大阪、東京に続いて、福岡でスパイスカレーの一大ブームが巻き起こったのは、確か2016年頃だったように記憶しています。しかし、実はその前夜ともいうべき2010年代の初めには、各所でカレーイベントが行われていました。実店舗を持たない間借りカレー店やアマチュアのカレーマニアも出店しており、当時はまだ設計事務所に勤めるサラリーマンだった久保正三さんもその一人です。イベントで好評だったカレーで独立を決意した久保さんはインドまで勉強に行き、2015年、南区大楠に「クボカリー」を開店。またたく間に行列ができる人気店となり、福岡スパイスカレーブームの火付け役の1軒となりました。
大楠の本店に続いて2018年にオープンしたのが大名店で、当初は両店ともに3種類のカレーを合いがけにした「クボカリープレート」が不動の看板メニューでした。しかし、スタッフも増え、「シンプルで明快な美味しさの単品カレーで勝負したいという気持ちが強くなりました」と、メニューのリニューアルを決意。スタッフとも相談しながら新しく開発してブラッシュアップを重ねてきたのが、現在大名店で提供している3種類のカレーとチキンビリヤリです(クボカリープレートは大楠店のみで提供中)。さらに、夜はスパイス料理をつまみに酒が飲める「夜のクボ」として営業しています。
大名店で提供している定番カレーの中で、一番人気が「チキンカレー」(1,000円)です。程よいスパイス感のあるサラッとしたにカレーに、じっくり煮込まれた鶏モモ肉の旨味が相まって、毎日でも食べたくなるような安定感のある美味しさ。中辛が基本なので、よりホットな辛さを求めるなら、自家製辛味調味料の追加(無料)もできます。
こちらは合い挽きミンチに蓮根とシメジを加えた「牛と豚の蓮根キーマ」(1,200円)。牛と豚それぞれの旨味と脂身に蓮根のシャキシャキとした食感が楽しめるオリジナルレシピで、他の店では味わえない新感覚のキーマカレーです。
他にもスパイスとトマトを利かせたカレーに大きくカットされた豚バラが入った「レッドポークカレー」(1,100円)と限定メニューの日替わりカレーがあり、何度でも足を運びたくなるラインアップです。
そして今回は、スパイス酒場「夜のクボ」で一杯飲むために改めて再訪。これまでカレーづくりのために研究してきたスパイスを使った料理を、久保さん自ら作ってくれます。まず。ビールと一緒に頼んだのが、鳥皮やつくね、牛スジなどをカレーでじっくりと煮込んだ「クシカリー」(1本220円~」。焼鳥などでお馴染みのネタながら、具材の中までスパイスが染み込み、まったく別ものの仕上がりになっています。写真左はカラッと揚げた手羽中にスパイスを絡めた「クボチキ65」(880円)で、「65」とはインドで唐揚げの通称だとか。サッパリとした喉ごしのインドビールとの相性の良さは、言わずもがなです。
「豚バラと豆苗のクミンシード炒め」(825円)は、豆苗とカレーに欠かせないクミンをサッと炒めた一品。特に夏場の暑い時期にはスパイシーな香りが食欲をそそります。ドリンクはインドビールやハイボール、自然派ワインなど、スパイス料理に合わせた品揃え。ポーション小さめの「〆カリー」(935円)も用意されているので、2軒目、3軒目にサクッとカレーだけ食べて帰るのもOKです。
「今後は昼、夜ともに、メニューを見直す予定です」と、久保さん。複雑な味と香りが特徴のスパイスカレーながらも、シンプルで明快な美味しさを追求する「クボカリー」の進化は、まだまだ止まりそうにありません。
クボカリー 大名店
福岡市中央区大名1-4-23ロワールマンション大名1F
092-732-3630
ジャンル:カレー
住所:福岡市中央区大名1-4-23ロワールマンション大名1F
電話番号:092-732-3630
営業時間:11:00~OS15:30/18:00~OS23:00(夜は月・火・金・土曜のみ)
定休日:水曜
席数:カウンター7席、テーブル6席
個室:なし
メニュー:【昼】チキンカレー1,000円、レッドポークカレー1,100円、牛と豚の蓮根キーマ1,200円、特製チキンビリヤニ1,200円/【夜】クシカリー(1本)220円~、クボチキ65 880円、豚バラと豆苗のクミンシード炒め825円、〆カリー935円~
URL:https://www.instagram.com/kubocurry/
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