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先生が足りない! 若者の深刻な「教職離れ」“ペーパーティーチャー”って? 

「ペーパーティーチャー」という言葉をご存じでしょうか? 教員免許を持ちながら、採用試験を受けずに教職に就いていない人を指します。その数は全国で400万人以上いると見られています。深刻な教員不足を解決するためこうしたペーパーティーチャーを教育現場に呼び込むための取り組みが佐賀県で進められています。


◆「あなただけの感動と出会って!」教員の魅力訴え
佐賀県教委の担当者「みなさんはどんな先生になりたいですか。今の思いを胸に新たな一歩を踏み出してほしいと思っています」

先週、佐賀県庁で開かれた講習会。会場に集まったのは、教員免許を持っていながら教職に就いていない、いわゆる「ペーパーティーチャー」です。教員の魅力を伝えようと、教育委員会の担当者が熱弁をふるいます。

佐賀県教委の担当者「1日として同じ日がない中で、あなただけの感動と出会ってください」

講習会を開いた背景にあるのは、深刻な教員不足です。佐賀県教育委員会によりますと、公立の小中学校や高校などで不足している教員の数は、2023年度は64人に上りました。

内訳:小学校14人、中学校33人、高校10人、特別支援学校7人

2022年度から2割以上増加していて、教員不足に歯止めがかからない状況となっています。佐賀県では2022年度から、年1回だった公立小学校の教員の採用試験を年2回に増やしました。


◆「子育ても一段落したので、残りの人生を教員で」
参加者の思いも様々です。

参加者「やってみたいとは思っていたんですが、私に務まるかな……と思って。時間的な問題もあるし、教壇に立って授業できるかどうかということもあるので」「教員採用試験に20数年前は通らなかったので、一般企業に就職して結婚して子育てを経て、子供も一段落したので残りの人生を教員としてやっていきたいなと思っています」

教員免許はこれまで10年ごとに更新が必要でしたが、2022年7月に更新制度が廃止されたことで、無期限で使えるようになりました。全国で400万人以上いると見られる「ペーパーティーチャー」。ただ、その中には、結婚や出産を機に教職を離れた人もいれば、一度も教壇に立った経験がない人もいます。

佐賀県教職員課 岡祐一郎課長「いろんな形の方がいますので、条件やケースに応じて対応していく必要がある」


◆教育現場の「急激な変化」に対応できるか
ICT(情報通信技術)の導入や学習指導要領の改訂など、近年めまぐるしく変わる教育現場。教育行政学を専門とする教授は、「ペーパーティーチャー」を活用するにはこうした変化への対応が必要だと説明します。

佐賀大学教職大学院 平田淳教授「10~15年前の教育実習ではほとんどやっていない。現場の変化は非常に激しいので、ブランクを持っていてすぐに対応できるか、それに対してどれくらいの準備ができるのか、が懸念ですよね」


◆「若者の教職離れ」に必要な抜本的対策
文部科学省が2022年度に実施した調査によると、国が定める上限(月45時間)を超える残業をした教員の割合は、小学校で64・5%、中学校で77・1%に上っています。教員の人手不足の解決には、働き方を見直すなど抜本的な改革が必要だと平田教授は指摘します。

佐賀大学教職大学院 平田淳教授「問題の根幹にあるのは、若者の教職離れですよね。これが本丸。原因は一体何なのか。どうやったら若者が教職に戻ってくるのか、というところをなんとかしない限り、ペーパーティーチャーという取り組みをやったとしても、大きな改善につながるかというと、果たしてどうなんだろうか」

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この記事を書いたひと

岩本大志

1991年生まれ 長崎県出身