これまでのバルでもなく、レストランとも違う。「新しいスペイン料理の店を福岡に」。そんな思いから今年1月に誕生したのが「comodo」です。天神南駅から徒歩4分。三光橋交差点から斜めに入る細い路地に店を構える、知る人ぞ知るスペイン料理店です。
建物の外階段から2階へ上がり店内に入ると迎えてくれたのが、かつて同じレストランで働いていたオーナーの田中義基さん(写真右)とシェフの持永賢二さん。東京や大阪に比べてスペイン料理の専門店が少ない福岡で、これまでになかった新しいスペイン料理店にチャレンジしたいと店のオープンを決めたそうです。
「目指すのは、数年前スペイン旅行で出会った“ガストロバル”です」と持永さん。ガストロバルとは、レストランのような本格的な料理をバルのように気軽に楽しめる店のこと。「クラシックを少しひねり、九州産を中心にした食材を使った自分らしいスペイン料理を楽しんでもらいたい」と話してくれました。
店内はカウンター6席と、奥にテーブル10席の小ぢんまりした空間。モダンで明るいカフェのような雰囲気です。ドリンクは自然派ワインが中心で、グラスワインはスパークリングのほか、赤・白それぞれ2、3種を準備。そのほか、シェリー酒やワイングラスで提供する日本酒もあります。
スペイン料理といえばタパス! あれこれ楽しめる小皿料理がどれだけ充実しているかで、満足度は大きく変わってきますよね。「comodo」のタパスは15種以上あるので、オーダーの戦略をじっくり考え、まずは「馬鈴薯のオムレツ」(860円)を選びました。+150円で、大好きなパルミジャーノチーズをたっぷりとトッピング。
スペインオムレツというと、玉子も具材もぎゅっと詰まったイメージですが、「comodo」のオムレツは外はしっかり焼き目があるのに中はふわっ。まるでスクランブルエッグを包み込んだかのような焼き加減に驚きます。ジャガイモは蒸すのではなくコンフィにすることで、水分が抜けきらないように仕上げているためしっとりとして舌触りが滑らか。シンプルな一皿ながら、シェフのこだわりを感じます。
続いては同じくタパスから、シェフのおすすめである「帆立、チョリソー、檸檬のあげ春巻き」(1,260円)。塩味が濃いチョリソーとレモンの塩漬けをホタテと共に包んで揚げた春巻きは、大葉で包んでいただきます。ザクッとした食感のあとは大葉の香り。ホタテの旨味にレモンの程よい酸味と塩味が続々と押し寄せてきます。揚げ物とはいえ爽やかな後味も嬉しい逸品です。
スペイン料理の定番パエリアは、「魚介のパエリア」(1900円~)といったスタンダードなものから、「イカスミのパエリア」(1900円~)、「豚足、チョリソー、椎茸のパエリア」(2100円~)などアレンジが効いたものまでが揃います。この日いただいたのは、「牡蠣の白いパエリア」(2200円~)。鶏の出汁をベースにニンニクを利かせ、さらに強い旨味がある牡蠣とコラボレーション。一口頬張ると、牡蠣特有の濃厚な香りと味が口いっぱいに広がります。米は田中さんの出身地である佐賀県産さがびよりを使用。粒が大きく、アルデンテの食感が楽しめます。
パエリアというと大皿料理のイメージですが、「comodo」では0.4合(約60g)と小ぶりなサイズからオーダーできるのが嬉しいところ。タパスや肉・魚料理を楽しんだあと、シメとして頼むのにちょうどいいサイズ感です。
この日はアラカルトのディナーでしたが、完全予約制のランチコースもあります。10月後半からランチメニューをリニューアルし、フルコースが楽しめる3800円のコースと少しカジュアルな2800円のコースの2種を準備するそうです。
気軽に、でも本格的な料理が楽しめるガスロトバル「comodo」で、新しいスペイン料理を体験してみてはいかがでしょう。
ジャンル:各国料理
住所:福岡県福岡市中央区渡辺通5-3-24 プロスペリタ天神ⅡPLUS 2F
電話番号:092-406-9217 (ランチは前日までの予約制)
営業時間:12:00~OS13:30/17:30~23:00
定休日:日曜、ほか月2回不定
席数:カウンター6席、テーブル8席
個室:なし
メニュー:馬鈴薯のオムレツ(860円、パルミジャーノ追加+150円)、帆立、チョリソー、檸檬の揚げ巻き(1,260円)、牡蠣の白いパエリア(2,200円~)、イカスミのパエリア(1,900円~)、カマンベールのサラダ ブルーベリーソース(1,200円)、白身魚のアリオリグラタン(2,700円)、イベリコ豚、肩ロースのロースト(2,800円)
URL:https://www.instagram.com/comodo_fukuoka
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