PageTopButton

昼なら非会員も入店可!平尾の「会員制寿司店」で贅沢ランチ

UMAGA

鮨 麻生 平尾山荘」は、福岡でも珍しい会員制の寿司店。独特の営業形態ゆえ初耳の人も多いでしょうが、まさに知る人ぞ知る大人の隠れ家であり、「あの扉の奥にはどんな贅沢が?」と想像をかきたてるミステリアスな一軒です。
が、決して庶民から縁遠い店でもありません。実はランチタイムに限って、非会員でも予約・利用が可能なのです。僕も予約がやっと取れ、興味津々だったその“素顔”を覗いてきました。

麻生外観

所在地は起伏の多い住宅街。樹々も豊かで上品な閑静さが漂います。店を会員制にしたのは「この静けさを乱さぬように」との配慮もあったとか。
店に着くのにやや手間取ったものの、モダンな2階建ての建物の前で看板を発見。うっかり見逃しがちな標札サイズですが、この奥ゆかしいセンスに“良店”を予感するのは僕だけではないでしょう。

鮨麻生カウンタ 鮨麻生個室

もちろん予感は的中。階段を上がった先のドアを開けると、なんとも温もりあふれる光景がありました。高い天井、木材と土壁、絶妙な角度で差し込む陽光、深みあるイチョウのカウンター。自然素材を巧みに配した美の集積所といった趣です。
客席はカウンター7席と個室1室。窓越しに緑を眺めながらの食事は、ディナー時とは違った魅力を添えるでしょう。
高級感と快適さが完璧に調和するデザインは、「シーサイドももち」などを手掛けた街づくりの第一人者、ZEN環境設計の中村久二さん。店主の吉田孝弘さんも、「この素晴らしい空間は私たちの自慢です」と目を細めます。

鮨麻生店主2

その吉田さんが振る舞うのは、寿司と料理を交互に出すコース。「料理で満腹になる前に、主役の寿司もしっかり味わってほしい」と初代料理長が採用した方法で、2012年の創業時には目新しいスタイルでした。“二代目”の吉田さんもその想いに共感し、常に独自の創意を加えながらこれを継承しているそうです。

鮨麻生料理1

今宵は11,000円のおまかせを注文。内容は月替わりで、魚介は主に上質な北部九州産を仕入れています。さて、そんな噂のコースは定番の貝のスープでスタート。滋養あるエキスで五臓六腑を温めたら、次は京都の伝統菓子「水無月」に見立てた水無月豆腐が供されました。ほの甘さとモッチリ感が楽しい胡麻豆腐です。

鮨麻生マグロ 鮨麻生ヤリイカ 鮨麻生氷室

最初の寿司の登場は、3品目のタコの湯引きの後でした。この日は舌に吸いつく滑らかさの対馬産マグロと、海ぶどうで風味を高めたヤリイカです。いずれもネタのしっとり感が印象的ですが、吉田さんが「その秘密は“氷室”です」と教えてくれました。氷の塊で食材を冷やす日本古来の冷蔵庫で、庫内の湿度が高いため鮮魚を乾燥させることなく保存できるのです。

ここで一旦、香ばしいカツオの藁焼を挟み、再び寿司の出番です。今度はコチとアジの2貫で、これまたスルリと気持ちよく胃に収まりました。美濃の赤酢を合わせたシャリの食感も絶品。これは水分の少ない新潟産寿司専用米に、コシヒカリを2割加えて粘りを与えた自信作です。

鮨麻生料理2

さらにコースは続きます。イサキの蕗味噌焼、寿司2貫(車海老、太刀魚)、もずくと渡蟹の酢の物、寿司2貫(イサキの炙り、ハマグリ)を経て、供されたこの炊き合わせはホッとする味でした。
鴨茄子やバイ貝など旬の素材に、各々異なる味を丁寧に入れたもの。今はなき老舗料亭「三光園」や「石堂橋 白つぐ」で研鑽した吉田さんの技量が窺える仕上がりです。「寿司屋の料理は酒に合うつまみ系が多い印象ですが、ここではしっかり季節を感じる和食をお出ししたいですね」。

鮨麻生ウニ 鮨麻生穴子

コースの総仕上げとあって、最後の寿司のうまさも別格。シャリとほぼ同量を乗せた甘み満点のウニも、トロトロに炊いたアナゴもこれ以上ない至福の味です。他にも、いなり、焼きたて玉子焼き、赤出汁、デザートが付く充実の構成でした。

ランチはディナーより少々値頃ですが、吉田さんいわく「料理とサービスの質を昼夜で変えることはありません」。僕もランチだけの体験ですが、「麻生」は楽しさで心潤うハイコスパな店だと思います。近年は県外・海外からの来客も急増中の人気店。ぜひ一度、皆さんも“昼限定の平尾のオアシス”を訪ねてみてください。

鮨 麻生 平尾山荘
福岡市中央区平尾5-11-3
092-524-5777

店舗名:鮨 麻生 平尾山荘
ジャンル:寿司
住所:福岡市中央区平尾5-11-3
電話番号:092-524-5777 完全予約制
営業時間:11:30~入店13:30/18:00~入店20:30(夜は会員制)
定休日:不定
席数:カウンター7席
個室:3~6名
メニュー:昼おまかせ8,800円・11,000円・13,200円、夜おまかせ14,300円・17,600円・22,000円
URL:https://sushi-aso.com/

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

この記事を書いたひと

UMAGA

homePagefacebookyoutubexinstagram

魅力的な福岡の食文化をもっと楽しんでいただくためのバイブルとして、厳選した信頼性のある情報を毎日更新中。