衆議院の「解散風」が強まる中、福岡でも各政党が候補者選びを急いでいます。北九州市の西部を選挙区とする福岡9区では、自民党が候補者を決めるための党員投票を実施することを決めました。市長選で争った因縁の構図となる可能性もあり、駆け引きが激しくなっています。
分裂回避に「党員投票」実施へ
松尾統章・9区支部長代行(福岡県議)「公平な、フェアな党員投票をお願いしたい。念頭にあるのは保守分裂回避です」
自民党福岡県連は12日午後4時に会見を開き、空白区となっている福岡9区の候補者選びについて、公募した上で議員を含めた2830人の党員による1人1票の党員投票を実施すると発表しました。
県連が「保守分裂の回避」を強調する背景にあるのが、2月の北九州市長選挙です。次期衆院選への立候補を表明している三原朝利市議が支援した武内和久氏が当選。今回立候補が取りざたされている大家敏志参議院議員が、敗北した津森洋介氏の選挙対策本部長を務め、「保守分裂」の選挙となりました。
松尾統章・支部長代行「私が強い思いで進めていますのは、保守分裂の回避です。この予備選挙で勝った人間を、必ず一枚岩で応援していただきたい」
「思い叶わなくとも立候補したい」三原市議
9区の自民党市議や県議が「保守分裂の回避」「一枚岩」と団結を呼びかける中、出馬を明言している三原氏は……。
三原朝利氏「今回の公募に関し、自民党推薦公認がいただけるように、挑戦し努力したい。その思いが叶わなくとも、北九州を前に進めるためには立候補したい」
党員投票による予備選挙で負けたとしても、無所属で立候補する意向を示しました。
松尾統章・支部長代行「正直びっくりしまして。正々堂々と戦って、そして勝てば良いんですよ、ただ負けても出たいとか、それはわがままです」
前9区支部長 三原朝彦氏「選挙出たいと思ったら出るだろうし。勝つためにどうするかということよな」
衆院“鞍替え”ささやかれる大家参院議員
対する大家氏は予備選挙を意識してか、この週末も9区の選挙区で精力的に活動しました。
Q.反応はどう?
大家敏志・参院議員「けっこういいいよね」
仮に参議院議員の大家氏が衆議院への鞍替えのために辞職すると、参議院福岡選挙区の補欠選挙が行われます。福岡県選挙管理委員会によりますと、補選でも通常選挙並みの18億円がかかる見通しです。自民党関係者からは「鞍替えするなら、そもそも去年の参院選に出るべきではなかった」という声も上がっています。
Q.1年前の参院選で大家さんに投票した有権者の方がいらっしゃいますが、どう説明しますか?
大家敏志・参院議員「そこも含めて、自分の置かれた立場と、これからのことをしっかり整理して結論を出したいと思います」
影響力持つ麻生太郎副総裁は
自民党福岡県連では大家氏を推す勢力が優勢だと言われていますが、そこに一石を投じているのが、大家氏が所属する派閥のトップである麻生副総裁です。
麻生太郎副総裁「北九州市長も変わって、新たに水素の基地を作ろうと。いろいろな意味で新しい試みが出てきて、いいことだと思っております」
県連の大会で、推薦候補が敗れた北九州市長選挙をこう評価した麻生副総裁。県連の幹部と5月末に東京で会った際には、「北九州市長選では完敗した」と指摘したうえで、三原朝利氏に言及。9区には「勝てる候補」を出すよう注文を付けたということです。
迎え撃つ無所属現職 立憲は?
こうした自民党の動きに対し、受けて立つ無所属の現職・緒方林太郎氏は、「常に強敵がやってくるという意識で活動を続けている」と強調しました。
緒方林太郎氏「誰が出てきても強敵であることは変わりがありませんので、政権与党でもありますし。誰がいいとか誰が悪いとか楽、だとか楽でないとか、そういうことは一切考えてないです」
一方、選挙対策本部を設置した立憲民主党福岡県連は……。
立憲民主党福岡県連 城井崇代表「野党第一党として存在感を発揮し、積極的な候補者擁立を図っていく」
ただ、9区に候補を擁立するかについては「勝ちきれるという見込みを様々な角度から分析の上、一定の手応えがあるならば」と述べるにとどめています。
福岡9区の支部長を選ぶ自民党の予備選挙は、6月19日から公募が始まり、7月12日に開票される予定です。
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