、「鳥次」「橙」「魔灯路場amber」「サークル」「して」といった人気店が目白押しの大手門商店街の筋、その中の一軒が2013年からこの場所で営業している手打ち蕎麦の店「出谷右衛門」です。
入口はビルの通路を入った奥まった場所にあり、看板や暖簾も出ていないのでうっかり見逃してしまいそうですが、「蕎麦前 出谷右衛門」と書かれた小さな木札が目印です。
店主の出谷一晴さんは、福岡市内の蕎麦屋で店長を務めた後、信州そばの本場・長野でも蕎麦打ちを勉強。開業時から「蕎麦前」を掲げ、手打ちの蕎麦に加えて「日本酒やワインと一緒に楽しんでほしい」とバリエーション豊かな酒肴を用意しています。夜のみの営業で蕎麦屋としては遅めの24時閉店なので、じっくり腰を据えて飲むも良し、ツルッと締めの蕎麦を食べるのも良しの一軒です。
蕎麦前の酒肴は定番から季節の食材を使った限定メニューまで、およそ20種類のバリエーション。辛口のキリッとした日本酒には、「たたみいわし」(700円)がよく合います。飲み物のラインアップは全国の蔵元から厳選した純米酒に自然派ワイン、手造り焼酎など、どれも造り手のこだわりが感じられるセレクトです。
揚げにコンテチーズを詰めて焼いたオリジナルメニューの「きつねコンテ」(900円)はワインと好相性ですが、醤油の風味が加えられているので日本酒と合わせてもGOOD! 思わず酒が進みそうなつまみが揃っています。
蕎麦は出谷さんが修業時代に惚れ込んだという茨城県産のブランド品種「常陸秋そば」一本で勝負。昼夜の気温差が大きい地域で栽培する生産者から製粉したものを直接仕入れ、粉の状態によって二八か一九で打っているそうです。
その真味が充分に味わえるのが「もりそば」(並950円)です。せいろに盛られた蕎麦はツヤツヤとした見た目で、やや平たい断面。箸でたぐって一口食べるとツルツルと滑らかな口あたりに喉ごしの良さが感じられました。
温かい蕎麦は、この時期に食べたくなる「鴨南」(1,650円)を注文。天然真昆布と枕崎産鰹節、原木しいたけなどでとった出汁に、じっくり焼いて脂を引き出した京鴨と焦げ目をつけた白ネギの香りがなんとも食欲をそそる一杯です。
噛むほどにじんわりと旨味が染み出してくる京鴨を食べ進めるうちに出汁にも鴨の脂が溶けだし、よりまろやかな味わいになった最後の一滴まで飲み干しました。
ちなみに、店名の「出谷右衛門」は、酒の仕入れ先である「とどろき酒店」の代表・轟木渡さんの命名によるものだとか。出谷さんのキャラクターが伝わってくるような、良いネーミングですね。
11月中旬には今年の新そばが入荷する予定で、その後1カ月ほどはこの時期だけの十割蕎麦が食べれられるとのことなので見逃せません。
また、「鴨すき鍋」(そば付き1人前1,200円)などの鍋メニューもあり、年末にかけては忘年会などの利用が増えることが予想されるので、電話で予約して行くのが確実です。
出谷右衛門(でやえもん)
福岡市中央区大手門3-1-15
092-725-1789
ジャンル:蕎麦
住所:福岡市中央区大手門3-1-15
電話番号:092-725-1789
営業時間:17:00~OS23:00
定休日:日曜
席数:カウンター4席、テーブル7席
個室:なし
メニュー:もり950円、月見せいろ1,250円、花巻1,150円、鴨南1,650円、板わさ700円、たたみいわし700円、きつねコンテ900円、鴨焼き1,200円、本日の天ぷら1,600円
URL:https://www.instagram.com/deyaemon/
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