個性的な飲食店が点在する春吉エリア。路地を一本入ると、「こんな場所に、こんなお店があったんだ」と嬉しい出会いも少なくありません。そんな春吉の路地裏に、2022年にオープンしたのが『Trattoria tano(トラットリア タノ)』です。
店内は落ち着いた照明のムーディーな雰囲気。厨房を囲むL字型のカウンター席は、ゆったりと食事が楽しめる広さ。最大12名が座れるテーブル席もあるので、ちょっとした集まりにも良さそうです。
ここで腕を振るうのが、オーナーシェフの田上信行さん。子どものころから料理人に憧れていた田上さんは、フランス料理店、鉄板焼き店などを経て、『Trattoria tano』をオープンしました。これまでイタリアンの経験はなく独学と言いますが、だからこそ縛られずインスピレーションを働かせて生まれたセンスが光るメニューが並びます。
料理のこだわりを尋ねると、「作れそうで、作れない味ですね」と田上さん。「僕が作るのは、どこかで食べたことがあるような、そんな料理。だから誰でも作れるんじゃないかと思われることもあるのですが、隠し味や火加減などで絶対同じものは作れない。そんな料理を目指しています」と話してくれました。
メニューは定番に加えて、季節の魚介や果物を使った黒板メニューも豊富です。料理に合わせるワインは、自然派ワインが中心。グラスは赤・白各4種のほか、オレンジワイン1種、スパークリングワイン1種があり、いろいろと飲み比べしたい人にとってうれしいラインアップです。
そんな『Trattoria tano』の人気メニューが炭火焼きです。九州の農家から届く黒毛和牛のほか、福岡県産のイノシシや鹿、冬になれば鴨などのジビエも登場します。この日選んだのは、「八女上陽豚肩ロース」(1,500円)。土佐備長炭をはじめ火持ちが良い国産の備長炭を使い、遠火でじっくりと時間をかけて焼き上げるため、中はしっとり。最後は炭に近づけて、外をカリッと香ばしく仕上げます。
旨味を閉じ込めながらも、やわらかくジューシーに焼き上げたロース肉に添えるのは、奥行きある香りが楽しめるマルサラワインのソースに自家製の粒マスタード。この粒マスタードが絶品で、まろやかな酸味にさらりとした口当たり、噛めばプチプチとした食感と爽やかな香りが広がって、肉の旨味を引き立てます。肉と一緒に楽しむだけでなく、そのままワインのつまみになるという人もいるほどの美味しさです。
続いていただいたのは、リピーターが多い人気メニュー「ゴロゴロ肉のボロネーゼ」(2,100円)。炭火焼きで使用する際に仕入れた塊肉をカットした際に出る、すじや細かい肉を使った、田上さんいわく「しっかり肉を食らう」ボロネーゼです。レバーやベーコン、キノコなども加えることで、香りとコクが混ざり合い、濃厚で複雑な味が楽しめる大人味。ワインとの相性も抜群です。
最後に選んだのは、「鶏とアオサと白みそのリゾット」(1,800円)。口に含むと、白みそとチーズで生まれる優しく、まろやかな味が広がったあとに、アオサの香りがふわりと鼻に抜けていきます。バランス抜群の和洋のコラボレーションに感動! シメのつもりで選んだのに、ついもう一杯ワインを頼んでしまいたくなる“呑める”リゾットです。パスタやリゾットは要望があれば、お客さんの好みの材料で作ってくれることも。またワンコインで楽しめる軽いおつまみメニューもあるうえ、深夜2時まで入店できるので、2軒目、3軒目に利用するのにもおすすめです。
「ゆっくりひとりで飲みたい、会話を楽しみたいなど、お客さまそれぞれに合わせた接客を心がけています」と田上さん。その程よい距離感が生み出す心地よい空間で、ゆっくりと食事が楽しめるレストランです。
Trattoria tano
福岡市中央区春吉2-6-15八番館2F
092-986-1224
ジャンル:イタリア料理
住所:福岡市中央区春吉2-6-15八番館2F
電話番号:092-986-1224
営業時間:18:00~翌2:00最終入店
定休日:日曜
席数:カウンター8席、テーブル12席
個室:なし
メニュー:八女上陽豚肩ロース 炭火焼1,500円、ゴロゴロ肉のボロネーゼ2,100円、鶏とアオサと白みそのリゾット1,500円、特性レバーパテ650円、ダチョウのカルパッチョ1,550円、クレソンとグレープフルーツのサラダ1,300円、アサリとキノコのアヒージョ1,000円
URL:https://www.hotpepper.jp/strJ001292970/
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