万の魚が福を呼ぶ~長崎刺繍の煌めき~
2023年10月3日~長崎くんち「庭見せ」の日。
この日まで門外不出だった新しい衣装がお披露目されました。踊町のひとつ「万屋町」が発注した「長崎刺繍」の船頭衣装。
名前は「萬鯨招福(ばんげいしょうふく)」~万屋町の鯨が福を招く~
現在唯一の長崎刺繍職人・嘉勢照太さん(72)が手掛けたオリジナル衣装です。
町の演し物「鯨の潮吹き」にちなみ、大きなセミクジラを筋骨隆々の男たちが追う壮大な鯨獲りの物語を、艶やかな絹糸の組み合わせで描きだしたその衣装は、これまでの古典柄の長崎刺繍の概念を打ち破る前代未聞の一着。見た人達はみんな感嘆のため息…。
長崎刺繍は、江戸時代に唐人たちが伝えた「刺繍」の技が元祖です。
斬新さを追い求めるくんちの中で、より鮮やかに、より立体的に独自の進化を遂げ、いつしか「長崎刺繍」と呼ばれるようになりました。その中でも一級品と称される万屋町の傘鉾の垂れ「魚尽くし」(長崎市指定有形文化財)の全面新調を、嘉勢さんは50才の時から12年かけて担当。
躍動する刺繍の魚16種29匹すべてを、見事によみがえらせました。その腕をかわれ、実現した完全オリジナルの「萬鯨招福」。令和の職人が生み出した万の魚たちが、諏訪の舞台で煌めきます。
(制作:NBC長崎放送/古川 恵子)
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう