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あの「ニシムラ・タカヒト」が寿司屋に!“西村流”が切り拓く寿司の新世界

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僕にとって、この夏一番のグルメニュースはこれに尽きます。独創的なフュージョン料理で知られる「ニシムラ・タカシヒト・ラ・キュイジーヌ・クリアテビィテ」(以下「ニシムラ」)が8月1日から業態一新。なんと「ニシムラ鮨 Toki」という屋号で寿司屋を始めたのです。ミシュラン一つ星に輝くあの人気店に、いったい何が起きたのでしょう?

toki外観 撮影:弓削聞平

さっそく訪れたのは南区平和の住宅街。玄関前には「Toki」の暖簾がひらめき、もう「ニシムラ」は無いのだと寂しくなりました。が、そもそもオーナーシェフの西村貴仁さん自身が、フュージョンという答えのない分野で果敢な挑戦をしてきた職人。そう考えると、実は今回の転身も不思議ではないんですよね。

かつての「ニシムラ」のコース料理は、和洋中の魅惑が混在するエンタメ満載の傑作でした。そこには当時から西村さんが「大好き」と公言するラーメンと寿司が含まれており、長年研究を続けたというラーメンは昼限定の専門店「ニシムラ麺」を営業するまでに進化。となれば「Toki」もまた、西村さんが磨きあげた新基軸に違いありません。

toki内観 toki 個室 撮影:平川雄一朗

「ここ数年、ずっと寿司をコースで出したいと思っていたんです。僕なりに江戸前を解釈し、新たな寿司の“流派”を作ってみたくって。ちょうど韓国に出店した<ニシムラ麺>が軌道に乗ったこともあり、このタイミングで寿司屋に舵を切りました」。この大胆な転身劇について、西村さんはそう語ります。一つ星を手放してまでも開拓したい世界がある──そんな寿司への熱い想いが「Toki」に繋がったのです。

その「寿司コース」(13,200円)は、もちろん驚きと楽しさに満ちた“西村流”。江戸前の職人に師事したこともある西村さんですが、今回はあえて握らない寿司、つまり「ばら寿司」をモチーフにしたのが特徴です。これなら世界観を自由に表現でき、他のスタッフにも調理が可能。カウンターを使わず、個室やテーブル席で楽しめるので同伴者との会話も弾むでしょう。西村さんも「寿司屋というよりレストラン感覚で使っていただきたいですね」と微笑みます。

なお旧来のファンには嬉しいことに、1カ月のうち約半分は「ニシムラ」時代のコース(22,000円・33,000円)も提供していく予定だとか。実施日は店舗までお問い合わせ下さい。

toki寿司メヒカリ tokiアワビ

さて、この日のコースは甘味を含めた19品。メニューには食材名だけがずらりと並び、期待と高揚を煽ります。なかでも4品目のメヒカリ寿司は“西村流”らしい一貫でした。白身をベニエ風にフワリと揚げて、極薄の生ハムで巻く熱々の寿司。ブラッドオレンジと塩を合わせた柔らかい酸味のシャリも、風味豊かなネタと極上の音色を奏でます。これは新しい寿司体験!

5品目には、4日間熟成させたアワビの刺身が登場。ねっとりした歯触りと深い旨味には、優しくも忘れ難いインパクトがあります。「この店のテーマの一つが熟成です。魚介類はすべて必要なだけ寝かせ、魚種ごとにベストなおいしさを引き出しました」と西村さん。

toki寿司イカ tokiアジ

凛とした白が際立つイカの寿司には、柑橘やオリーブオイルでマリネした菊の花と卵黄の醤油漬けをトッピング。複雑な塩味にイカの甘みが絡みあい、華やかな風味を口一杯に広げます。

厚みも十分なアジは、揚げナス、生姜、焦がしバター、赤紫蘇、柚子胡椒と共に。これも意表を突く組み合わせですが、緻密な計算と発想で豊穣な美味に昇華していました。これまた“西村流”を象徴する一貫ですね。

tokiホタテ toki車海老

ホタテの寿司には4日熟成させたものを使用。「貝類は新鮮なうちに使うのが定石ですが、ウチならではの味を楽しめるよう、あえて熟成させています」と西村さん。その妙味を倍増させる、マッシュルームの佃煮も効果抜群でした。

そして、寿司の末尾を飾るのが2貫の手巻き。その1つが定番の車海老で、タマネギと有馬山椒、高級一番海苔が織りなす食味の鮮烈さには感嘆しかありません。溢れだす豊かな旨味と香りはまさしく夢心地です。

「ニシムラ」から「Toki」に変わっても、嬉しいことに“西村流”の醍醐味は健在でした。ジャンルレスならではの果てなき感動を、次なる舞台で伝え始めた西村さん。その情熱とセンスが生みだす、非凡な寿司体験はいかがですか?

店舗名:ニシムラ鮨 Toki
ジャンル:寿司
住所:福岡市南区平和2-5-29
電話番号:090-4576-6611 前日までに要予約
営業時間:11:30~14:00(ニシムラ麺)/18:00一斉スタート
定休日:水曜
席数:テーブル12席
個室:2~6名
メニュー:鮨コース13,200円 ※サービス料10%
URL:https://www.instagram.com/nishimura_sushi_toki/

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この記事を書いたひと

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