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素材の良さをそのまま伝えてくれる、やさしい味わいの和食

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九大六本松キャンパス跡地の再開発以来、目まぐるしい変貌を遂げている六本松。福岡市科学館や蔦屋書店が入る「六本松431」を中心とした六本松4丁目エリアは一段落した感がありますが、現在徐々に新しい店が増えているのがNHKや福大大濠高校の裏手にあたる六本松1丁目界隈。このあたりは戦後すぐに建てられた古い建物が並ぶ静かな住宅街ですが、それらをリノベーションした商店や飲食店がポツポツとできています。

そんな場所にある一軒家で9年前から営業しているのが「料理屋 よしかわ」です。以前は警固にあり、近くに事務所を構えていた筆者はたびたび通っていました。六本松に移転してからはしばらくご無沙汰しており、かなり久しぶりの訪問となりました。

よしかわ外観 よしかわ看板

梅雨空の下、夕刻に人通りの少ない道を地下鉄七隈線六本松駅から大濠公園方面に歩いていくと、鮮やかな紫陽花の彩りに囲まれた玄関口が見えてきます。暖簾をくぐると、カウンターで主人の吉川孝司さんが、以前と変わらぬ穏やかな笑顔で迎えてくれました。
警固の喧噪を離れてあえてこの場所に移転した頃は「通り沿いに寿司屋さんとたこ焼き屋さんくらいしかなかったんですけどね」と苦笑します。今ではスマホやSNSの発達で、“隠れ家“として営業するのも難しい時代のようです。

よしかわ_先付

コースは10品ほどで5,550円・7,700円・11,000円の3種類。今回は真ん中の価格帯でお願いしました。最初に出てきた先付けは、旬のシャコと冬瓜、沖縄産のカボチャ、トウモロコシ、サヤエンドウなどの炊き合わせ。ふんわりと出汁の香りが漂い、ジメジメとした天候を忘れさせてくれるような、やさしい味わいでした。

よしかわ_揚げ出し

素揚げにして面取りをした賀茂茄子と色鮮やかな桜エビは、出汁の旨味だけでいただきます。吉川さんの料理は「食材の良さを引き出すために、あまり手を加えません」というのが身上。それだけに食材の選び方をはじめ、切り方や火の通し方に気を配り、シンプルながらも深みのある料理を食べさせてくれます。

よしかわ_にぎり1 よしかわ_にぎり2

どのコースも、中盤で必ず出てくるのがにぎり寿司です。2貫の場合は酢締めか昆布締めにした旬魚と、この店の名物である煮穴子。この日は寿司ネタとしては珍しいアブッテカモ(スズメダイ)の昆布締めと、穴子の組み合わせでした。一年を通して対馬産の穴子を使っていますが、脂ののりが悪い夏場は敢えて穴子を出さない時期もあるとか。ふっくらと炊いた穴子をサッと炙り、ツメを塗った一口サイズのにぎりは、まさに口の中でとろけていくような食感です。

よしかわ_甘鯛

この日の焼き物は鐘崎産甘鯛のウロコ焼きに、おから、地ダコ、梅の蜜煮、五三竹、ソラ豆、新レンコンなど夏野菜を添えたもの。皮目をパリッと焼いた甘鯛をはじめ、塩味や甘味、酸味などそれぞれの食材の持ち味を引き出した料理の数々は、日本酒やワインに合わせる酒肴としても最適です。

よしかわ店内1 よしかわ店内2

一軒家の1階だけを使った店内は吉川さんの丁寧な仕事ぶりを見ながら料理が味わえるカウンター4席と、掘りごたつ式の個室が2室。可動式の壁を外してつなげると最大12名まで座れるので、小宴や気のおけない集まりにも利用できます。

店舗名:料理屋 よしかわ
ジャンル:日本料理
電話番号:092-732-6609
定休日:月曜
席数:カウンター4席、掘りごたつ10席
個室:2~12名名
メニュー:おまかせコース5,500円、7,700円、11,000円
URL:http://ryoriya-yoshikawa.area9.jp

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この記事を書いたひと

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