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晩酌から会食まであらゆるシーンで活躍する春吉に潜む和食店

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春吉のメインストリートから横道に入り、さらにビルの合間の細い路地の突き当たりに、今回ご紹介の「博多ひさご」はあります。

博多ひさご外観 撮影:弓削聞平

人が行き交う道ではなく、わかりづらいこの場所で16年も続いているのは名店を裏付ける証の一つと言えます。長年愛されるその理由を探ってみました。

博多ひさご内観 博多ひさご内観

以前は1軒手前にお店があり、2年前に今の場所に移転しました。その際、壁を抜いて外窓を大きくし、和の空間にリフォームしたそうです。初めてでも入りやすく、落ち着いて過ごせます。席はカウンターと小上がりが2つあり、その小上がりは7名から個室利用もできます。

博多ひさご店主

店主・坂本好弘さんは、京都の「熊魚菴 たん熊」などで腕を磨き、独立にあたって学生時代に過ごした福岡に戻り、お店を開きました。季節料理が中心で、品書きの「本日のおすすめ」「今月のおすすめ」には旬の魚や野菜を使った料理が並ぶほか、炭火焼きなどの肉料理もあります。

博多ひさごお通し

以前うかがったときはコースをいただいたのですが、本日はアラカルトで。何を食べようか思案していると、「まずはお通しを」と出してくれたのがこちらです。お通しはお客が最初に口にする料理です。それを大切に思い、手を抜かずしっかりとした料理を出すお店に悪い店はありません。この時点で自ずと期待が高まります。

お通しはいつも3品出しているそうで、本日はイワシのオイルサーディン、自家製チーズ豆腐、イチジクでした。山椒を使ったオイルサーディンは、和洋折衷な味わい。チーズ豆腐は、実際は豆腐ではなくてチーズに鶏ミンチを混ぜたもので、これが、日本酒ととてもよく合うんです! チーズ豆腐は創業時からの人気メニューで、お通しに必ず入れる一品です。

博多ひさご料理

料理はやはり旬の味を楽しみたく、本日のおすすめから「揚げなすと旬野菜の海老そぼろがけ」(1,200円)を選びました。分厚くカットされたナスですが、中まで出汁が染み込み、頬張るとナスの甘みと出汁の旨味がじゅわっと広がって、美味さの二重奏! トウモロコシとピーマンもいい塩梅に火が通されていて、瑞々しさとシャキシャキの食感が楽しめます。
以前コースを食べたときも思いましたが、味も技もとても繊細なんです。「自分が食べるならこってり系を好むんですが、やはり修行先の京の味をお出ししたいし、学んだことしかできませんから」と坂本さん。またご自身が日本酒好きであり、日本酒に合う優しい味わいを心がけているそうです。

旬の料理は、これから秋そして冬に向けてどんどん変化していきます。冬場にはジビエ料理も登場し、中でも糸島で獲れる野鴨のすき焼きは自慢の一品なのだそう。これは、要チェックですね。
そして、季節を問わず楽しめる定番メニューもあります。

博多ひさごメニュー 博多ひさごメニュー

「常連さんがよく頼まれるものを残していったら、けっこう増えてしまいました(笑)」と、定番メニューも品数、バリエーションともに豊富に揃えています。

いろいろ食べたくなる気持ちを抑え、満腹になる前にこれだけは注文しておきたいメニューがあります。お店のスペシャリテ、土鍋ご飯です。

博多ひさご土鍋ご飯

土鍋ご飯は定番6種類と日替わり1種類がありますが、本日は一番人気の「鯛の土鍋ご飯いくらのせ」(2,200円)を頼みました。注文してから炊き上げてくれるので、出来立てがテーブルに。蓋を開けると湯気とともにご飯と鯛のいい香りが立ち上がります。

博多ひさご土鍋ご飯

鯛の身をほぐしながらご飯と混ぜ合わせます。イクラが潰れてしまわない?という心配はご無用。しっかり混ぜても潰れません。

博多ひさご土鍋ご飯 博多ひさご土鍋ご飯

薄味で上品に炊かれたご飯に、タイとイクラが融合。味の旨味はもちろんのこと、シャキッとした根菜の食感とイクラのプチッとした食感のコントラストがたまりません。
1杯目はそのままで、2杯目はお茶漬けでと、2度楽しめます。土鍋ご飯は1.5合で炊かれ、食べきれなかったらお持ち帰りもできます。

本格和食店なのに全体的に手頃な価格帯で、コースも4,400円から提供されています。「月に2~3回来ていただけるようなお店を目指しています」と坂本さん。かしこまった会食や接待でも利用でき、また友人や家族との食事、さらにはお一人様まで、あらゆるシーンで活用できる稀な和食店です。激戦区・春吉で長年愛され続ける理由が、よくわかりました。

そして、実はもう一つお伝えしたい魅力があるんです。以前の店舗だったお隣で、20時から「ひさご」の女将・佐保里美さんがカウンターに立ち、日本酒バー「ツキヨミ」を営んでいます(入店は23時30分まで)。

博多ひさご姉妹店ツキヨミ

「ひさご」も日本酒が充実していますが、こちらはさらに種類を増やし、ナチュラルワイン(ボトル)もたくさんあります。また、高校生時代から骨董を趣味にしている坂本さん自慢の器で料理を出してくれるんです。常連さんのみ知る隠れ家的なバーですが、「一見さんにも広くご利用いただければ」とその存在を教えてくれました。

前回「ひさご」で食事を終えたあと、2軒目どうしようとなったものの思いつかず結局解散したんですが、もう困ることはありません。これからは、あらかじめ2軒コースで予定を組んで行きます。

博多ひさご
福岡市中央区春吉3-13-23中原ビル1階
092-761-6066

店舗名:博多ひさご
ジャンル:日本料理、居酒屋
住所:福岡市中央区春吉3-13-23中原ビル1階
電話番号:092-761-6066
営業時間:17:00~OS22:30(金・土曜はOS23:00)
定休日:月曜
席数:カウンター6席、小上がり22席
個室:7~22名
メニュー:おまかせコース(要予約)4,400 円~、ひさごのチーズ豆腐と酒盗720円、塩クジラ(くじらの塩漬け)600円、博多一番鶏のにんにく醤油焼き880円、和牛テールの塩焼き大2,000円・小1,500円、和食屋の炭焼きハンバーグ 半熟卵950円、一番人気の鯛の土鍋ご飯 いくらのせ2,200円、ひさご風魚介鶏ラーメン680円
URL:https://www.hakatahisago.com/

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この記事を書いたひと

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