10~11月。この2カ月間は1年の中でも特に行楽にもってこいの季節です。実際、福岡市の月別の晴天率をみると、1年で最も晴れやすいのが10月で、次いで11月。過去130年ほどさかのぼっても、11月については夏季にみられるような大雨の事例はなく、福岡市で観測された24時間雨量の記録は97ミリでした。
ところが今月のはじめ、台風から変わった低気圧や、季節外れの秋雨前線の影響で、福岡市では24時間で253ミリの雨が降り、これまでの記録を大きく上回りました。長崎県にいたっては、11月としては初めて線状降水帯が発生し、平戸市や松浦市では400ミリ近い雨が降ったのです。
これは梅雨末期に匹敵する雨量。この時期にこれだけの雨が降ったのは、私自身正直驚きでした。この大雨でイベントが中止になったり、交通機関が乱れたりと影響は各地に及び、3連休の初日だったこともあり、予定の変更を余儀なくされた人も多かったことでしょう。
過去に降ることのなかったこの時期の大雨は、季節の進みが遅く、気温の高い状態が続いていることが一つの要因です。近い将来さらに秋が短くなり、穏やかに過ごすことのできる季節はいずれなくなってしまうのでしょうか。
横尾槙哉=RKB気象予報士・防災士
毎日新聞福岡版 2024年11月9日掲載
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