2013年の創業以来、絶大な人気を誇る警固の居酒屋「百式」が、3月16日から今泉で営業しています。ビル建て替えに伴う移転ですが、長年のファンには心ざわめく“事件”に違いありません。というわけで、さっそく新生「百式」を体験してきました!
天神や薬院から近くなった新店は、ノスタルジックな玄関の赤煉瓦が目印。ガラス越しの店内には、早くも客とスタッフの笑顔が満開でした。そう、このラブ&ピースな空気こそ「百式」の魅力なんですよね。
が、前にはなかった変化がひとつ。今後は13時からの通し営業になり、明るいうちからのんびりと酔えるのです。これ、昼呑み派には感涙モノの朗報では?
随所に凝った工夫が見られる、レトロモダン風の店内も実に快適です。広さは警固時代とほぼ同じで、客席はカウンター30席。しかし今回はオープンキッチンを広げ、席数を20席も減らしたというから驚きです。
「料理をもっと良くするために、そう決めました」と微笑むのは店主の上山修さん。長年“究極の居酒屋”を目指し続ける固い信念を、何気ないその一言に感じるのは僕だけでしょうか。
その情熱の結晶たるメニューには、相変わらずうまそうな料理がびっしり。初見の名前もありますが、良質な九州産食材を用い、些細な仕込みも手を抜かない誠実さは健在です。旧「百式」の柱だった炉端焼き要素を残しつつ、系列店「めしや コヤマパーキング」のように小皿で提供する──それが新生「百式」のスタイルだとか。
値段は書かれていませんが、手元のQRコードをスマホで読み込めば確認可能。どれも1人前の値段で、主要価格は400~600円台と案外リーズナブルでした。これなら1人で来ても色々頼めそうですね。
僕も気になった料理を立て続けにオーダー。その一つが、刺身用の新鮮素材で作る「本気のアジフライ」(600円 ※写真はすべて1人前)です。短時間加熱した身をくるむ、パリッとした薄衣の歯触りが絶品。30種以上の野菜やスパイスで仕込む、自家製ウスターソースの出来も見逃せません。
また「軽いもつ煮込み Mr.青木仕様」(450円)は、飯塚の名店「焼肉のMr.青木」が卸す極上の小腸を使った自信作。脂をしっかり抜いた軽めの仕上がりですが、出汁と共に食すモツの滋味深さといったら! 日本料理の品格をさりげなくまとう秀作2品でした。
これに続く「鹿と知覧どりの炭火焼き」(500円)と、「吟醸豚の西京味噌焼き」(390円)には肉食の醍醐味がたっぷり。前者は福岡ジビエ界に一石を投じた「糸島ジビエ研究所」の鹿肉を使い、フカフカの柔らかな食感で驚かせてくれます。鹿児島産「さつま知覧どり」との食べ比べも楽しい、イチオシの炭火料理です。
後者は脂の甘さが特徴の「吟醸豚」に、これまた自家製の西京味噌を合わせたもの。酒粕で育ったこのブランド豚の仕入れ先は、うきは市の「リバーワイルド」です。かなりのうまさに酒杯が進む、なんとも罪な味でした。
そしてこの日一番の感動は、やはり「土鍋で炊いた白いご飯」(1杯800円)でしょう。なんと「鯛茶漬け」「高級ねこまんま」「牛丼」といった約13種のトッピングが付き、うち1種類をふっくら熱々の銀シャリにかけてくれるのです。あまりの魅力的な誘惑に、気づけば「鰆の漬け丼」と「蟹玉丼」の2種を頼んでいた僕(笑)。これはコンプリートを目指す人も増えそうですね。
さすがは「百式」。今度の店も、120%の期待に応える楽しさ倍増の居酒屋でした。ひたむきな努力でそれを形にする<チーム百式>の団結力にも舌を巻きます。
もちろん「すべてのお客様に最高の満足を」という、上山さんたちの挑戦に終わりはありません。その源にあるのは、料理、空間、接客のすべてに注がれる優しい視線。例えばフロアの壁に設けた、「洗面所使用中」を知らせるランプなどに僕はそれを感じます。そんな愛や真心が生む陽だまりの暖かさに触れたくて、僕らは明日も「百式」に足を運ぶのです。
百式
福岡市中央区今泉1-4-25サミット天神南1F
092-791-8385
ジャンル:居酒屋
住所:福岡市中央区今泉1-4-25サミット天神南1F
電話番号:092-791-8385
営業時間:13:00~OS22:00
定休日:不定
席数:カウンター30席
個室:なし
メニュー:本気のアジフライ600円、軽いもつ煮込み Mr.青木仕様450円、鹿と知覧どりの炭火焼き500円、吟醸豚の西京味噌焼き390円、土鍋で炊いた白いご飯(1杯)800円、炙りマグロ手巻き400円、蟹味噌クリームコロッケ500円、コース7,700円~
URL:https://www.instagram.com/_100shiki_/
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