「人生をかけて戦う」世界チャンピオン統一戦 女子プロボクサー・黒木優子選手
ボクシング界には4つの世界団体があり、それぞれに世界チャンピオンがいます。WBOの世界チャンピオン、黒木優子選手は8月5日、WBAのメキシコ人チャンピオンと、お互いのベルトをかけた「世界統一戦」に臨みます。勝てば日本人女子2人目となる、「世界王座統一」です。
目次
WBO女子世界アトム級の世界チャンピオン
福岡市出身のプロ16年目、黒木優子選手はWBO女子世界アトム級のチャンピオンです。今年32歳、さらなるレベルアップを目指し、福岡市のボクシングジムから神戸市の真正ボクシングジムへ移籍しました。元世界王座3階級制覇の長谷川穂積さんを支えた名トレーナー・山下正人さんが会長を務めるジムで、日々トレーニングに励んでいます。
山下正人会長「ええよ、今の下半身、今の下半身」
(黒木選手が猛烈な連打)
山下正人会長「OK! それやったらええ! はいGO! 抜くな! そう! それで強いパンチを打つんや!」
23歳でWBC世界ミニフライ級を制す
黒木選手がボクシングと出会ったのは中学2年生の時、父の影響でした。高校時代にはアルペンスキーの選手として活躍、国体やインターハイにも出場しましたが、17歳の時に当時の女子最年少記録でプロボクサーとしてデビューすると、2014年に23歳でWBC女子世界ミニフライ級のチャンピオンに輝きます。その後5度の防衛に成功しますが、2017年に王座陥落。一度はベルトを手放してしまいますが…。
2022年9月。5年の歳月をかけ、一から鍛え直した黒木選手は再び世界チャンピオンに返り咲きます。この時、語っていた夢は――。
黒木優子選手「『統一チャンピオン』になるのが夢なので、このベルトを守っていきたい」
世界タイトルの『統一チャンピオン』です。ボクシング界にはWBO、WBA、WBC、IBFの4団体があり、それぞれに世界チャンピオンがいます。4団体の世界チャンピオン同士がお互いのベルトをかけて戦うのが、「世界統一戦」です。
一日の始まりはロードワークから
黒木選手の一日の始まりは、32歳になった今でもロードワークから。
黒木優子選手「『(ボクシングを)はよやめて、嫁に行け!』って、みんなから言われる(笑) できない! 相手がいない! 『募集中』って(テレビ画面用の字幕テロップを)作っといて」
この日も、朝から7キロ走り込みました。
黒木優子選手「朝疲れてて走らないと、(ジムでの練習がある)夜にマジで体が動かないんですよ。朝きつくてもちょっとでも体を動かしていた方が、動かせるんで」
初の独り暮らし 料理は手際よく
午前の練習を終えると着替えを済ませ、近くのスーパーへ。初めての独り暮らし、肉や野菜の買い出しです。夕方からの練習の前に、下ごしらえを済ませます。「栄養士」の資格を持つ黒木選手、手際よく進めていきます。
Q.減量は大丈夫?
黒木優子選手「全然大丈夫。調味料(のカロリー)くらいかな、減量を気にするのは」
試合前ですが、体重はキープできているため、スタミナのつく肉料理が中心です。
「ベルトを2本、会長と一緒に掲げたい」
夕方からはジムへ。この日は4ラウンドのスパーリングで、動きを確認します。
山下正人会長「ボディー! ボディボディボディ! そう! そうや!」
山下正人会長「同じ階級に4人のチャンピオンがおるわけやから、その中でやっぱり全部統一して一番になりたいというのが当然ですよね。自分のボクシングを貫いてほしいです。そしたら必ず黒木優子の手が上がっていると思います」
試合まで1週間、やれる準備はしっかり進めてきました。
黒木優子選手「会長の声をしっかり聞いてやっています。大事な声ですね、本当に“天の声”みたいな。勝ってでしか恩を返せないので、もう絶対勝つ、ベルト2本をしっかり持って、会長と一緒に掲げたいなと思います」
馴染みの美容室でゲン担ぎの「戦闘スタイル」
試合の2日前(8月3日)。黒木選手、久々の帰省です。福岡県糸島市の美容室「KOU」。ゲン担ぎの「髪の編み込み」に来ました。
黒木優子選手「東京で試合とか福岡以外で試合の時は、違う所で編み込んでいたんですけど、美和さんに編み込んでもらってから行った方が、勝率がいいんです。だから願掛けですね」
KOU 西美和店長「でも、うれしいですよね! ゲン担ぎに使ってもらえるのはすごくうれしい」
黒木優子選手「そうですよ! 編み込むためだけに神戸から福岡に帰ってきました」
2人がかりで作業すること5時間…「戦闘スタイル」の完成です。
KOU 西美和店長「よし! おしまい!」
黒木優子選手「ありがとうございます!」
KOU 西美和店長「いえー、頑張ってきてください!」
黒木優子選手「今すぐにでも戦えます! 気合が入ってます! ずっと言い続けてきた『統一チャンピオン』が目前なので、集大成という気持ちで、まずは(WBAとの統一戦で勝って)ゴールテープを切る気持ちでいきたいと思います!」
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