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ケータリング事業で「カフェ ソネス」が躍進中!その成功の秘訣を探る

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あの人気カフェが新たな道を切り拓く

食にまつわるサービスの一つに〈ケータリング〉があります。厳密な定義はないものの、顧客の元に出向いて食事を配膳・提供する……というのが一般的なイメージでしょうか。
各種パーティをはじめ、イベント、アウトドア、ビジネスなど利用範囲は多種多彩。欧米では多くの専門業者がしのぎを削るほど普及していますが、福岡では依然発展途上の分野と言えます。ならば、この市場を本格的に切り拓くのは誰なのか?

それは、薬院で「カフェ ソネス」と「イコネ」を営む木下雄貴さんでした。「ソネス」と言えば、かつてカフェブームを巻き起こし、福岡にカフェ文化を根付かせた立役者。そんなカフェ界の旗手が、今度はケータリングのパイオニアとして支持を集めているのです。その鮮やかな転身の経緯について伺ってみました。

ソネス代表

弁当の差し入れから生まれた“成長の芽”

まず現状を尋ねると「2023年は会社の売上の95%がケータリング、残り5%がカフェでした」と木下さん。すでに事業のシフトチェンジは完了し、競合も少ないため経営は順調のようです。「ケータリングを始めたきっかけは、15年ほど前、ミュージシャンの来福ライブの折にスタッフ用の弁当を頼まれたこと。それが好評で、各所から声が掛かるようになりました」
やがて注文はオードブルへも広がり、キッチンを別途設けるほど大忙しに。そこに成長の芽を見た木下さんは「ケータリング ソネス」を設立し、6年前に公式サイトを開設します。すると予見的中。それを機に、さらに多くの依頼が舞い込むのでした。

ソネス料理3 画像は店舗より提供

福岡というマーケットの可能性

その勢いを加速させたのは、皮肉にもコロナ禍だと木下さんは言います。「当時、カフェ経営の方は本当に大変でした。でも、同時に“店舗での食事にこだわらない”という流れができたのは大きかったですね」。加えて、成長都市・福岡にはモチベーションの高い企業が多いのも好材料だとか。「そうした企業では、パーティをやるにも独創的なものが求められており、僕たちの料理はそんなシーンでもお役に立てると思うんです」

その言葉どおり、テーブルを彩る艶やかな料理はハッと目を奪うものばかり。通常、ケータリング業者はメニュー内容を固定することが多いのですが、「ソネス」では必ず集まりの目的や参加者の年齢を聞き、その都度メニューを組み立てます。昨年手掛けたケータリングは、ホームパーティから大規模レセプションまで1,000件以上。「世界中で、今ここにしかないケータリング」をテーマに、真心こめて顧客と向き合う真摯さが成功に繋がったのでしょう。現在顧客の6割をリピーターが占めるのが、その証です。

ソネス料理2 画像は店舗より提供

店舗経営にはない難しさとは?

と、今後も成長が期待できるケータリング事業ですが、独特の難しさも付随します。「カフェで培った常識や経験はそのまま生かせません。冷めても味が落ちず、固くならず、変色しない料理を作るのに毎回苦労しますね。それに100人単位の注文に対応可能な人手やキッチン、運送・装飾用の機材も必要ですし、何より食中毒が出たらすべて水の泡。ウチではスタッフとディスカッションしながら、HACCPをもとに厳格な衛生環境を心がけています」

続けて木下さんの語ったことも印象的でした。「福岡でケータリングが発展するには、力のある店舗や業者が多い方が絶対に良いのですが、このように越えるべきハードルは高く、“テイクアウトの延長”といった安易な気持ちでは難しいとも思います。新規参入する方は、強い覚悟を持って入って来てほしいですね」

ソネス料理4 画像は店舗より提供

ケータリングがくれた新しい風景

かくして細かな努力を積み重ね、軌道に乗せたケータリングは木下さんにも新鮮な風景をもたらしました。「カフェだけでは出逢えなかった、いろんな方々と親交を結べるのがすごく嬉しくて」と目を輝かせます。
また「ななつ星in九州」の出発パーティでは朝食提供の大役を担ったり、今年5月には100坪以上の新店舗を福岡国際会議場内にオープンしたりといった胸躍る躍進も、ケータリング事業への評価あってこそでしょう。なお新店舗のキッチンはかなり広く、パーティー対応人数も現在の最大500名から2000名へと大幅拡充できるそうです。

さらに「ケータリング ソネス」を法人化したことで取引先が広がり、スタッフが長く安心して働ける環境整備も進行中。「いずれ九州の生産者や自治体とコラボして、ケータリングという形で各地の魅力を発信する」という夢も増えました。
「食を通じて街の発展に関われるのは大きな楽しみですね。そこから生まれる新しい何かに、僕らも刺激をもらえますから」と微笑む木下さん。「とにかくいつもワクワクする仕事がしていたい。その新しい扉を、ケータリングが開けてくれたんです」

「純粋に出会いや仕事を楽しもう」──そんな無垢な姿勢が、木下さんをパイオニアたらしめる理由かもしれません。これからの展開が楽しみな「ソネス」のケータリング。皆さんも会食の選択肢に加えてみませんか?

〈公式サイト〉
Catering SONES https://sones.cc/catering/

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この記事を書いたひと

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