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西中洲のひっそりとした路地で堪能する「ぼく前」の寿司コース

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福岡屈指の飲食エリア・西中洲の中でも、寿司割烹の「河庄」、焼鳥の「藤よし」、おでんの「安兵衛」といった福岡を代表する老舗が並ぶ狭い路地。この場所でまだコロナ禍で街が静かだった昨年7月、店名どおりひっそりとオープンしたのが「すし処 西の隠れ」です。
半間(約90cm)ほどの狭い間口に掛かった赤いのれんをくぐって店内に入ると、右手の壁を円形にくり抜かれた水槽で赤白数匹の金魚が泳いでいました。ちょっとしたサプライズに、期待感が高まる演出です。

西の隠れ店内1 西の隠れ店内2

縦に細長い店内はカウンター8席のみのこぢんまりとした造り。銀杏の一枚板のカウンターと一体感のあるつけ場に立つのは、店頭の渡邊悠斗さん。メニューは昼、夜ともに予約制の「おまかせコース」のみで、今回はあらかじめ13,200円のコースを予約しました。

西の隠れ料理1 西の隠れ料理2

コースの序盤は4~5品の一品料理から。脂が乗った8キロ級の魚体を程よい厚さに引いた「クエの刺身」は、塩とすり下ろしたばかりの本わさびでいただきます。諫早湾で獲れた「小長井牡蠣」は、肉厚でなんともクリーミーな食感。一口ほおばれば、口中にジュワッと磯の香りが広がります。

西の隠れ料理3

続いて渡邊さんが、「うちのスペシャリテをどうぞ」と自信ありげに出してくれたのが、「マグロの脳天の味噌焼き」です。生で食べても美味しい「脳天」は目玉の上の部位で、火を通すとコラーゲン質が固まってプリッとした食感に。渡邊さんの地元・島原の麦みそと薬味の木の芽、花椒の香りが絶妙です。

西の隠れ寿司1 西の隠れ寿司2

元々はイタリアンから和食に転向し、その後寿司の修業をしたという渡邊さん。その経験を踏まえて「江戸前でも、博多前でもない"ぼく前"の寿司を追求しています」と、にぎりの土台となるシャリには2種類の米と3種類の酢をブレンドするなど、独自に研究した寿司を提供しています。柔らかな酸味のシャリは、特に平戸産のサヨリ、天草産のコハダといった光り物との相性が際だっていました。

西の隠れ寿司3 西の隠れ寿司4

マグロは部位の違う2貫が出てきます。この日は東京・豊洲市場のマグロ専門卸「結乃花」から仕入れた三宅島産の赤身のヅケと、福井産の中トロが握られました。同じ本マグロでも太平洋、日本海といった産地や部位によってそれぞれ個性があり、食べ比べできるのも経験値を上げてくれそうです。

西の隠れ寿司5 西の隠れ寿司6

魚種や産地だけでなく、調理法にも独自の工夫が見受けられます。対馬産のアオリイカはあえてマイナス60℃の超低温で急速冷凍することによって旨味を閉じこめ、自然解凍でその持ち味を存分に引き出しています。平戸産のイワシには細かく包丁を入れ、細かくペースト状にした高等葱の薬味をオン。独特の臭みを消しながら、新鮮な青魚の味が楽しめます。また、つけ合わせのガリもショウガではなく、新玉ネギや新ゴボウ、レンコンなどの季節野菜を使い、フレッシュな酸味で口の中をサッパリとしてくれます。

西の隠れ大将

「おまかせコース」は、6,600円(昼のみ)、13,200円、16,500円の3種類で、それぞれ一品料理とにぎりの品数が異なります。気さくな女将の接客も心地よく、カウンターでゆっくりと時間をかけて堪能することができます。

店舗名:すし処 西の隠れ
ジャンル:寿司
住所:福岡市中央区西中洲2-16-1F
電話番号:092-761-5557
営業時間:12:00~12:30入店/18:00~23:00(要予約)
定休日:火曜
席数:カウンター8席
個室:なし
メニュー:おまかせコース8,800円(昼のみ)、13,200円、16,500円
URL:https://www.instagram.com/yuto.w.t/

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この記事を書いたひと

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