かつて、車のCMで「友達以上、恋人未満」というキャッチコピーがありましたが、和食店の中にも「居酒屋以上、料亭未満」と呼びたい店があります。その1軒が、赤坂の「お料理 うち山」です。
主人の内山広章さんは、2014年に西新で定食を中心にした「食堂ニコラ」を開店。やがて日本酒やワインに合わせた料理が評判となり、カウンターで提供するコース料理に特化した和食店として2021年赤坂に移転オープンしました。
場所は、大正通りから中央体育館方面に入ったビルの1階。暖簾をくぐって店内に入ると、鰻の寝床のような細長いスペースに、樹齢400年といわれる松の一枚板を使った6メートルものカウンターが伸びています。
提供しているのは、季節の食材を使った「おまかせ料理」(8,580円)のみ。主人の内山さんと女将の理加さんの2人で切り盛りしているため、18時半、19時半の2部制一斉スタートで、前日までの完全予約制となっています。
「おまかせ料理」のコースは、前菜・刺身・手巻き寿司・茶碗蒸し・椀物・魚料理・肉料理などの8~9品が基本構成。この日の1品目は「生ゆばとたたきオクラとウニ、かつお出汁のジュレ掛け」でスタートしました。細かく刻んで叩いたオクラが発する初夏の香りとかつお出汁の風味が絶妙にマッチして、なんとも食欲をそそる一品でした。
お次は「新レンコン饅頭とおかひじきのあんかけ」です。おかひじきは外見が海藻のひじきに似た野菜で、シャキシャキとした歯ごたえが身上。新レンコンをすり下ろして蒸した饅頭のモッチリとした食感との対比に、かつお出汁のあんが香ります。
この日の刺身は、モウゴウイカ、ヒラスのハラミ、カツオのタタキ。旬のモンゴウイカは甘みとともに口の中でとろけ、ヒラスはカボスを搾りかけるとさらに脂の旨さが際だちます。そして、皮目をしっかりと焼いたカツオのタタキは、筆者にとってまさに今シーズンの梅雨入り前に初めて食べた「初鰹」。食材で季節感を知らせてくれる、和食の技に感謝です。
この店のスペシャリテともいえるのが、コースの中盤に出される手巻き寿司。この日はパリッとした海苔と酢飯の上にうなぎの蒲焼きを乗せ、その間にルッコラが挟まれていました。うなぎの薬味といえば山椒が一般的ですが、独特の風味と苦味のある西洋野菜のルッコラにも合うのは、意外な新発見。こうした食材の使い方、組み合わせに、内山さん独自のセンスを感じます。
コースを一通り堪能した後は旬の食材を炊き込んだ「土鍋ごはん」(1合1,700円~)も用意されています。炊き上がるまで30分ほどかかるので、ご注文はお早めに。
西新から店を移転してまで現在のスタイルに変更したのは、もともと「自分が好きな日本酒やワインに合わせた料理を作りたかった」という内山さん。それだけに冷蔵庫とワインセラーには、内山さんセレクトの地酒とワインが揃っています。特にワインは、内山さんイチオシの甲州の白とブルゴーニュの赤がメイン。その日の献立に合わせて、ぜひともペアリングをお試しあれ。
ジャンル:日本料理
住所:福岡市中央区赤坂1-1-17ライフ赤坂1F
電話番号:080-1540-0118
営業時間:18:30~(18:30、19:30の一斉スタートで完全予約制)
定休日:日曜、他に不定休あり
席数:カウンター11席
個室:なし
メニュー:おまかせ料理8,580円、土鍋ごはん(1合)1,700円~、日本酒760円~、グラスワイン900円~
URL:https://www.instagram.com/uchiyama0831/
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう