バトントワリングは、音楽に合わせてバトンの操作と身体の動きを組み合わせる、芸術性の高いスポーツです(トワリング=「回転させる」という意味)。競技人口の約9割が女性ですが、男性の選手たちも活躍しています。博多高校2年の田中紫陽選手はこの夏、初の世界大会に挑みました。
屈指の強豪校 たった一人の男子部員
博多高校バトントワリング部は、全国大会にも出場する福岡県内屈指の強豪校です。21人のメンバーの中で、輝きを放っているたった1人の男子部員がいます。2年生の田中紫陽選手。バトンを、自分の体の一部のように操っています。
田中紫陽選手選手「小さいころからずっとやってきているので。どう取るかは感覚でつかんでいるから、考えてはやっていないです。背中でキャッチ、下でキャッチ、全部感覚で」
日本代表に初選出 世界選手権へ
3月、世界選手権の日本代表選考会。1本のバトンを使う「ソロトワール」と、2本のバトンを操る「トゥーバトン」の2種目で、田中選手はジュニアの部3位に入り、イギリスで開かれる世界大会出場を決めました。日本代表に選ばれたのは初めてです。
田中紫陽選手「大会の場所が海外。初めて(海外)に行くので、緊張します」
インタビューも少し緊張気味ですが、バトンを持つと雰囲気が一変。身体能力の高さを生かしたアクロバティックな演技で周りを魅了しています。
田中紫陽選手「競技する時は自分の空間に入って、見られているのが分からない。自分の世界に入っているので。そこまで緊張はしないです」
「嵐」ファンの母が見ていた映像
バトンとの出会いは、意外なきっかけでした。
田中紫陽選手「お母さんが『嵐』が好きでビデオを見ていて、中でバトンをしている男の子がいて。それを見た瞬間『バトンがやりたい』みたいな感じで。3歳のころからバトンをしています」
バトンに一目ぼれした田中選手。練習を重ねていくうちに、目標はどんどん高くなりました。
田中紫陽選手「小学生で初めてトゥーバトンで初めて1位を取った時から、世界大会に出場できるように一生懸命練習してきた感じです」
先輩たちも一目 級友も応援
博多高校バトントワリング部副部長 堺栞里さん(3年)「本当にすごいなと思います。自分ができないことをたくさんやっているし、小さいころから練習をしているのがすごく伝わります」
部長 磯田彩歩さん(3年)「日本代表として、博多高校のバトン部の代表としてよい演技をしてくれるのかなと思っているので、すごく楽しみです」
この日は終業式、クラスメイトの前で世界大会に向けた意気込みを語りました。
田中紫陽くん「日本代表として、イギリスに行ってきます。できるだけ悔いのないように上の順位を目指して頑張ります。応援よろしくお願いします」
友達の鎌田祐介くん「頑張ってきてください」
クラスメイトからは色紙が贈られました。
田中紫陽選手「みんなが応援してくれているという気持ちが伝わり、結果を出したいと思いました」
世界の頂点にあと一歩まで迫る
イギリスのリバプールで開かれた世界大会。田中選手は堂々とした演技を披露します。果たして、結果は……。
田中紫陽選手「ソロトワールとトゥーバトンの種目で、どっちも2位=銀メダルをいただきました」
見事銀メダルを2つ手にしました。大会後には、初めての海外で観光も少しできたそうです。
田中紫陽選手「イギリスのリバプールで、ビートルズが有名と聞いたのでビートルズの銅像を見に行きました」
2024年の世界大会の舞台はスウェーデン。田中選手の目標は――。
田中紫陽選手「2位という結果で、てっぺんがとれなくて悔しかったので、次はもっと上を目指したい」
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