平屋の家づくりを考え始めると、まず「どのような土地が適しているのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
平屋はワンフロアで生活が完結するため、土地の広さや形、日当たり、防犯面など、2階建て住宅とは異なる条件が重要です。また、災害リスクやプライバシーといった視点も見落とせません。
そこでこの記事では、平屋に適した土地選びのポイントと注意点について具体的に解説します。これから平屋を建てたい方や、理想の住まいを叶えるために土地選びを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
平屋の新築で失敗しないための土地選び3つの注意点
平屋を建てる際、土地選びは住まいの快適さに大きな影響を与えます。この章では、平屋を新築するための土地選びで失敗しないための注意点を3つ解説します。
建ぺい率・容積率を考慮した適正な広さを選ぶ
平屋を建てるには、希望する間取りや広さに合わせた土地を選ぶことが重要です。特に、建ぺい率と容積率は建物の大きさに大きく影響するため、これらを考慮せずに土地を購入すると、計画通りの間取りや広さの家が建てられなくなる可能性があります。
たとえば、建ぺい率40%・容積率80%の地域で70坪の土地を選んだ場合、建築可能な規模は以下の通りです。
- 建築面積: 70坪 × 40% = 28坪まで
- 延床面積: 70坪 × 80% = 56坪まで
なお、平屋は1階建てであるため、建築面積と延床面積が同じになります。この場合、建ぺい率により建築面積が制限されるため、平屋で建築できる最大規模は28坪です。
購入予定の土地が希望する平屋の広さに適しているかを確認しておくことで、後々のトラブルを防ぎ、理想の住まいを実現しやすくなります。
通風や日当たりを確認する
一般的に平屋は、2階建てに比べて風通しや日当たりが劣りやすいと言われています。特に住宅密集地では、隣接する建物が風や日光を遮ってしまうことがあるため注意が必要です。
通風が悪いと湿気が溜まりやすく、カビの原因になる可能性があるため、風が通りやすい窓の配置を計画することが望ましいです。また、日当たりの確保も大切で、南向きの土地や日差しを取り込みやすい開放的な環境を選ぶと良いでしょう。
プライバシーや防犯面に注意する
平屋はワンフロアで生活空間が完結するため、家族とのコミュニケーションが取りやすい間取りです。
その反面、外からの視線や防犯面で注意が必要です。すべての部屋が1階にあるため、通行人や隣家からの視線を感じやすく、リビングや寝室が外から見えやすくなる可能性があります。
プライバシーと防犯を確保するためには、以下の工夫が効果的です。
- リビングを道路から見えにくい位置に配置する
- フェンスや植栽を設置して目隠しを作る
- 窓にレースカーテンやすりガラスを採用する
- 鍵が複数設置できる玄関ドアにする
- 窓に補助錠を設置する
- 防犯カメラを設置する
- センサーライトを設置する
これらの対策を取り入れることで、外部からの視線や侵入の抑止効果が高まり、安心して暮らせる平屋を実現できます。
平屋に最適な土地を選ぶための3つのポイント
平屋を建てる際の土地選びでは、災害リスクや土地の形状が重要な要素となります。この章では、平屋に最適な土地選びのために押さえるべき3つのポイントについて詳しく解説します。
災害リスクを考慮する
平屋に適した土地選びでは、まず災害リスクの低い土地を選ぶことが重要です。平屋は全体が1階のため、特に浸水などの被害に弱くなります。
浸水のリスクを避けるためには、土地の標高が高い高台や、基礎を高くすることで建物自体の安全性を高めることが考えられます。
また、自治体が提供するハザードマップを活用し、浸水リスクの少ないエリアを選ぶことも大切です。河川の近くや低地は浸水リスクが高いため、避けると良いでしょう。
こうしたリスクに配慮することで、安心して長く暮らせる平屋を実現できます。
参考資料:国土交通省 水管理・国土保全局 防災課|ハザードマップポータルサイト
奥行がある土地を選ぶ
平屋の建設には、奥行のある土地が適しています。奥行があれば北側の部屋にも窓を設置でき、日光や風通しの良い環境を作ることが可能です。
さらに、中庭を設けるスペースも確保できます。家の中心にも光を取り入れやすくなり、明るく快適な住まいを実現できます。
また、駐車場や庭の配置にもゆとりが生まれ、平屋ならではの開放感と広がりのある空間を作りやすいでしょう。
奥行のある土地を選ぶことで、平屋の魅力を存分に引き出した住まいづくりが叶います。
ハウスメーカーと一緒に探す
ハウスメーカーは住宅のプロであり、平屋に適した土地の選定や設計面でのアドバイスが豊富です。住宅展示場に足を運び、実際に平屋のモデルハウスを見学することで、理想の住まいやイメージが具体的になります。
また、ハウスメーカーにはネットワークがあるため、一般には出回らない情報やおすすめの土地を紹介してもらえる可能性もあります。プロと連携することで、理想の平屋が建てられる最適な土地を見つけやすくなるでしょう。
まとめ
平屋を建てるための土地選びには、間取りに合わせた広さの確認や、日当たり・通風、そしてプライバシーや防犯面といったさまざまな要素が関わります。さらに、災害リスクの有無や奥行きのある土地の方が理想の設計がしやすいといった、普段見落としがちなポイントも重要です。
初めて土地を探す方は、住宅展示場で実際のモデルハウスを見学しながら、ハウスメーカーの専門スタッフに相談すると安心です。具体的なアドバイスがもらえるため、理想の平屋を実現するための準備をスムーズに進めることができます。
土地選びの基礎をしっかり押さえて、長く快適に暮らせる平屋の家づくりを始めましょう。
WRITER
岩井 佑樹 宅地建物取引士・シニアライフ相談士
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飲料メーカーを経て2014年に宅建士として不動産会社に転職。2019年に不動産ライター業を始める。2024年3月現在、不動産会社のコラムや不動産関連記事を400記事以上作成。現在は不動産会社とWebライター業の会社を経営。現役不動産屋ならではの経験から、不動産に関する「リアル」な記事を発信している。
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