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2024年サウナシュラン発表間近!九州の殿堂入りサウナとは?
みなさん、早速ですが毎年11月11日は何の日かご存知でしょうか?
その名も「ととのえの日」。
2018年よりサウナ専門ブランドを運営するTTNE株式会社が、民間主導でサウナカルチャーを盛り上げるために、11月11日をととのえの日として制定し、同日に「SAUNACHELIN(サウナシュラン)」を発表するという1日なのです。
サウナシュランの定義は “既存の枠に捉われず、新しい試みにより新たなサウナの価値を導き出した革新的なサウナ施設” とされており、様々な業界のサウナに精通したプロサウナーが審査委員となり、革新的な今行くべき全国のサウナ11施設を発表するといったもの。そしてこの民間主導で始まった取り組みが、いまや全国のサウナ愛好家やサウナ施設から注目をされる1年に1回のイベントとなっているのです。
このサウナシュランでは、3回の選出をされると殿堂入りとなるのですが、全国のサウナ施設の中でも殿堂入りをした施設はたったの5施設。そしてなんとそのうちの2施設が九州にあるサウナ施設なのです。
今回は、2024年のサウナシュラン発表直前ということで、殿堂入りをした九州の2つのサウナ施設を紹介したいと思います。
まさに楽園。進化して止まない日本が世界に誇る傑作 御船山楽園ホテル「らかんの湯」
2018年にサウナシュランがスタートをして以来、3年連続でグランプリを受賞。
世界で行くべきサウナ、World Sauna Award「SAUNA37」にも選出。
今や、日本一のサウナ、人生で一度は訪れるべき場所…などと、あらゆる形での賞賛がやまず、全国各地からこの場を求めて訪問をする人が後を絶たない施設。その名も佐賀県は武雄市にある御船山楽園ホテル「らかんの湯」です。
15万坪にも及ぶ敷地からなる御船山楽園では、チームラボが手がけるアート作品や季節ごとのライトアップイベントでご存じの方も多いのではないでしょうか。しかしこの御船山楽園は、真にサウナの桃源郷でもあるのです。
筆者も毎年、この御船山楽園には訪れていますが、足を運ぶたびに進化する施設のこだわりに対する驚きの連続と、四季折々で変わる楽園の表情に毎回圧倒されるばかり。到底語り切ることのできない魅力の数々はありながら、今回はグランプリに選出された施設内のサウナを一つずつ紹介したいと思います。
ホテルの入り口をくぐり抜けた瞬間に広がる、御船山楽園の代名詞ともいえるロビーのアート作品。館内に立ち入ると同時に、異世界に心を奪われます。
男性浴場の中に一歩足を踏み入れると、目の前に大きな原木が視界に飛び込んできます。屋内でありながら、まるで森の自然の中に溶け込んでいくような不思議な感覚に…。
まずは2018年のサウナシュラングランプリを受賞した男性用ドライサウナ。中に入ると、想像以上の薄暗さに一瞬視界を奪われながらも、壁側の細長いスリットから差し込む光がサウナ室内を照らす幻想的な光景に、厳粛な気持ちで包まれます。
しばらくサウナの熱に身を預けると、香ばしく心地よい香りが漂うことに気づきます。このドライサウナではロウリュ水に佐賀県嬉野産のこだわりのほうじ茶がロウリュ水として使われており、今やお茶でのロウリュは多くの施設が取り入れるようになりましたが、ほうじ茶ロウリュの先駆的存在となったのも、このらかんの湯のドライサウナといえるでしょう。ちなみに多くの施設でほうじ茶によるロウリュを体験してきましたが、ココのほうじ茶を超える体験にいまだ出会ったことがありません。
静寂の中耳を澄ますと、どこからともなく鳥や虫の鳴き声が聞こえます。これはBGMではなく、なんと御船山の庭園に設置をされた集音マイクが拾う、リアルタイムでの外界の自然音だというのです。まるで外界の自然と自分自身が調和をしていくような感覚。その発想に驚かされます。
しっかりと汗をかいたら、露店スペースに鎮座をする深く大きな円形の水風呂へ。入水時はヒヤッとやや冷たく感じるものの、時間が経つほどに水と身体が一体化する感覚…。ここの水風呂は武雄温泉の源泉を冷やした水風呂であり、キレがありながらも柔らかさを感じられる至極の水風呂なのです。
水風呂で身体を冷やした後は、露店スペースで外気浴。ホテルオーナー自らがこだわり抜いて世界各地から取り寄せた、選りすぐりの椅子は他のどこでも体験をしたことがないスタイリッシュさと座り心地を兼ね揃えた一級品。御船山楽園の山々に囲まれながら、言い得ない多幸感に包まれます。
次に移動をした先は、2020年にサウナシュラングランプリを受賞した「薪サウナ」。 男性浴場と女性浴場の中間地点に建設をされており、大きな壁一枚を隔てて男女兼用で利用ができる面白い構造になっています。扉を開けると、普通では見慣れない階段式の構造となった奥行きのあるサウナ室。
階段を登り奥に進むと、その奥には信じられないほど巨大なサウナストーブが。
御船山から採取されたという2トン以上のサウナストーンを、地元武雄の間伐材を再利用した薪で温め熱を起こし、そのサウナストーンに御船山の地下水をロウリュをするというサスティナブルな発想に感銘を受けます。
頭上や壁側の窓ガラスからは、すぐ目の前に木々を望むことができ、やわらかな自然光が差し込んできます。サウナ室の中にいながらも、まるで森の中にいるような没入感。御船山の大自然との調和を重んじた空間の設計と、こだわりの数々に圧倒をされるばかり。
薪サウナを出た後は、露天スペースの脇にある階段の先へ。
そこに広がるのは屋内休憩スペースとして用意をされた驚きの喫茶室が。
自家製の塩プリン、薪の暖炉で焼いて食べることが出来るかんころ餅、佐賀県産のミカンのドライフルーツ、水出し緑茶にデトックスウォーターと、喫茶専門店も顔負けの豊富な品揃いとクオリティの高さ。裸体のままスイーツを食べる背徳感がこれまた一入なのです。
喫茶スペースは階段を上がった2階部分に位置をし、目線が上がった状態での御船山の庭園の眺望は圧巻。ガラスに反射し揺らぐ木々と、眼前に広がる森の光景に言葉を失うほどです。
このらかんの湯は、日帰り利用だと男性浴場のみの体験となりますが、宿泊をすると翌朝には男女浴場の入れ替わりが実施をされます。最後に紹介をするのは2019年にサウナシュラングランプリを受賞した女性浴場にあるドライサウナ。
扉を開けた瞬間に、ここは本当にサウナなのか…?と疑ってしまうほどの異次元空間。
まるで精神と時の部屋のようなサウナ室で、身体を蒸していきます。
女性用サウナ室で特筆すべきはドイツ発祥の「キューゲル」と呼ばれるアロマボールでのロウリュ。氷に閉じ込められた3種のアロマボールをサウナストーンの上に乗せると、軽やかでありつつも芳醇なアロマの香りと熱がサウナ室内にゆっくりと広がり、これまで感じたことのないような五感体験を味わえます。
その他にも、2023年12月には男性浴場に「薬草スチームサウナ」という、これまた新体験なサウナが誕生をしました。ドライサウナが主流となり、スチームサウナが敬遠されるサウナトレンドの中、日本文化や武雄の土地の恵みを最大限に生かした新たなサウナとなっています。これ以上は百聞は一見に如かず。ぜひご自身の足で御船山楽園に足を運び、楽園を全身で感じてみてください。ぜひ、男性浴場と女性浴場の双方を楽しむことができる宿泊で足を運ばれることを強くオススメします。
●御船山楽園ホテル
佐賀県武雄市武雄町武雄4100
電話番号: 0954-23-3131
公式HP:https://www.mifuneyama.co.jp/
RKBオンラインでアーカイブ動画配信中
西の聖地 火の国サウナ 「湯らっくす」
2つ目に紹介をするのは、同じくサウナシュランで殿堂入りをした施設。
“西の聖地”の異名を持つ熊本県熊本市にある「湯らっくす」です。
近年、全校各地に様々な趣向を凝らしたサウナ施設が誕生をする中、“西の聖地”として全国のサウナーから絶大な人気と支持を集める湯らっくす。
サウナを追求した先に生まれた新たなエンターテイメント性と、サウナの本質に迫る他にはないオリジナリティで、2019年以降、全国的に広がった空前のサウナブームの火付け役となった施設なんです。
まずは湯らっくすで名物のメディテーションサウナへ。オリジナルのサウナミュージックと、サウナストーンを照らす一筋の調光とで瞑想状態を促す… これが湯らっくすのメディテーションサウナの特徴です。また、サウナの本場フィンランドのサウナ設計に倣った110cmの天井高により、最大限に心地良い蒸気がサウナ室を循環することもポイントの一つです。
ロウリュの桶の中には、白樺の葉を束ねたヴィヒタが付け込まれており、ヴィヒタのエキスが染み込んだロウリュ水でセルフロウリュをすることができます。ヴィヒタは簡単且つ安く手に入る代物ではなく、フレッシュな白樺の香りを味わうことが出来ることも、湯らっくすならではの貴重な体験の一つ。
サウナ室でじっくりと身体を芯まで温めた後は、サウナ室を出て浴場の中央に堂々と佇む大きな水風呂へ。
なんとこの水風呂、男湯で171cm、女湯で153cmの日本人男女平均身長に合わせた最大深度を誇る日本一の水風呂なのです。立ちの状態で脳天まで水風呂まで浸かることができる体験もココならでは。
さらには、井戸水から湧き出る地下水が常にオーバーフローをしており、この水風呂のやわらかな肌ざわりがたまりません…。これも政令都市では日本で唯一全ての水道水を地下水で賄っている地下水都市熊本だからこそ成せる所業。
そして水風呂の最深部の頭上にある、このMAD MAXボタン。恐る恐る押してみるや否や、頭上から大量の水が滝のように降り注いで脳天を直撃。想像以上の水圧で脳天から一気に体を冷やす機能性と、他ではないエンターテイメントな発想には度肝を抜かれます。
次に移動した先は、約30名の収容人数を誇るメインサウナ。ここでは正午から深夜1時まで、毎時間アウフギーサーによるアウフグースの時間が設けられています。
12時間に渡って、毎時間毎にアウフグースの時間があるのも湯らっくすならではの贅沢体験。男女ともに同じ頻度でアウフグースを実施開催しているというのも驚きです。
湯らっくすでは全国的にも稀に見る数多くの技巧派アウフギーサーが在籍をしており、個性溢れるショータイムを味わうことができます。色々な個性のあるショーと風を味わい、自身の推しのアウフギーサーを見つけるというのも、湯らっくすの楽しみ方の一つです。
極め付けは2023年に新たに誕生をしたサウナシアター。文字面だけをみると、サウナと映画の組み合わせに困惑をしてしそうですが…
照明や音楽の演出に合わせて、アウフギーサーとお客様同士が参加型で体験をできるアウフグースイベントが毎晩行われており、熱、香り、音を五感で楽しめる新たな劇場型のエンターテイメントサウナとなっています。余談ですが、湯らっくすのオーナーは映画好きが高じて20代の頃に渡米し、本気で映画の勉強をされたほどの映画マニアなんだそう。
この劇場型のサウナシアターでは、専用の館内着を着用し、男女混合で利用が可能。家族やカップルで新たなサウナの楽しみ方として利用をされてみてはいかがでしょう。
サウナシアターでのショーが終わった後は、岩盤浴のように隣の冷却室でクールダウン。サウナのととのいとはまた違った爽快感を味わうことができます。
湯らっくすで忘れてはならないのは、浴場から出てすぐに帰宅をするには勿体無いほどに絶品なサウナ飯。正直、通常のレストランを遥かに凌駕するほどの美味しさです。
個人的なおすすめは、四川風麻婆定食。本格的な麻婆豆腐は白米のおかわり不可避です。なんとこの麻婆豆腐が大好評すぎて、セブンイレブンで湯らっくす監修の麻婆豆腐が商品化されたこともあるほど(笑) 湯らっくすへ足を運んだ際は、サウナ飯もセットで味わうべし。
サウナの本質、お客様を楽しませるエンターテインメントの飽くなき追求。西の聖地たる由縁を体感すべく、熊本まで足を運んでみてはいかがでしょうか。
●湯らっくす
熊本県熊本市中央区本荘町722
電話番号:(096)362-1126
公式HP:https://www.yulax.info/
RKBオンラインでアーカイブ動画配信中
WRITER
金沢 昂紀
九州のサウナの魅力を紹介するWEBメディアの運営や、サウナにまつわる様々なイベント企画を実施。
コロナ禍ではサウナが好きすぎて自宅にサウナを作ったり、今ではサウナ施設のプロデュースも手掛けるなど、サウナのために汗をかく九州でも無類のサウナフリーク。
紹介サウナスポット県別一覧
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