、ディナー30,000円
URL:https://genjyu.ritzcarltonfukuoka.com/
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