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“重油1リッターで7メートル”進むタンカー「日章丸」~2万5000キロ同乗取材の記録

中東産油国と日本を結ぶ「オイルロード」は往復2万5000キロ。巨大タンカーが、燃料の重油1リッターで進む距離はわずか7メートルだ。10回シリーズの8回目。(2013年8月30日~同年10月12日に同乗取材)

稀な「二重反転プロペラ」

日章丸には、世界に数あるタンカーの中でも稀な特徴がある。船のプロペラが二つあるのだ。「二重反転プロペラ」と呼ばれている。

佐々木・機関長「内側のプロペラと外側のプロペラが異なる方向に回転する」

重油1リッターで7メートル

プロペラを二つ使うことによって、推進力が増すほか燃費が向上するという。それでも、日章丸の燃費は、燃料の重油1リッター当たり7メートル。プロペラが1回転して進む距離だ。
日章丸は、1日に約670キロメートルを航行するので、使う重油は毎日100トンになる。

海水から“造水”設備

巨大な工場を思わせる機関室だ。船の心臓にあたるディーゼル・エンジンは、最大出力3万7000馬力。生じる熱エネルギーを、海水から飲み水をつくるシステムにも活用している。造水設備だ。

瀬戸口機関士「海水をヒーターに通して蒸発させ水滴にする。その水滴(蒸留水)に殺菌用の薬品とミネラル成分を入れて飲料水に」

1日に使う水は20トン弱

日章丸の造水設備は、海水を利用して1日に40トンの水を造ることができる。もっとも、1日に使う水は20トン弱で、大半がシャワーやトイレなどに使う雑用水だ。
飲料水は約1トンで、海水を蒸留した水を殺菌し、ミネラル分などを加えてつくる。もちろん、定期的に水質検査をしている。

飲み水1リットル「0,1円」

*飲料水用の蛇口からコップに水
RKB久間直樹「(水を飲んで)普通に水道水のような味で、塩気とかも特にありません」

 

ちなみに、造水設備の導入費用は約500万円。ランニングコストは、殺菌剤や混ぜるミネラル分の費用から計算すると、飲み水は1リットルあたり0,1円になる。

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