今注目されている、資源をできるだけ長く循環させる「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」という考え方。言葉は聞くけれどいまいちイメージが付きにくい方が多いかもしれません。
そこでこの記事では、サーキュラーエコノミーの概要について解説すると共に、一人ひとりが持続可能な暮らし方を実践するアイデアを併せてご紹介します。
サーキュラーエコノミーってなに?
サーキュラーエコノミーは循環型の経済システムを指す言葉です。ここではサーキュラーエコノミーの意味、リサイクルとの違いについて詳しく解説します。
サーキュラーエコノミーとは
サーキュラーエコノミーとは、「製品や素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小限化する、資源利用に伴う環境負荷を低減するための経済システム」を意味します。
別名「循環型経済」とも呼ばれ、従来のリニア型経済のように資源をただ消費し続けるのではなく、限りある資源を再利用し循環させていこうとする経済がサーキュラーエコノミーなのです。
分かりやすく言えば、資源を無駄にせず、使えるものは再利用し、あらゆるモノをぐるぐると循環させる経済のあり方がサーキュラーエコノミーです。企業はゴミを出さないようにモノを設計し、個人はモノを長く大切に使っていく、サーキュラーエコノミーが目指すのはそのような経済なのです。
なお「サーキュラー(circular)という単語は、「円形の、環状の、循環性の」といった意味を持ちます。
サーキュラーエコノミーに取り組む企業、自治体例
現在、さまざまな企業、自治体がサーキュラーエコノミーを目指す活動を進めています。一例を以下にまとめます。
ルノー:
サーキュラーエコノミーに特化した子会社「The Future is Neutral」を設立、使用済み自動車から生産した原料で新車の製造を目指す。
ユニクロ:
不要になったユニクロ製品を回収し、再利用・リサイクルする「RE.UNIQLO」プログラムを展開。
ブリヂストン:
使用済みタイヤを回収し、新たなタイヤへと再生する「リトレッドタイヤ」事業を展開。
神奈川県川崎市:
2022年3月に、「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」を策定。
長野県松本市:
マイボトル専用無料給水機「アクアスポットswee」を市内16か所に設置し、市民等にマイボトルの利用を促進。
リサイクルとの違いは?
リサイクル(recycle)は、「人間から排出された資源(またはエネルギー)を再度回収して利用すること」を意味します。すでに排出されてしまった資源を効率よく活用していこうというソリューション(解決策)がリサイクルです。
一方、サーキュラーエコノミーはそもそもの資源の投入量や消費量から抑えることや、新しい産業や雇用の創出までを含む経済システム全体を指し、より根本的な意味を持ちます。
なぜサーキュラーエコノミーが注目されているのか
サーキュラーエコノミーが注目されている背景には、資源枯渇問題や環境問題があります。地球上の資源は限りがあり、特に近年はレアメタルや石油資源などの枯渇が懸念されています。また、廃棄物の増加による環境汚染、CO2排出による異常気象などが深刻化し、持続可能な経済への転換が急がれている状況です。
こうした中、もともとはヨーロッパを中心にルールづくりが進んでいましたが、今や世界中がサーキュラーエコノミーに注目しており、循環型経済への移行が進められています。
家庭で実践できるサーキュラーエコノミーの具体策5つ
サーキュラーエコノミーは、今や行政や企業だけでなく、私たちの生活にも関わる重要な概念となっており、地球環境のためにも普段の生活に取り入れていくことが求められています。身近なものとして、以下の5つは家庭で実践できるサーキュラーエコノミーの活動です。

(1)選び方を変えよう
普段モノを買う時に地球環境を考慮した選び方をすることで、サーキュラーエコノミーの活動となります。具体的な例を以下に記載します。
・新品ではなく中古品を選ぶ
・地元で作られた農産物や工芸品を購入する(輸送に伴うCO2排出が削減される)
・まだ食べられるのに廃棄されそうになっているフードロス(食品ロス)を選ぶ
・電力消費の少ないLED照明や省エネ家電を選ぶ
・調味料や洗剤などは毎回容器で購入するのではなく詰め替え品を選ぶ
など
(2)モノの使い方・所有方法を見直そう
一人一人でモノを所有するのではなく、シェアリング、サブスク、レンタルなどのサービスを通じ、共有できるものは共有することで資源の有効活用に繋がります。車、電化製品、衣服などさまざまなモノのシェアリングサービスが登場していますので活用していきましょう。
(3)修理・メンテナンスの習慣をつけよう
壊れたモノをすぐに捨てるのではなく、直して使い続けることが個人ができるサーキュラーエコノミーの活動の一つです。スマホの修理、家具の修理など修理サービスも豊富になってきており、自信のある人はDIYで自分で修理してみるのも手です。
(4)ゴミの出し方の精度を上げよう
ゴミの出し方を工夫することでもサーキュラーエコノミーの活動となります。具体的な例を以下に記載します。
・まだ使えそうなものは捨てずに再利用する
・ゴミ袋をいっぱいにして出す(少量で出してしまうとゴミ袋が無駄に消費される)
・生ごみは生ごみ処理機やコンポストを使い堆肥化する
・マイボトルやエコバックを活用しゴミそのものを減らす
など
(5)再利用・リメイク・アップサイクルを取り入れよう
「アップサイクル」とは、不要になったモノに、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードし生まれ変わらせることです。例えば「古着を枕カバーなどに作り変える」、「擦り切れたタイヤをカバンに作り変える」、「耐用年数を越えたソーラーパネルをテーブルにする」など、アイデア次第で様々なアップサイクルが可能です。
以上、サーキュラーエコノミーについて解説しました。資源枯渇問題や環境問題が深刻化する中、今世界中でサーキュラーエコノミーを目指す活動が求められています。今回紹介したように私たちが普段の生活の中でできることもありますので、地球を守るためにもできる限り取り組んでいきましょう。
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