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間借り営業を経て、店屋町に開業した石臼自家製粉の蕎麦店

UMAGA

UMAGAでもシリーズ「大人の社交場、個性あふれる福岡の蕎麦店」を連載していますが、最近の福岡は、一品料理に銘酒も楽しめる蕎麦店が増えています。そんな店がまた一軒、11月23日にオープンしました。

はかりめ店内

店名は「蕎麦と燗酒 はかりめ」。住所をたよりに訪ねると、博多旧市街の冷泉公園から程近い、飲食店が立ち並ぶ通り沿いの2階建てビルに着きました。階段を上ると、以前寿司店だったという店内はカウンター6席にテーブル6席とこぢんまりした作りで、営業日は木曜日から日曜日の週4日なのだとか。これ正に「知る人のみぞ知る穴場の名店」感に心が躍ります。

店主・綾部隆司さんは2021年8月から2年間、中央区六本松の蕎麦店「蕎麦切り かんべえ」を毎週日曜日限定で間借りして、「蕎麦 酒 綾部」の店名で営業されていました。そこで提供される酒にアテ、蕎麦がズバリ私の好みで、開店当初から少なくとも毎月1回は通っていました。今回、独立して自らの店舗を構えて開業されると聞き、居ても立っても居られず、プレオープン初日の10月29日に訪ねました。

はかりめ メニュー はかりめ メニュー

「先ずは蕎麦をどうぞ」との薦めに従いメニューを見ると、「かけそば1,000円」や「天ぷらそば」(1,700円)、「山芋そば」(1,500円)など温かい蕎麦と、「ざるそば」(1,000円)や「おろしそば」(1,500円)、「更科冷かけ」(1,300円)など冷たい蕎麦が、それぞれ6種類。まずは「ざるそば」を頂きたいと、海老と4種の季節野菜の天ぷらとセットになった「昼の膳」(1,700円)を注文しました。

はかりめ 昼の膳

シュッと麺線が通り少し緑がかった十割蕎麦は、見た目通りに爽やかに香る蕎麦の風味と軽やかな甘みが広がります。
「十割蕎麦は、茨城県の在来種『常陸秋』で打っています。昼夜の気温差が大きいことや水はけのよい傾斜地など、そばの栽培に適した条件が揃った土地で栽培されていて、香り、味わいともに優れていると思います」と綾部さん。十数種の蕎麦粉で試作を繰り返しました結果、「常陸秋」に落ち着いたそうです。

はかりめ香箱蟹

続いて「良いズワイガニが入荷しましたから」とすすめてくれた「香箱蟹」(2,200円)。料理が出てきたその瞬間、食欲そそるその美しい盛り付けに、思わず歓声を上げてしまいました。「北陸地方ではメスのズワイガニを『香箱蟹』と呼ぶんです。カニ1杯をまるまま捌いて、甲羅を皿代わりにして内子や蟹味噌、お腹や爪の肉を盛り、その上に脚肉を盛りつけました」と綾部さん。
綾部さんはメニュー作りのヒントを求めて全国各地を食べ歩いています。石川県金沢市の和食店で初めて香箱蟹を食べた時は「カニの味わいは勿論、なにより『食べやすいように』と食べる人を大切に思う料理作法に感動して、もう夢中で食べました」。

はかりめ 穴子白焼き

鳥取県を旅した時に出会ったという「穴子の白焼き」(1.500円)は、肉厚で脂ののった身はフワフワと甘く、カリッと焼き上げられた皮の香ばしさが更に身のあまみを際立たせます。穴子は細長い体に規則正しく白い点々模様があり、それが棒はかりの目のように見えることから『はかりめ』と呼ぶ地域があるのだとか。この料理を店の名物にしたいと考えた綾部さん、店名にも取り入れて「蕎麦と燗酒 はかりめ」としたそうです。

はかりめ 粗挽きそば

そして蕎麦でも、店の看板となる名物に育てたいと研究を続けている「粗挽き蕎麦」(1.200円)。玄蕎麦を、通常は使わない殻まで全てを挽きぐるみにした蕎麦粉で打った蕎麦は、ザクザクと踊る独特の食感と共に、蕎麦の風味が狂おしいほど豊かに薫ります。

はかりめ 石臼

綾部さんは開店に合わせて、蕎麦粉を自家製粉するために石臼を購入しました。粗挽き蕎麦を打つためには、粒子の大きさが異なる4種類の蕎麦粉がいるのですが、店で製粉すれば、いろんな品種の玄蕎麦から、製粉作業の進行段階ごとに4種類の蕎麦粉を、思う通りに取ることができるからです。「4種類の粉をどのような比率でブレンドして使うと良いのか? おそらく玄蕎麦の産地や品種でも大きく変わるのでは? 自分の理想を思う存分追い求めて行きます」と綾部さん。

はかりめ 日本酒

日本酒は燗酒に向く銘酒を全国各地から取り寄せています。温かい燗酒で蕎麦前を楽しみ、締めに冷たい蕎麦を手繰る。寒さが厳しくなるこれからの季節に、粋に蕎麦屋を楽しまれてはいかがでしょう。

はかりめ メニュー

蕎麦と燗酒 はかりめ
福岡市博多区店屋町3-1-2F
070-4132-4936

店舗名:蕎麦と燗酒 はかりめ
ジャンル:蕎麦
住所:福岡市博多区店屋町3-1-2F
電話番号:070-4132-4936
営業時間:木・金曜18:30~22:00、土・日曜11:30~22:00
定休日:月・火・水曜
席数:カウンター6席、テーブル6席
個室:なし
メニュー:ざるそば1.000円、かけそば1.000円、山芋そば1.500円、粗挽き蕎麦1,200円、昼の膳 天婦羅とお蕎麦のセット1,700円、香箱蟹2,200円、日本酒一合900円・半合500円、穴子の白焼き1,500円、
URL:https://www.instagram.com/sobatokanzakehakarime

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この記事を書いたひと

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