「思い描いた音の再現」
に挑む

PROFILE

新卒2020年入社

尾中 達郎Tatsuro Onaka

技術局制作技術部 音声担当

視聴者が聴き取りやすい音声を、
際立たせて録音する

情報生番組で音声スタッフをしています。仕事に必要な知識と技術はすべて現場で学びました。現場には、リポーター、ディレクター、AD、カメラマン、カメラアシスタント、そして音声…など5~6人のチームで向かい、取材先の方やゲストが加わって収録を行います。ガンマイクの重さは約2キロ。伸ばす長さで体感重量が違います。肩に提げた機材を自分で操作し、音を調整(ミックス)しながら録音します。中継車を出す場合は更にスタッフが必要になります。
マイクはすべての音を拾ってしまうので、視聴者が聴き取りやすい音声をいかに際立たせて録音するかがポイント。イコライザーで調整するのですが、どこを削ったらどう聴こえるかという判断は、やはり経験がモノを言います。音楽の音としゃべりや環境音はまったく違うので難しいし、事前にプランを立てても現場の音が想定とまったく違うことは珍しくありません。試行錯誤しながら、思い描いた音が録れると本当に気持ちいい。抜けがいい、子音が明瞭に聴き取れる音を録れるように心がけています。
他の番組がどうやって音声を録っているのかいつも気になります。ドキュメンタリー番組には「マイクの存在を視聴者に絶対に気づかせてはいけない」という暗黙のルールがあり、対象者の動きに合わせてマイクを持って走ったり、ピンマイクを服の陰に隠したりなど工夫します。先日『世界一の九州が始まる』という番組のロケで、機材を抱えて英彦山に登った時は大変で、入社して最も過酷なロケでした。

めざすポジションに向け
一歩ずつステップアップ

学生の頃やっていた新聞社のアルバイトで、情報メディアに興味を持ちました。もともとイヤホンやスピーカーを作る音響機器メーカーへの就職を考えていたものの、本心は地元で就職したかった。福岡には希望が叶えられる放送業界もあるし、慣れ親しんだ土地の情報を伝えたい、と決断しました。いつか音声の仕事がしたいと思っていましたが、最初から希望が叶ってとても幸運です。
個人的には1日でも早く、イベントの責任者としてプランニング全体を細部にわたるまで把握し、全体を見ながら突発的なトラブルにも的確に対応できる、テクニカルディレクター(TD)になりたい。それにはシステムをしっかり理解することと、円滑に仕事が進むよう人間関係もうまくやっていく力が必要です。ステップアップの第一歩として、今度、次の駅伝で一つの中継所を任せてもらえることになりました。

メディアがどれだけ多様化しても
テレビは消えない

メディアがどれだけ多様化しても、テレビが無くなるとは思いません。今後のテレビの可能性を狭めるか広げるかは、放送各社の方針と戦略次第です。
地上波放送局の更なる進化により積極的にネットと連携できるか否かにかかっています。積み上げた信頼と実績はテレビの財産です。ネットは手軽にアクセスできますが、人々の信頼性が高いのはやはりテレビ。大きな企画もテレビの方が実現しやすいし、放送技術や機材・設備のレベルもテレビが圧倒的に勝っています。こうした利点を生かせば、可能性はいくらでも広げられる。だから、ネットへのネガティブな先入観や姿勢は、もはや変革や進化の邪魔になるのではないでしょうか。
まもなく地上波でもネット同時配信が始まり、ネットとテレビのコラボレーションがさらに進みます。ネットとテレビを別物として対比させるのではなく、もっと自由自在におもしろがりながら、新しいメディアの在り方を追求していきたいですね。

休日も、ついつい気になる
「音」の世界

インドア派で、動画を見たりゲームをしたりして過ごしています。大学時代にやっていたギターを最近また弾き始めました。仕事柄、地上波を見る時間も増えました。福岡の他局にいる友人が作った番組を見たり、自分が担当した番組を見直しては反省したり。仕事でヘッドホン越しに聴く音と、テレビで聴く音との印象の違いを感じては、あれこれ考察したりしています。