上人橋通りから今泉側に入った路地でひっそりと隠れ家的に愛される居酒屋「喰酒堂 やんだ」。天草出身の大将・山田優さんが営む店で、九州が誇る地鶏・天草大王など多彩な酒肴が楽しめると聞いて訪ねてみました。
店に入ると手前に小上がり席、奥にカウンター席と個室があります。カウンターで常連さんたちが店主の山田さんとの会話を楽しみながら食事を楽しむ姿が印象的。「もともと『竜の字』という居酒屋だった店を私が受け継いで今年でちょうど10年が経ちますが、うちは常連さんがほとんど。名店なんてもったいなくて、ただの『路地裏の店』ですよ」と笑って話します。
ただ山田さんは18歳から和食の世界に入り、それから関東の旅館や割烹を中心に研鑽を積んだ確かな腕を持つ料理人です。そういった伝統的な和食の世界で生きてきたからこそ、「お客さんと直接顔を合わせ、会話をしながら同じ時間を過ごす居酒屋業態に身を置きたいと思いました」と話します。
メニューを見てみると、天草大王が冒頭に書かれています。店主の山田さんが天草出身ということもあり、名物に掲げているのでしょう。ただ、「まずはビールと」と書かれた「名物!やんだのポテサラ」(600円)が気になり、「生ビール 中」(600円)と共に注文しました。
数分で提供されたポテサラは上にポテトフライが盛られ、いかにもビールに合いそう! 食べてみるとパリパリと香ばしい食感、さらに上から特製カレーソースがかけられ、つまみにピッタリです。山田さんは「タマネギやキュウリといった水分を多く含む野菜は混ぜ込まないことでベチャッとしないようにしています」と工夫を教えてくれました。
ポテサラをいただいている間にオーダーしておいた「天草大王刺盛り合わせ 中」(1890円)の到着です。売り切れ御免の看板メニューで、熊本から届くのは火・木・土曜とのこと。つまり、これらの曜日を狙って行くのがおすすめというわけですね。
モモ肉とムネ肉のたたき、レバー、ハツ、砂ズリ、皮を一度に味わうことができる贅沢な一皿で、もちろん同店の人気No.1メニュー。モモ肉は噛むほどに旨味が広がり、ゴマ油と塩でいただくレバーは濃厚でとろける食感。さらにショウガ醤油でいただいた砂ズリは驚くほどコリコリ! やっぱり地鶏の刺身は最高ですね。
山田さんの奥さんが唎酒師の資格を持っているということで、刺身に合う日本酒も選んでいただきました。
次にいただいたのは刺身と同じく人気が高い「天草大王 大手羽焼き」(1本780円※写真は2本)。天草大王の中でも脂がのって、肉質も柔らかな雌鶏だけを選んでいるそうで、地鶏らしい一口目の噛みごたえはあるのですが、噛むほどに旨味が広がり、思わず「おいしい!」と口にしてしまいました。
肉が続いたのでここで魚をいただきます。おすすめされたのは「さばくん」(900円)。自家製の醤油ダレにじっくり漬け込んでスモークしたサバの燻製で、完成までに4日間を要するそうです。燻製ですがしっとりとした口当たりで旨味が凝縮されています。添えられた生クリームとクリームチーズを和えたたくあんと一緒にいただくとお酒が進むこと請け合い。持ち帰り用(1枚1,620円)も販売しており、手土産に買って帰る人も多いそうです。
最後はシメの麺をいただきました。チョイスしたのは「黒ごま素麺チャンプルー」(800円)。山田さんの奥さんが素麺の名産地、島原出身ということでグランドメニュー化したシメの一品。素麺チャンプルーというと、どうしてもベチャッとした仕上がりになってしまうイメージでしたが、こちらは麺の食感がしっかり残っています。聞くと、「黒ごまを練り込んだ素麺を使うと麺のエッジが立つんです。ですから素麺チャンプルーには、黒ごま入りの素麺が欠かせません」と山田さん。
ここの楽しみの一つは日替りのメニュー。鮮魚の刺身をはじめ、旬の野菜を使った一品料理などが多彩に揃います。天草大王など定番メニューを楽しみつつ、こういった日替りメニューを味わうのが「喰酒堂 やんだ」の楽しみ方。1人でもグループでも、料理も酒も妥協せず、食事を楽しみたいというニーズに応えてくれること請け合いです。
ジャンル:居酒屋
住所:福岡市中央区今泉2-4-69 ライトハウス1F
電話番号:092-721-4541
営業時間:18:00~OS23:00
定休日:日曜、他不定休あり
席数:カウンター8席、小上がり34席
個室:2~20名
メニュー:天草大王もも炭火焼1,100円~、雲仙ハム焼600円、とり天1,280円、チキン南蛮1,280円、パリパリ皿うどん880円~、もつ鍋1人前1,580円、天草大王地鶏味鍋1人前1,980円
URL:https://www.instagram.com/yandaryunoji/
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