ヒビキの球をアギトが受ける バッテリーは「仮面ライダー」兄弟 甲子園初出場の佐賀・鳥栖工業
甲子園初出場を決めた鳥栖工業(佐賀代表)。バイクに乗ったヒーローが名前の由来となった兄弟バッテリーを中心に、「聖地での1勝」から上位進出を目指します。
「やばいです」「きついです」独自の練習法
初めての優勝を果たし、甲子園への切符を手にした鳥栖工業。学校はJR鳥栖駅から直線で1キロほどの場所にあります。県立の学校で、駅伝部は全国高校駅伝に47回の出場経験を持つなど、部活動が盛んです。
野球部には、59人の部員が所属。一戦必勝で、まずは聖地での初勝利を目指します。
高陽章主将「まずは1勝して、その流れで勝ち進めれば。一戦必勝で公立校らしく粘り強くやっていければいいかなと思う」
鳥栖工業独自の練習の一つが、「タイヤ引きノック」下半身の強化のために、主に冬場に行っているトレーニングで、約5キロのタイヤを引きながらノックを受けます。
「やばいです、全体的にやばいです」「一番きついです」
躍進支えた“兄弟バッテリー”
過酷なトレーニングを積み重ね、ノーシードから勝ち上がった鳥栖工業。チームの躍進を支えたのは、兄弟バッテリーでした。
「鳥栖工業3年の松延晶音(あぎと)です」
「鳥栖工業1年の松延響(ひびき)です」
兄・晶音選手はキャッチャーとして投手陣を引っぱりながら、打線でも4番を担う、まさにチームの大黒柱。弟・響選手は1年生ながら、リリーフで登板すると最速140キロを超えるストレートを武器に、力で打者をねじ伏せます。
晶音選手はチーム事情で高校からキャッチャーを始めたため、兄弟でバッテリーを組むのは高校が初めて。佐賀大会の決勝でも、7回からバッテリーを組むと、最後のバッターを三振に仕留め、優勝を決めました。
松延晶音選手「頼もしい弟です」
松延響選手「ありがとうございます。自分が(サインに)首振って打たれてしまうので、全部お兄ちゃんのサインにうなずこうという感じ」
兄弟で抱き合った優勝の瞬間
2人の活躍は、両親の目にもまぶしく映っていました。
母・松延忍さん(39)「感動です、バッテリーでよかったなって」
父・松延慎一郎さん(39)「かっこいいなと思いましたね、自分の子供じゃないみたい。(優勝の瞬間、兄弟が)抱き合ったところはちゃんと見てました。(兄が)転んだので、重かったんだろうなと」
ピッチャーの響選手「(兄が)走ってきたので、ジャンプしすぎて、重たすぎて倒れた」
キャッチャーの晶音選手「重かったです」
アギトとヒビキという名前から、「仮面ライダー兄弟」として呼ばれています。
父・慎一郎さん「『銀色の髪のアギト』って映画があったんですよ。聞いた瞬間『かっこいいやん』と思って名前をアギトにしたら、『仮面ライダーやけん、アギトね』って言われるようになって。調べたら、『仮面ライダー響鬼』があった。(弟は)『仮面ライダーつながりでよかっちゃないか』って。嫁はえらい嫌がりよった」
母・忍さん「嫌でした。仮面ライダーって言われるけん」
父・慎一郎さん「よかったやんか」
「慎重派」の兄 「イケイケドンドン」の弟
2人はいまでも一緒にお風呂に入るほど仲がいいと言います。
母・忍さん「今が一番仲がいいんじゃないかな。よくお風呂でも話していますし」
兄・晶音選手「(お風呂では)決勝の前だったら、『どんな攻め方でいく』という話はしました」
弟・響選手「その通りにしようと。変なことしたら打たれるので」
父の慎一郎さん「兄は慎重派、弟はイケイケドンドン。それがよくかみ合っているんでしょうね。思い切って打って投げて、自分の持っているもの全てを出し切ってほしい」
母・忍さん「悔いの残らないような試合をして、一つでも多く勝ち残れるように頑張って下さい」
兄弟「頑張ります」
アクセル全開の「仮面ライダー兄弟」が、聖地での1勝から上位進出を目指します。
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