今やすっかり"若者の街"として知られる大名。天神西通りから西側の狭い道筋に数多くの飲食店やアパレルショップが建ち並び、休日ともなると地元をはじめ、九州各地やアジア各国から訪れる若者で溢れかえっています。
しかし、明治通りを海側に渡ると、かなり様相が異なります。オフィスビルや新旧の高級マンションが建つ街並みは夜になると人通りも少なく、飲食店もまばら。そんな界隈に10年以上暖簾を掲げているのが「馳走や 直」で、知る人ぞ知る和食店として大名の中でも一目置かれている存在です。
場所は、中央区役所の正面にあるマンション「シャンポール大名」1階の郵便局の並び。ちょうどビルの外階段の下にあるため入口が分かりにくく、道路から隠れた感じが絶妙な佇まいです。カウンターで迎えてくれる主人の平松直幸さんは、和食一筋30年というベテラン料理人。確かな腕前とカウンター越しの軽妙なトークで、常連、一見を問わずに客をもてなしてくれます。
料理は日替わりのおすすめをはじめとするアラカルトもありますが、今回は6,600円のコースをお願いしました。先付、酒肴盛合せ、造り、料理2品、肉料理、穴子寿司、汁物、デザートという全9品の構成で、初めての客にはおすすめです。
この日の先付は、程よく冷えた「コーンのすり流し」。宮崎産の甘いコーンを粗めに摺ったスープはすっきりとした喉ごしで、初夏にぴったりの一品でした。
コースで必ず出される名物が、季節の食材を使った6種類の「酒肴の盛り合わせ」。この日は水菜ときのこの出汁びたし、半熟玉子の出汁醤油漬け、あん肝のポン酢ジュレ掛け、合鴨のロースト、自家製カラスミ、子イカのラインアップ。どれも日本酒に合わせた味付けで、利き酒師の資格を持つ平松さんオススメの地酒と合わせれば、いくらでも杯が進んでしまいそうです。
カウンター内には揚げ場が設置されており、季節の食材を目の前で天ぷらや唐揚げにしてくれます。この日は有明名産のマジャクが唐揚げで登場。塩を振ってカボスを搾り、殻ごとバリバリといけば、ワイルドな食感がたまりません。
和食の命ともいわれる出汁を味わえば、料理人の技倆がうかがえます。椀物で出された「帆立真丈」は蓋を開けた瞬間に出汁の香りが漂い、もうそれだけで美味しさが伝わってきました。ふんわりと蒸し上げた真丈に旬のタケノコと山菜、木の芽を添えた碗は、まさに和食の技が凝縮された一品。舌の肥えた客が贔屓にしたくなるのも頷けます。
最初は寿司職人としてキャリアをスタートしたという平松さん。その寿司を食べないことには帰れません。今回のコースで提供された名物の煮穴子は、口の中であっという間に溶けていきました。毎日長浜市場から仕入る魚を使った日替わりのにぎり(1貫400円~)も用意されているので、追加で注文することもできますよ。
現在の場所に店を移転する際、「季節の料理を、ゆっくり楽しんでほしい」とカウンターメインの店にしたという平松さん。カウンター席は埋まっていること多いので、早めの予約は必須です。5~6名で利用できる個室もあるので、グループでの利用や小宴会にもどうぞ。
ジャンル:日本料理、寿司
電話番号:092-741-8883
営業時間:17:30~23:00
定休日:水曜
席数:カウンター7席、テーブル6席
個室:5~6名
メニュー:刺身盛り合わせ(1人前)1,900円、酒肴の6種盛り1,200円、にぎり寿司(1貫)400円~、穴子の箱寿司1,650円、甘鯛の西京味噌焼き1,650円、宮崎和牛ステーキ2,900円~、おまかせコース6,600円・8,250円・11,000円
URL:https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40031943/
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