マンションが建ち並ぶ薬院の住宅街の一角。手前に駐車場があるため、通りからは看板すら見えない場所にひっそりと佇むワインバーが「ラタフィア」です。オーナーソムリエの吉村智美さんは日本ソムリエ協会(J.S.A)福岡支部長にして、数々のコンクールで入賞経験を持つ第一人者。福岡といわず、日本を代表するソムリエです。
短大卒業後3年間フランスに留学してボルドー大学でワインを学び、現地のビストロや星付きレストランでソムリエとしての経験を積んで帰国。2002年に城南区別府で「ラタフィア」を開業し、福岡でいち早く自然派ワインをメインにした"ワインバー"業態を立ち上げたパイオニアでもあります。
そうした経歴だけを聞くと、さぞかし敷居の高い店かと思われるかもしれませんが、まったく堅苦しさはありません。穏やかな笑顔で迎えてくれる吉村さんのたおやかな接客と気さくな雰囲気の中で、初心者でも気軽にワインが楽しめます。J.S.A認定ソムリエである筆者は資格認定試験を受ける前から勉強のために訪れていたこともあり、最も敬意を払う一軒です。
セラーにストックされたワインのコレクションもさることながら、もう一つのお楽しみが吉村さん自らがワインに合わせて作る料理の数々。毎週のように帰っているという糸島の実家で栽培している無農薬野菜をはじめ、豚肉やチーズなどほとんどの食材を糸島産でまかなっています。
吉村さんイチ推しというフランス・ロワール地方のトゥーレーヌ産ロゼに合わせるのは「チーズ2種盛り」(700円)。ロゼワインの爽やかな酸味とミネラル感に、糸島の「チーズ製作所TAK」のセミハードタイプの熟成チーズがよくマッチし、さすがと思わせるペアリングです。添えられたパンも糸島産小麦粉を使って焼いた吉村さんのお手製で、どこまでも深い"糸島愛"を感じます。
ワインに料理を合わせるのか、料理にワインを合わせるのか? そんな命題をあっさり解決してくれたのが、ブルゴーニュ産のガメイ種を使った赤ワインに「伊都の豚とクルミとひじきのパテ」(700円)のマリアージュ。糸島豚の肉々しい食感をベリー系の華やかな香りと軽やかな酸味がしっかり受けとめてくれます。
厳選したワインはグラスで1,200円からというお手頃な価格で、アラカルトの他に糸島産の食材を使った5~6品のコースも用意されています(4,000円~、前日までの要予約)。また、ソムリエ協会支部長になる以前から「ワインの魅力をもっと多くの人に知ってほしい」との思いでワイン教室を開催しているほか、「九州日仏会館」でも毎月フランスワイン講座の講師を担当中。ワイン初心者から中級・上級者まで、日本のトップソムリエから直接レッスンを受けられるのは、なかなか得がたい経験ですよ。
Ratafia(ラタフィア)
福岡市中央区薬院2-4-39ニュー・ラ・ルーチェ1F
092-732-9702
ジャンル:ワインダイニング・ワインバー
住所:福岡市中央区薬院2-4-39ニュー・ラ・ルーチェ1F
電話番号:092-732-9702
営業時間:19:00~24:00
定休日:火曜
席数:カウンター8席、テーブル8席
個室:なし
メニュー:チャージ500円、グラスワイン1,200円~、無農薬糸島野菜600円、伊都の豚とひじきのパテ700円、糸島豚のリエット700円、無添加糸島豚のベーコンと糸島野菜1,300円、チーズ600円
URL:https://www.ratafia-vin.com
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