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自覚症状の一つに「夜中に目が覚めたり、朝起きたりした時に口が苦い」ということを訴える方がよくいます。
感じる強さや長さに関わらず〝口の中が苦い″状態になるのは、一体なぜなのでしょう?
考えられる原因について、以下にいくつかあげてみたいと思います。
考えられる主な原因
過食による消化不良
まず、一番多いケースとしては、日頃からの夕食の食べ過ぎや暴飲暴食などで、まだ胃の中にあるのものが、完全に消化しきれないまま眠りについてしまったため、胃酸が逆流して、目覚めると口が苦い状態になっていることがよくあります。
口腔内のバクテリア(口中細菌)の増殖
口臭の原因のほとんどが、この〝口の中のバクテリア″によるものだと言われています。
口中に存在する細菌は、空気に触れるところを好み、虫歯等の原因にもなる「好気性菌」と、酸素を嫌い、歯肉の奥などに潜み歯周病の原因にもなる「嫌気性菌」に大きく分けられます。
とりわけ後者の「嫌気性菌」は、微量の硫黄(イオウ)を作り出します。
普段は、口の中の唾液がその強い味覚や臭いを緩和し、菌の増殖も抑えてくれているのですが、睡眠時は唾液の分泌もかなり減少するため、口腔内も乾燥し、バクテリアも増えて、口の中が苦く感じることがあります。
亜鉛不足
「亜鉛」は体の様々な箇所に分布しており、特に舌の上皮の部分などに多く存在しています。
日頃から亜鉛の摂取量が足りなかったり、食品添加物の摂り過ぎで、亜鉛の吸収が妨げられ、排出が促され亜鉛の欠乏が生じることで、舌表面の味覚を感知する味蕾(みらい)の機能が低下して、味がおかしく感じたり、苦みを感じたりすることがあります。
その他にも、過度な疲労やストレス、加齢、服用中の薬の副作用等でも、味蕾の感覚異常や、唾液の分泌量の減少が生じて、口の苦みのようなものが起こるケースがあります。
口の中の苦みは体からのサイン
主に上記のようなことが、口中の苦みの原因としてあげられるのですが、酸っぱかったり、渋かったり、口が臭いと感じたりと、人によってはその感覚が異なる場合も多々あります。
ただ、明らかに〝苦い″という味を感じているのであれば、漢方的な視点も含め考察すると、体からの何らかのサインとも捉えることができます。
肝胆系の弱り
肝臓や胆嚢の肝胆系にかなり負担がかかったりすると、軽い炎症を起こすなどして生じた熱や胆汁が上昇してきて、口が苦くなることがあります。
これらは、お酒の飲み過ぎや暴飲暴食、あるいは、ウイルスや細菌、寒さなどの「邪気」が体に侵入したことがきっかけとなって起こります。
胃や消化器系、心臓などの疲労からも
その他にも、東洋医学の臨床面での考え方の中に、「脾は口に開竅する」「心は舌に開竅する」という概念があります。
〝開竅(かいきょう)する″という言葉は少し難しい言い回しですが、各臓器の機能や状態が、体のその部分に〝反映しやすい″といった意味で捉えてもらえればよろしいかと思います。
過食や心労などが原因となって、苦みのようなものを口全体で感じていれば、胃や消化器系の「脾」の弱りからくるもの、舌を中心に感じていれば、「心」の負担からくる、味覚の異常によるサインとも考察することができます。
すぐにできる対策と根本的な改善
取り急ぎ治したい症状ではなくても、ずっと口が苦いのは、やはり不快ですよね。
その場しのぎの対処としては、こまめな洗口液などの活用がとても有効かと思われます。
症状が頻繁に続くようであれば、やはり、意識して暴飲暴食や早食い、夜遅い飲食は控えて十分な睡眠をとり、なるべくストレスをためない行動を心がけることが改善の基本です。
漢方で、「口苦」というワードの検索をかけると、〝柴胡剤系″の漢方というのが、まずいちばんに有効な処方として上がってきます。
大半がそこに該当してくるものと思われますが、そうした処方でも改善が見られない場合は、先に述べた、肝胆系以外の原因も考えられ、使用する漢方も異なってくることがあります。
また、なかなか治まらない場合は、何か病気が潜んでいることも考えられるので、口の苦みとともに体にあらわれている症状なども、事細かにしっかりと問診してくれる、相談薬局や医療機関に、一度きちんと相談してみて下さいね。
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この記事を書いたひと
大賀薬局
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