3月に入ると、 「ソメイヨシノの開花が一番早いのはどこか」がよく話題になります。早く開花したからといって何がある、というわけでもないのですが、桜が待ち遠しくそわそわしてしまいます。
1953年に気象台によるソメイヨシノの観測が始まって以来、開花一番乗りの回数が最も多いのは高知で、その数なんと18回。次ぐ福岡、熊本が8回なので、高知の独走状態です。
ただ、近年は少し状況が変わってきました。2001年以降、開花一番乗りの回数は、高知7回、福岡6回、東京5回。ここ数年は福岡が一気に高知に迫り、東京が「開花レース」に加わるようになったのです。
福岡や東京で急激に開花が早くなっているのは、温暖化や都市化の影響が大きいと考えられます。
ただ、桜の開花には暖かさに加え、冬の寒さも必要です。福岡より南の鹿児島では、暖かすぎるがゆえ、つぼみの目覚めが悪く、逆に開花が遅くなっているのです。さらに温暖化が進めば、つぼみのまま咲かなくなるとも言われています。
今年はどこが開花一番乗りになるのか大変楽しみではありますが、このまま気温が上がり続けると、「開花レース」どころか開花できなくなってしまうおそれさえあるのです。
横尾槙哉=RKB気象予報士・防災士
毎日新聞福岡版 2024年3月9日掲載
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう
関連ワード横尾槙哉