佐賀平野に広がる別世界。色とりどりのバルーンが空や水面に映えていた。佐賀インターナショナルバルーンフェスタの朝はとても早い。午前7時からバルーンが一斉離陸するため、その美しい光景を一目見ようと九州を中心に全国各地から多くの人が訪れた。
今回、私はバルーンに乗るという貴重な体験をした。バルーンは車のハンドルのような自由に操縦できる装置はなく、バーナーを使って高度を調節する。水平方向の移動は、高さによって向きが変わる風をうまく捉えなければならない。そのシンプルな構造に少し恐怖を感じた。バーナーの火で頭上は少し熱かった。ただ、風に乗ってバルーンは進んでいくので、とても静かで風もほとんど感じなかった。上っていくうちに車や民家が徐々に小さく見え、広大な山々や平野を一望でき高揚してはしゃぎ声をあげた。
上空600メートル。近隣の山々よりも高く、薄く広がる雲の上に私たちはいた。ヘリコプターが同じ高さにいて、中に乗っていたパイロットの顔まではっきりと見えた。また、飛行機に乗っている時に感じる少し耳が聞こえなくなる感覚をバルーンでも経験した。童心に帰って興奮しながら楽しんだ。自分の目で見たバルーンからの絶景を私は一生忘れないだろう。
11月18日(土)毎日新聞掲載
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