"アペリティーボ"をご存じですか? もとはイタリア語で"食前酒"の意味ですが、転じて食事の前に軽い料理をつまみながらワインやカクテルを楽しむ食習慣や、それを楽しむ業態のこと。陽気で社交的なイタリア人にとって、仕事を終えて友人や仲間とのコミュニケーションを深めるのに欠かせない食文化です。
そんな"アペリティーボ"を楽しめるのが、地下鉄六本松駅近くの城南線沿いにある「モルトヴィーノ」。気さくでカジュアルな雰囲気の中、イタリア料理とワインが楽しめるワインバルです。
まだ日射しの強い夕方4時の開店直後に3階建てビルの階段を上ってドアを開けると、店内はカウンターのみ7席のこぢんまりとした造り。店主の桑野大樹さんは福岡から東京の調理師専門学校に進み、当初は洋食の料理人を目指していました。「最初に就職したイタリアンレストランで、新人はまずホールを担当するんです。その時にイタリアワインの魅力にハマって、いつか福岡でワインバルをやりたいと思うようになりました」と、方向転換。それから10年以上数々のイタリアンレストランやバルで経験を積んだ後福岡に戻り、実家近くの六本松エリアで今年の5月に独立開業しました。
カウンターに座り、なにはともあれキリッと冷えたイタリアのスパークリング・スプマンテを注いでもらいました。シュワッと弾ける泡と爽やかな酸味が喉を潤し、涼感を運んでくれます。しばし「自家製ピクルス」(450円)をつまみながら桑野さんと六本松界隈の話をしつつ、アペリティーボを楽しみました。
ワインはもちろんすべてイタリア産で、グラスはスプマンテ1種類に、白と赤は毎日それぞれ5種類以上。客の希望があればどんどん開けるので、時には赤白合わせて20種類近くになることもあるそうです。
イタリア料理店に勤めていた時には仕込みも手伝っていたという桑野さん、料理の腕もなかなかのものです。開店当初は10品にも満たなかったいう料理のメニューですが、「お客さんの要望でどんどん増えました」と苦笑するように、今ではなんと30種類近く! しかも、ほとんどが1,000円アンダーというリーズナブルな価格で提供してくれます。
小さな黒板に書かれたメニューの中から、マルケ州の白ワイン「ヴェルディッケオ・ディ・マテリカ」と一緒に「生ハムとフルーツ、モッツァレラ」(690円)を注文しました。その時々の季節のフルーツを使っているそうで、この日はよく熟した桃。イタリアのブドウ品種ヴェルディッケオのしっかりした酸味とフレッシュなミネラル感がよく合います。
店のイチオシ料理という「鴨の低温ローストドライフィグと赤ワインのソース」(890円)に合わせて選んでくれたのは、アブルッツォ州の「モンテプルチャー・ ダブルッツォ」。乾燥イチジクを使った甘いソースをまとった鴨肉の旨味を、しっかりとした果実味のある濃厚なボディが受けとめてくれます。
オープン以来、毎日夕方の4時から朝方の4時までの12時間営業を続けている桑野さん。早い時間のアペリティーボから深夜の食事まで、様々な使い方ができる気さくなイタリアン・ワインバルです。
Molto Vino(モルトヴィーノ)
福岡市中央区谷1-14-24
092-600-9617
ジャンル:ワインダイニング・ワインバー
住所:福岡市中央区谷1-14-24
電話番号:092-600-9617
営業時間:16:00~翌4:00
定休日:不定
席数:カウンター7席
個室:なし
メニュー:チャージ300円(23:00~)、グラスワイン650円~、自家製ピクルス450円、桃と生ハム モッツァレラ690円、サルティンボッカ590円、本日のパスタ700円~、ピッツァ700円~、鮮魚のソテー白ワインとバターのソース790円、鴨の低温ローストドライフィグと赤ワインのソース890円
URL:https://www.instagram.com/moltovino_ropponmatsu/
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