「店名に〝カレー〟と入っていますが カレー屋さんではありません。NEHAで扱う作家さんのうつわを使って 自然農をやっているお友達のお野菜も使わせてもらって 自分の好きな色んな国の料理を出す食堂です。もちろん all vegan!」
インスタグラムで、こんな投稿を見つけてビビッ!ときた私。器も、野菜料理も、海外の料理も大好きなので、これは気になると早速出かけました。
やって来たのは、柳橋連合市場にも近い「清川サンロード商店街」。その脇道を進んだ場所に目指す店「Will you curry me ?」はあります。水曜から土曜日の週4日間営業で、土曜日は15時半からオープンしていますよ。可愛らしい青い鳥のロゴが目印で、扉には「ART EAT MEET」の文字が。外観からすでに素敵なお店の雰囲気がプンプン漂っていますが、扉を開いてさらにテンションが上がりました。床に壁紙、照明にスツール、さり気なく置かれた花瓶や飾られたアートも……おしゃれ~!
ワクワクソワソワしている私を、店主の白神優賢(しらがまさたか)さんが笑顔で迎えてくれました。白神さんは器やグラスを中心に、洋服やレコード、古道具なども扱うセレクトショップ「NEHA(ネハ)」(大手門)のオーナーでもあります。元々「NEHA」はこの場所・清川に店を構えていましたが、昨年2月に大手門へ移転。以前から「ヴィーガン料理の店をやりたい」という思いがあり、今年の1月より「Will you curry me ?」を始動したそうです。
白神さんが菜食主義になったのは、音楽活動を行っていた25年前のこと。好きな海外アーティストにヴィーガンが多く、興味が湧いてはじめてみたところ自分の体に合っていると感じ、そこからヴィーガン料理を作るようになったと言います。大学時代にはインド人が作る本格的なスパイスカレーにハマり、ヴィーガンカレーもいろいろと自作するようになったそう。料理は独学だそうですが、私は白神さんの料理を一口食べて心の中でガッツポーズしました。
――お店の雰囲気だけじゃない、料理もめちゃくちゃセンスがいい~。
まずは、お酒のアテになる野菜料理を盛り込んだ「前菜5種盛り」(1,500円)をいただきました。特製のアラビアータソースを絡めた燻製オリーブ、香りの良いカレーソースのペンネにカリフラワーのジェノベーゼ、ヴィーガンクリームチーズやピーナッツバターでコクを出したパンプキンサラダはシナモンのアクセントも絶妙。ニンジンが甘く、クミンに加えてほんのりと赤紫蘇が香るキャロットラペも美味しいです。
こちらは、水で戻して潰したひよこ豆にパセリやコリアンダーシード、クミンなどを混ぜて揚げた「ファラフェル」(2pcs300円)。外はカリッ、中はホクホクで、こちらもクセになる美味しさです。鳥取県の「自然農園とき」から届いたビーツで作るソースと、少しだけ添えたハリッサの辛味がまた食欲をそそります。
白神さんの友人で、ニューヨーク・ブルックリンにアトリエを構える人気陶芸家・SHINO TAKEDAさんによる器も素敵。作品は「NEHA」でも取り扱っているそうですよ。
お客さんの好みを聞いてその場で仕上げるという「即興カレー」(1,000円)も気になりましたが、この日は「ビリヤニ」(1,300円)をいただくことに。アフガニスタンの骨董だという器もかっこいいですね。
ビリヤニは、注文を受けてから予め仕込んでおいたヴィーガングレイビー(カレーの素となるベース)とパキスタンのバスマティライスを合わせて作るスタイルだそう。このビリヤニ、一口食べて驚きました。めちゃくちゃ美味しいです! タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、カリフラワー、キノコなど、炒めたり煮込んだりした野菜の多彩な食感と旨味、スパイスの香りがとりどりに広がり、時折あたるレーズンの甘味も巧み。夢中でかき込みながら、さらにハッとしました。――野菜のみでこの旨味と満足感、本当にすごい。
店舗より提供、大手門にある「NEHA」の店内。撮影:ittokuchang
器や雑貨、洋服、音楽のセレクトから料理まで、こんなにセンスがいいなんて一体何者なの!? そう思い話を聞いてみると、白神さんにはこんなバックグラウンドがありました。
「母や祖母、ピザ屋やコーヒーショップを営んでいた父の影響で、子供の頃から洋服、料理、音楽が大好きだったんです。大学卒業後は故郷の兵庫県神戸市でアパレルショップを開きました。自身のブランドも立ち上げ、音楽イベントの企画や舞台衣装のデザインを手掛けたり、ときにはカレーを出したり、アーティストのツアーに同行してヴィーガン料理のケータリングを担当することも。
その後東京へ拠点を移し、やがて淡路島へ移り住んで器や雑貨をセレクトする「NEHA」を開いたんです。淡路島の店舗は広い古民家で、目の前に海がある環境の良いところでしたが、“知らない町に住みたい”という思いが自分の中に常にあって……。福岡を訪れ、街のちょうどいいサイズ感に惹かれて2019年に移住を決めました」
さらに、ヴィーガン料理についてもこう話します。
「ヴィーガンと言うと、とっつきにくい、ハードルが高いと言われることもあるのですが、全然そんなことはなくて。たくさんある料理ジャンルの一つとして、おいしい野菜料理を食べたいと思った時に気軽に寄ってもらえる店にしたいなぁと。中東料理にパスタ、カレーもあれば餃子もある……、オールヴィーガンで僕の好きないろんな国の料理を出していきますよ。山梨にあるチーズとワインの店『montara』セレクトのナチュラルワインもあるし、クラフトビールやノンアルコールカクテルも少々用意があるので、その日の気分で自由に楽しんでもらえると嬉しいです」
「音楽、洋服、器、料理と、バラバラのことをやっているように思われますが、僕にとってはみんな同じ。自分で作れるものは作りたい!好きなものに囲まれた空間造りをしたい!という気持ちが強いですね」と笑顔で話す白神さん。
友人のミュージシャンが作ってくれたというミックステープから、親交のあるアーティスト・平山昌尚さん(HIMAA)とgeeekmanさんに作ってもらったという「Will you curry me ?」オリジナルのマグやサインプレート、3人の職人・作家に製作を依頼したというスツールまで……。この場所にいるだけで、料理メニューを見るだけでも楽しい気持ちになれるのは、すべてに白神さんの“好き”がギュッと詰まっているからなんですね。
ちなみにお店のロゴである青い鳥とサインは、世界中に多くのファンを持つアーティスト・ナサニエル・ラッセル氏に描いてもらったものだそう。清川の路地裏で幸せの青い鳥を見つけたら、迷わず飛び込んでみてください。ワクワクする空間と美味しい野菜料理が待っています。
Will you curry me ?(ウィル ユー カリー ミー)
福岡市中央区清川1-11-15 ラロッシュ105
17:30~OS22:00(土曜15:30~)※変動の場合あり
ジャンル:各国料理、カレー
住所:福岡市中央区清川1-11-15 ラロッシュ105
電話番号:なし
営業時間:17:30~OS22:00(土曜15:30~)※変動の場合あり
定休日:日・月・火曜、他不定休あり
席数:カウンター8席
メニュー:前菜3種盛り1,000円~、ファラフェル2pcs300円、アボカドとトマトのスープ 白味噌仕立て500円、ビリヤニ1,300円・ハーフ750円、即興カレー1,000円、ナチュラルワイン1杯900円~
URL:https://www.instagram.com/will_you_curry_me
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