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照葉に降誕!世界基準に挑む、九州ガストロノミーのフレンチレストラン

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博多湾に浮かぶ人工島、アイランドシティの照葉は福岡でも特殊なエリアです。端正にデザインされた居住区は秩序と静寂に満ち、完成途上の未来都市のよう。そんな“何か”が始まりそうな場所にふさわしいフレンチレストランが、2023年11月にオープンしました。
かつて「オーグードュジュール メルヴェイユ博多」の料理長時代にミシュラン一つ星を獲得し、前衛的な料理でフーディーたちを唸らせた小岸明寛さんがオーナーシェフを務める「KOGISHI」です。

小岸店内 店舗より提供

KOGISHI個室1 KOGISHI個室2

都市高速を使うと意外に近く、天神から車で15分ほど。ランプを降りる直前に見えた、夕映えの街並みがなんとも幻想的です。

さて、到着し入店すると、そこは白とグレーを基調にした無垢な空間。円形テーブルに「クリストフル」の純銀カトラリーが輝く、無駄のない内装にもやはり“未来”を感じます。
個室も1部屋あり、そちらにはプラチナのショープレートや「クリストフル」の高級ライン「ジャルダン・エデン」を配置。より豪奢な舞台が整っていました。

KOGISHIシェフ

アイランドシティという立地に洗練を極めたインテリア。そこへ艶やかな料理が加わって、めくるめく“小岸劇場”は完成します。

「九州の大地を表現した料理を介し、フレンチの常識をアップデートするのが私の目標です」と柔和な笑顔で語る小岸さん。そのキャリアは華々しく、修業先は東京の「タイユバン・ロブション」をはじめ、フランスの「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」「ピエール・ガニェール」「ミシェル・ブラス」といった三つ星レストランに及びます。
さらにNY、モナコ、スペイン、スイスで研鑽し、「ななつ星in九州」にも料理を提供する実力者が独立に選んだ地はここ福岡。佐賀出身者としての九州愛と、「メルヴェイユ」時代に知った九州の豊かな食材が決め手だったそうです。

KOGISHIアミューズ2

そんなガストロノミーへの想いもこもる全9品のディナーコースは28,000~55,000円。福岡では高額ですが、少なくとも僕はそれだけの価値を感じました。今宵の28,000円コースで味わった感動が、かつてなく劇的だったからです。

その始まりを告げるのは、4皿の豪勢なアミューズ。左下は44℃で火入れしたサーモンのコンフィや、61℃で火入れした鶏胸肉のショーフロワなど、1℃単位の温度にこだわる5点盛り。隣の赤蕪のムースとじゃがいものガレット風は、思わぬエアリィな食感に不意をつかれました。左上は香味あふれる嬉野産「水田のチーズ」のグジェールで、右上は故郷のムツゴロウのパウダーを練り込んだチュイルです。

明らかにアミューズの概念を超えた力作は、見目麗しく、白一色の店内でくっきりと浮き立ちます。しかも器は海外のグランシェフも愛用する佐賀の「カマチ陶舗」製。その佇まいはモダンな工芸品そのものでした。

KOSIHI前菜

そして、もちろん「メルヴェイユ」時代に話題をさらった「ガルグイユ」も堂々登場。爽やかな高原の一部を切り取ったような前菜は、各々異なる味を入れた野菜や花を大皿に盛り、温かいソースで香りを立たせた百花繚乱のスペシャリテです。

仕込みに10時間はかけるという、使用食材や調味料はなんと80種以上! 素材の組み合わせにより無限の風味が生まれる面白さ。原初的な歓びを誘う澄んだ野趣。この優雅なご馳走こそ、「KOGISHI」最大のもてなしなのです。

これは元々ミシェル・ブラス氏のスペシャリテで、小岸さんは同氏直伝のレシピを九州産食材でパワフルに再構築。新たに「九州の大地」と名づけたこの一皿に、僕は完全に心を奪われました。この優美な体験の記憶は、何年経っても鮮やかに蘇りそうです。

小岸魚料理

これに続く魚料理も一筋縄ではいかない逸品。まずは5枚におろしたヒラメの間にホタテのムースとオマールの身を挟み、菜の花のシートで巻いた後47℃で蒸し焼きに。そこから生まれるソフトな歯触りは言葉にならない快さです。隣にはちりめんキャベツで巻いたヒラメも置かれ、食べ比べを楽しみました。

KOGISHI肉

宮崎産黒毛和牛のヒレ肉は、高温と低温で交互に火入れすること3時間。ヒラメと同様、繊細な温度調整が赤身に与えるセクシーな弾力が見事です。黒トリュフやバターを用い、冬らしく濃厚に仕上げたソースの風味も絶妙でした。

食事を終えた後も、芳醇な余韻と高ぶりはなかなか収まりません。小岸料理独自の、純度の高い贅沢さは九州屈指ではないでしょうか。
「フランスでは郊外に名店が多く、国内外からお客様がわざわざ足を運ぶのですが、ここもそんな世界に通じる存在にできたらと思います。福岡や九州の観光振興にも貢献できますからね」
聞けば、「評判の〈九州の大地〉が食べたい」と海外からの予約も入っており、その夢は早くも動き始めた模様。一度かかれば解けない魔法を持つ小岸さんの料理が、福岡グルメ地図をどう塗り替えるのか。アイランドシティで始まった挑戦の行方が本当に楽しみです。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

店舗名:KOGISHI
ジャンル:フランス料理
住所:〒813-0017 福岡県福岡市東区香椎照葉6丁目3-12 プライムメゾン照葉 クロススタイル WEST1F
電話番号:092-692-6666 前日までに要予約
営業時間:12:00一斉スタート/18:00または18:30一斉スタート
定休日:第1・3火曜、水曜
席数:テーブル14席
個室:1~6名
メニュー:ランチコース22,000円、ディナーコース28,000円・38,000円・55,000円 ※昼夜共サービス料10%
URL:https://kogishi.net/

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この記事を書いたひと

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