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ヤマトの香りを求めて~バニラビーンズの世界~

甘く幸せな香りを放ち、洋菓子などの香りづけに使われる黒い粒「バニラビーンズ」。主に熱帯地域で作られ、国内での栽培例はごくわずかです。長崎県大村市の清水大和さん(37)は、5年前から独自ブランド「ヤマトバニラビーンズ」を栽培しています。

 

インゲンマメのような見た目で、鞘の中の種がバニラビーンズとなりますが、なっている時に香りはしません。香りを放つまでには、栽培・加工と膨大な手間がかかるのです。バニラビーンズは、花が咲いている間に人工的に受粉させないと実がなりません。

 

しかし、花が開くのはたった1日、午前中の数時間だけ!その間に多い時は千以上の花を受粉させる必要があります。受粉から約9か月で収穫となりますが、香りがうまく出るかは、その後の加工次第。企業秘密の処理を施した後、ゆっくり乾燥・発酵させる過程で次第にバニラの香りが出てきます。

 

完成までには、受粉から最低1年半!品質の高さは勿論、輸入物では叶わない「大きさや水分量など、料理人の好みに合わせたバニラビーンズ」を作れることも強みとなり、首都圏などの名だたるホテルやレストランとの取引も増えています。独自の香りを追求する清水大和さん(37)の挑戦を追いました。

企業名:YAMATO VANILLA BEANS(ヤマトバニラビーンズ)
代表者:清水 大和さん
住 所:〒856-0005 ⾧崎県大村市弥勒寺町605
電 話:090-2813-0887
ホームページ:https://www.yamatovanillabeans.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/yamato.vanillabeans

取材後記

「バニラビーンズを作っている農家さんが大村にいるんですよ」

あるパティシエから聞いた情報に興味を持ち、大和さんに連絡を取ったのがご縁の始まりでした。バニラビーンズについて「いい香りの黒い粒」くらいしか認識がなかった私は、大和さんから栽培や加工の流れの説明を受けた時、あまりの工程の多さに衝撃を受けたことを思い出します。


さらに、その一つ一つの工程を実際に取材してみると、想像していたより何倍も大変!「この小さな黒い粒にこんなに手間がかかっていたのか!」と驚きの連続でした。首都圏の一流ホテルや、ミシュランの星つきレストランなど、名だたる店との取り引きが増えていますが、料理人たちが惚れ込むのは、その品質やこだわりだけではありません。


もう一つは「大和さんの人柄のよさ」。「国産バニラビーンズの生産者を増やし、日本にバニラ産業をつくる」チャレンジに対しても、思わず「ライバルが増えたら、希少価値、下がりませんか?」と疑問を投げかけてしまったのですが、そんな心の狭い自分が恥ずかしくなるほど、大和さんは、持ち前の広い心と視点でバニラビーンズを見ています。

 

次はどのような香りのヤマトバニラビーンズができるのか、そして、日本の主要輸出品目にバニラビーンズが挙がる日を楽しみに、これからも大和さんとヤマトバニラビーンズに注目し、応援していきたいです。
 

(NBC長崎放送/早田 紀子)

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