飲食店がひしめき、全国の食通が注目する街・福岡。この街で、食を通して人々に笑顔を与えている、料理人やソムリエたちをゲストに迎え、ここ10年でのべ1万軒外食している弓削聞平と、世界中の食を語れるアナウンサーになりたい田中みずきの2人が、彼らの情熱の源に迫ります。
~RKBラジオ弓削聞平スマイルディッシュ(2021年3月に終了)より~
今回のゲストは、立ち飲みの店「MEGUSTA」「NEO MEGUSTA」などを経営する落水研仁さん。弓削さんと田中アナは福岡市中央区赤坂の「MEGUSTA」を訪ねました。地下鉄赤坂駅の真上と、まずは立地がいい! そして、「コンクリート打ちっ放しに、木のテーブルの温もり。おしゃれなお店ですね」 と田中アナの第一印象も良好。
「立ち飲みの店ですが、女性客にも来てほしくて、昔ながらのいかにもという雰囲気にしたくなかったんです」と落水さん。
確かに、ひと昔前の立ち飲み屋といえば、酒屋の一角でおいちゃんたちが乾き物をつまみに一杯ひっかけるというイメージ......。しかし最近の立ち飲みは全く別物です。弓削さんも、最近の立ち飲み屋は若者も多く、お洒落な店が続々と増えた、と感じているそう。その火付け役となったのが「MEGUSTA」です。
揚げ出し豆腐、カキフライと定番料理の他にも、もつ鍋アヒージョなど福岡の名物をアレンジしたオリジナルメニューや果実酒など、ドリンクも充実しています。
「料理もお一人様がオーダーしやすいように、小皿にして単価を安く設定しています」と落水さん。
「女性は少しずつ色々食べられるのがうれしい!」と田中アナ。
「これは男性もうれしいですよ。一人で行っていくつも頼めるのがいいんです」と弓削さんも語ります。
「MEGUSTA」とはスペイン語で「いいね」「好き」という意味。1号店(福岡市中央区薬院)はスペインの立ち飲みバルをイメージしてスタートしました。以前はバーなどを経営していた落水さんがこの形態の店を始めたのは、スペインへ行ったときの実体験が一つの契機だったのだそうです。
「スペインの立ち飲みバルは、言葉が通じなくても、隣の人とフレンドリーに触れ合うことができる。一口サイズで手頃な価格の料理もとても面白くて、気軽で楽しかったんです」
そしてもう一つ、生まれ育った環境が大きいと言葉を続けます。そう、落水さんは角打ち発祥の地とも言われる北九州の出身なのです。「立ち飲み屋の雰囲気には子どもの頃から馴染みがありました。酒屋の前を通ると朝から楽しそうに飲んでいる大人がたくさんいましたから」なるほど!
オープン当時は同形態の店はまだまだ少なかったそう。
弓削さん曰く「僕が若い頃、2000年に入って、東京でスパニッシュバルが流行ったんです。でも福岡では立ち飲みが定着しなかった。その頃のことを覚えている世代が口を揃えて言うのは、『福岡人はみんな座りたがる。最初立ち飲みで始めた店も、次に行ったらもう椅子置いとるもんね』って(笑)」
実際、落水さんもオープン当時、周囲からは反対の声も多く、やはり椅子を置こうかという岐路があったと言います。
「でも、立ち飲みの一番の魅力は、椅子がないことでお客さん同士の距離が近くなることなんです。そこでコンタクトが生まれやすい。隣の人と、ごく自然な感じでちょっと触れ合いがあって、そこから会話が生まれます。椅子を置いてしまったら立ち飲みの良さが消えてしまう」と、初志を貫いた落水さん。立ち飲みの魅力を知っている弓削さんも深くうなずきます。
「見知らぬ人でも、同席した縁で話をすると、そこから全く知らない世界の話が聞けることがある。それはすごく面白いし、仕事に役立つこともあるんです」
そこにあるのは美味しい料理や酒が好きという共通項。だからこそ、すっと打ち解ける。そして時には次の約束に繋がり、人の輪が広がっていくのです。
「卒業後はサラリーマンをやっていました。でも自分は学生の頃から飲食店をやると決めていたので、すべてそれに向けてのステップと思っていました。当時はかっこいい内装のカフェに憧れていたので、インテリアの仕事に就いて勉強もしました」
そうして時を経てサラリーマンを辞めた落水さん。なんと、飲食店で修行することもなく、退職して2週間後には店をスタートさせたのです。
「すごい度胸ですね! でも、分からないことだらけだったでしょう?」
という弓削さんの質問にも、落ち着いて答える落水さん。
「そうですね。でも自分は人一倍飲み歩いていて、そしていつも自分でお店をすることしか考えていませんでした。店の空間作りから接客まで全てトータルで、もし自分がここを経営するなら......みたいな感じで見てたんです」。
「こう言っちゃなんですが僕も人一倍飲食店に行ってますけど、自分でお店をできる気が全くしません!(笑) やっぱ若さなのかな......」と弓削さん。
「今からでも遅くないですよ。みんな期待してます」と笑顔で返す落水さん。
「一度決めたらポンと進む、すごさがありますね。石橋を叩いて渡るタイプではないですよね」と感心する田中アナに、
「いえ、自分はめちゃくちゃ考えて石橋も叩き過ぎて割ってしまうタイプです。でも人生やるかやらないか。やらなければ何も始まらないので、最後はやる! と決めています」
そんな落水さんのバイブルは『スラムダンク』! 「〈諦めたら試合終了〉や〈負けたことがいつか糧になる〉的な教訓が本当泣けてきちゃって。コロナの営業自粛中も読み直しました(笑)」
決して最初から順調だったわけではありませんでした。でも常にその経験を糧にして前進してきた落水さん。最近では近辺に数軒の立ち飲み店もオープンし、お客さんがはしごするようになってきました。
「お客様がぐるぐるぐるぐる回り出して、これすごくいいなって感じるようになりました」と嬉しそうに話す落水さん。そして新たなる目標は......。
「立ち飲みの本場スペインでバルをやりたいですね。そこでコテコテの日本的な料理を出すんです」
落水さんの挑戦はまだまだ続きそう。元気をもらえるお話を有難うございました。
RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」番組公式Twitter @rkbyuge 2021年1月放送
#COMATSU #コマツ #松村宗孝 #弓削聞平 #田中みずき
ライタープロフィール:本田淑子
フードディレクター&栄養士
食の企画あれこれ。魚食を盛り上げる「サカナグミ」や子ども達と一緒に料理を楽しむ
「放課後ゴハン倶楽部」なども主催。https://www.plantecook.com
*RKBラジオ「スマイルディッシュ」は2021年3月で終了いたしました
~RKBラジオ弓削聞平スマイルディッシュ(2021年3月に終了)より~
今回のゲストは、立ち飲みの店「MEGUSTA」「NEO MEGUSTA」などを経営する落水研仁さん。弓削さんと田中アナは福岡市中央区赤坂の「MEGUSTA」を訪ねました。地下鉄赤坂駅の真上と、まずは立地がいい! そして、「コンクリート打ちっ放しに、木のテーブルの温もり。おしゃれなお店ですね」 と田中アナの第一印象も良好。
「立ち飲みの店ですが、女性客にも来てほしくて、昔ながらのいかにもという雰囲気にしたくなかったんです」と落水さん。
確かに、ひと昔前の立ち飲み屋といえば、酒屋の一角でおいちゃんたちが乾き物をつまみに一杯ひっかけるというイメージ......。しかし最近の立ち飲みは全く別物です。弓削さんも、最近の立ち飲み屋は若者も多く、お洒落な店が続々と増えた、と感じているそう。その火付け役となったのが「MEGUSTA」です。
揚げ出し豆腐、カキフライと定番料理の他にも、もつ鍋アヒージョなど福岡の名物をアレンジしたオリジナルメニューや果実酒など、ドリンクも充実しています。
「料理もお一人様がオーダーしやすいように、小皿にして単価を安く設定しています」と落水さん。
「女性は少しずつ色々食べられるのがうれしい!」と田中アナ。
「これは男性もうれしいですよ。一人で行っていくつも頼めるのがいいんです」と弓削さんも語ります。
「MEGUSTA」とはスペイン語で「いいね」「好き」という意味。1号店(福岡市中央区薬院)はスペインの立ち飲みバルをイメージしてスタートしました。以前はバーなどを経営していた落水さんがこの形態の店を始めたのは、スペインへ行ったときの実体験が一つの契機だったのだそうです。
「スペインの立ち飲みバルは、言葉が通じなくても、隣の人とフレンドリーに触れ合うことができる。一口サイズで手頃な価格の料理もとても面白くて、気軽で楽しかったんです」
そしてもう一つ、生まれ育った環境が大きいと言葉を続けます。そう、落水さんは角打ち発祥の地とも言われる北九州の出身なのです。「立ち飲み屋の雰囲気には子どもの頃から馴染みがありました。酒屋の前を通ると朝から楽しそうに飲んでいる大人がたくさんいましたから」なるほど!
オープン当時は同形態の店はまだまだ少なかったそう。
弓削さん曰く「僕が若い頃、2000年に入って、東京でスパニッシュバルが流行ったんです。でも福岡では立ち飲みが定着しなかった。その頃のことを覚えている世代が口を揃えて言うのは、『福岡人はみんな座りたがる。最初立ち飲みで始めた店も、次に行ったらもう椅子置いとるもんね』って(笑)」
実際、落水さんもオープン当時、周囲からは反対の声も多く、やはり椅子を置こうかという岐路があったと言います。
「でも、立ち飲みの一番の魅力は、椅子がないことでお客さん同士の距離が近くなることなんです。そこでコンタクトが生まれやすい。隣の人と、ごく自然な感じでちょっと触れ合いがあって、そこから会話が生まれます。椅子を置いてしまったら立ち飲みの良さが消えてしまう」と、初志を貫いた落水さん。立ち飲みの魅力を知っている弓削さんも深くうなずきます。
「見知らぬ人でも、同席した縁で話をすると、そこから全く知らない世界の話が聞けることがある。それはすごく面白いし、仕事に役立つこともあるんです」
そこにあるのは美味しい料理や酒が好きという共通項。だからこそ、すっと打ち解ける。そして時には次の約束に繋がり、人の輪が広がっていくのです。
「卒業後はサラリーマンをやっていました。でも自分は学生の頃から飲食店をやると決めていたので、すべてそれに向けてのステップと思っていました。当時はかっこいい内装のカフェに憧れていたので、インテリアの仕事に就いて勉強もしました」
そうして時を経てサラリーマンを辞めた落水さん。なんと、飲食店で修行することもなく、退職して2週間後には店をスタートさせたのです。
「すごい度胸ですね! でも、分からないことだらけだったでしょう?」
という弓削さんの質問にも、落ち着いて答える落水さん。
「そうですね。でも自分は人一倍飲み歩いていて、そしていつも自分でお店をすることしか考えていませんでした。店の空間作りから接客まで全てトータルで、もし自分がここを経営するなら......みたいな感じで見てたんです」。
「こう言っちゃなんですが僕も人一倍飲食店に行ってますけど、自分でお店をできる気が全くしません!(笑) やっぱ若さなのかな......」と弓削さん。
「今からでも遅くないですよ。みんな期待してます」と笑顔で返す落水さん。
「一度決めたらポンと進む、すごさがありますね。石橋を叩いて渡るタイプではないですよね」と感心する田中アナに、
「いえ、自分はめちゃくちゃ考えて石橋も叩き過ぎて割ってしまうタイプです。でも人生やるかやらないか。やらなければ何も始まらないので、最後はやる! と決めています」
そんな落水さんのバイブルは『スラムダンク』! 「〈諦めたら試合終了〉や〈負けたことがいつか糧になる〉的な教訓が本当泣けてきちゃって。コロナの営業自粛中も読み直しました(笑)」
決して最初から順調だったわけではありませんでした。でも常にその経験を糧にして前進してきた落水さん。最近では近辺に数軒の立ち飲み店もオープンし、お客さんがはしごするようになってきました。
「お客様がぐるぐるぐるぐる回り出して、これすごくいいなって感じるようになりました」と嬉しそうに話す落水さん。そして新たなる目標は......。
「立ち飲みの本場スペインでバルをやりたいですね。そこでコテコテの日本的な料理を出すんです」
落水さんの挑戦はまだまだ続きそう。元気をもらえるお話を有難うございました。
RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」番組公式Twitter @rkbyuge 2021年1月放送
#COMATSU #コマツ #松村宗孝 #弓削聞平 #田中みずき
ライタープロフィール:本田淑子
フードディレクター&栄養士
食の企画あれこれ。魚食を盛り上げる「サカナグミ」や子ども達と一緒に料理を楽しむ
「放課後ゴハン倶楽部」なども主催。https://www.plantecook.com
*RKBラジオ「スマイルディッシュ」は2021年3月で終了いたしました
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