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ローカライズに舵を切り人気を確立。東京発ビストロの挑戦

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店の前を通るたび、いつもお客が多いなぁという印象。それも週末に限らず、平日の夜もなんです。20代の若者を中心にワイワイ賑うその光景は眩しく、あぁ福岡の街に活気が戻ってきたなぁと、見ているこちらまで気分を明るくしてくれます。

かしわビストロバンバン外観 撮影:弓削聞平

「ミシュランガイド東京」に掲載された姉妹店「リゾットカレースタンド」のリゾットカレーという話題のメニューをひっさげて、2017年に福岡にオープンした「かしわビストロ バンバン」。私も当時すぐに行ってみて、東京の人気店の実力を実感した記憶があります。あれから5年、激戦区・薬院にて今なお人気を維持する秘訣を探るべく再訪しました。

かしわビストロバンバン内観

カジュアルで入りやすい雰囲気の店構え、さらに「いらっしゃいませ!」と笑顔で迎えてくれるスタッフたち。入店した時点で、ほっと一息リラックスできるのって大事ですね。そしてメニューを見てみると、あれ? 以前とはずいぶん内容が変わったような……。

「同じ内容でずっと人気を保つのは難しく、やっぱり5年の間に停滞することもありました。僕らも試行錯誤し、その結果、今があるという感じです」と、オーナーの高城直哉さんは振り返ります。

かしわビストロバンバンオーナー

高城さんは、2007年に開いた立ち飲みバルのパイオニア的存在ともいえる「世田谷バル」を皮切りに、東京で着実に事業を広げてきました。福岡には縁もゆかりもありませんが、「『バンバン』の本店には全国から視察がきていたんですが、なかでも福岡からの視察が多くって。それで逆に僕らも気になって福岡に来てみたところ、あっという間に人脈がつながって、今泉に店舗をオープンすることになったんです」と話します。

東京で話題の店だけにすぐに福岡でも人気店に仲間入りしたものの、「しばらく経ってからいろいろご指摘をいただくようになり、これは改善が必要だ」と本店と同じにしていたメニュー構成、価格、ボリュームをさっそく見直し、ローカライズの方向に舵を切りました。

かしわビストロバンバンメニュー

現在のメニューは、おつまみ、サラダ、揚げ物、鶏料理、温かい料理、アヒージョなどなど種類豊富。福岡でも人気の本店メニューに、今泉店のオリジナルメニューがちょこちょこ組み込まれています。また、ほとんどの料理が1,000円アンダーという嬉しい価格帯です。

それでは、いよいよ実食タイム! 今回は高城さんにおすすめを聞きながら選んでみました。

かしわビストロバンバン無限ピーマン かしわビストロバンバンたたき

1品目は写真左の「バンバンの無限ピーマン」(440円)です。紫キャベツのラペ、さっと素揚げしたピーマン、その上にかかっているのはイタリアン定番のトンナトーンソースです。いわゆるツナマヨなのですが、このソースがまろやかで上品ゆえピーマンのシャキシャキ具合が際立ちます。
2品目の「地鶏たたきの胡麻だれ」(748円)は今泉店のオリジナルで、胡麻サバから発想したメニューだそう。オリーブオイルを仕上げにたらしたタレは和洋折衷な味わいです。

かしわビストロバンバンしいたけ

3品目の「肉厚しいたけと雲仙ハムのあつあつオーブン焼き」(1,018円)は、秋冬に登場する旬メニューです。オーブンで焼いたときにハムから滲み出る肉汁を逃さないよう、しいたけがキャッチ! 一方でしいたけのエキスを封じ込めるハムという、見事な連携プレー。ガブリとかじれば、ダブルの旨味が口いっぱいに広がります。

かしわビストロバンバンローストビーフ

4品目は看板の唐揚げを差し置いて最近一番の人気を誇る「特選牛ハラミのロースト」(150g1,898円~)です。筋の処理をかなり細かくするなどの下処理、また、焼きと寝かせの時間のバランスをとりながら、じっくりローストしたお肉はとってもやわらか。ホテルやイタリア料理店出身の高城さんの経験を生かしたシャリアピンソース、付け合わせのポテトグラタンも本格的です(付け合わせはローストポテトのときもあり)。

かしわビストロバンバンニョッキ かしわビストロバンバンカレー

次は「ゴルゴンゾーラのニョッキ」と「リゾットカレー」(各1,078円)です。もっちりしたニョッキは濃厚なゴルゴンゾーラソースでパンチのある一品、リゾットカレーはチーズリゾットとスパイスチキンカレーが互いを牽制するように個性を発揮しながらも、やがて肩を組み合い仲良く融合していくというストーリー性を感じる一品です。そして2品とも、お腹を満たすメニューでありながら、ワインにもよく合うんです……。

かしわビストロバンバンデザート かしわビストロバンバンプリフィックスコース

実は「バンバン」にはグランドメニューから選べる4品、特選牛ハラミロースト、デザート、そして2時間飲み放題が付いて4,400円という破格のプリフィックスコースがあるんです。つまり3品目の厚切りシイタケを除いて、上に登場したメニューはプリフィックスコースで楽しむことができるというわけです。プリフィックスコースは2名から頼め、人数が増えればその分ボリュームも増やしてくれます。この内容でこの値段とくれば、それはもう若者たちの強い味方になりますね。

ほかにも写真映えするように食器を和の器に変えたり、食べ歩きをする中で見つけたトレンドやアイデアをもとに新メニューを次々と開発するなど、「常にブラッシュアップすることを大切にしています」という高城さん。本日10月5日、5周年に入りましたが、「まだ改善の余地ありです」とにっこり。笑顔の中から、今の人気に甘んじない強い姿勢を感じました。

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この記事を書いたひと

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