福岡が誇るフランス菓子の名店を紹介する企画、第2回は2015年のオープンとともに、福岡のスイーツ界に旋風を巻き起こした「パティスリー オー フィル ドゥ ジュール」(以下:オー フィル ドゥ ジュール)です。閑静な住宅街にあるブルーの外観はシックで、そこだけ“パリ”の空気感。本場のフランス菓子を求めて、朝から訪れる人の波が絶えません。
五つ星ホテルの美味しさを福岡で
店内に入ると、ショーケースに並ぶ端正でカラフル、アーティスティックなケーキたちに心が奪われます。“どんな味がするのか? 一体この中に何が閉じ込められているのか?”とワクワクします。
オーナーシェフの吉開雄資さんは福岡市出身。高校卒業後、左官職人として働いていましたが、自分がやりたいことを求めて上京。当初は料理人を志していたそうですが、働き始めたレストランで洋菓子に目覚め「銀座レカン」に入社しました。その後、恵比寿「Q.E.D.Club」でパティシエの板橋恒久氏に出会い、板橋氏が故郷・茨城で「アルチザン・パティシエ・イタバシ」を開業するタイミングでスタッフとして参加します。しかし、28歳の時に「フランスに行くのは今しかない!」と渡仏を決意。板橋氏にパリの五つ星ホテル「ル・ブリストル」のシェフパティシエ、故ローナン・ジャナン氏を紹介され、そこで日本人初のスーシェフになるまで上り詰めました。
「素晴らしい人たちとの出会いがあって今があります」と吉開シェフ。フランスのお菓子文化へのオマージュを大切にしつつ、自分のクリエイティビティを発揮する……、吉開シェフのお菓子からは職人としての矜持が感じられます。
シンプルで凛とした雰囲気を放つ「ティラミス」(615円)は吉開シェフにとって幼少期の記憶を紡ぐ特別な洋菓子です。「子どもの頃、当時ブームになったティラミスを食べてみたいとお小遣いの500円玉を握りしめて近所のイタリア料理店を訪れたんです。でも、店には大皿に盛られたティラミスしかなくて、諦めかけたその時、シェフが裏から小分けにしたティラミスを“500円でいいよ”と持ってきてくれたんです。あの時のティラミスの美味しさは忘れられませんね。自分で店を持つようになった時、うちにも“お兄ちゃんのために買いに来た”とお小遣いを握りしめた少年がやってきたので、ケーキを持たせたんですよ」と、吉開シェフ。なんと心温まるエピソード! きっとこの少年にとっても吉開シェフのようにこの日のことが一生忘れられないものになったのではないでしょうか。
「オー フィル ドゥ ジュール」を代表する商品はいくつもありますが、この秋ぜひ食べてほしいのが「モンブラン フレ」(842円)です。サクッと軽い口溶けのメレンゲを土台に、バニラのクリームを添え、フランス産マロンペースト、和栗を贅沢に使い、お客様に渡す直前にクリームを絞る逸品です。なんとその賞味期限は60分! 急いで持ち帰って食べると、一口頬張るたびに栗そのものの滋味深い味わいが優しく広がり、口福感に満たされます。
また、ギフトに大人気なのが「ビスキュイ モカドール」(5本入り2,700円)です。サクッと焼き上げた軽い食感のビスキュイに香り高いコーヒークリームをサンドした「モカドール」はコーヒーとの相性抜群。賞味期限も10日間あるので、遠方に贈る時も重宝します。
プチフールセック(小さな焼き菓子の詰め合わせ)の「レグランバニーユ」(2,970円)もギフトにふさわしい一品。ミルクチョコレートをコーティングしたサブレに香ばしくローストしたアーモンドをふんだんのせた「サブレアマンド」、ホワイトチョコレートをコーティングしたサブレにたっぷりのココナッツをまぶした「サブレココ」、芳ばしくローストしたピーカンナッツをキャラメリゼした「ペカン キャラメリゼ」、シシリー産ピスタチオのペーストを練り込んだ「サブレ ヴィエノワ」、吉開シェフオリジナルのミルキーな口当たりのメレンゲ「ムラング バニーユ」の5種が入り、それぞれの香りと食感を楽しめます。
これらの美味しいスイーツはどのようにして生まれてくるのか。吉開シェフは常に頭に情報をストックしているそうです。「日常にふと現れる意外性や創造性が、ある日突然パズルのピースがハマるようにカタチになっていくんです」。吉開シェフのスイーツをいただくことは、シェフが感じた楽しさや喜びを追体験すること。この貴重な体験を、みなさんもぜひお店に足を運んで体感してみてください。オンラインでの予約も可能なので、売り切れる前にリザーブしておくのもオススメです。
この記事は丸菱北部九州販売の提供でお届けしました。
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