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注文住宅だからできる!使いやすい造り付け収納の考え方・つくり方

注文住宅のこだわりポイントとして、収納は間取りや住宅設備とともに常に上位に挙がる項目です。最近はさまざまな収納家具があり、家族構成やライフスタイルに合わせて選ぶことができますが、物をすっきり片付けようと収納家具を増やすとそれだけ部屋が狭くなってしまうのが悩ましいですね。
そんな悩みを解消する方法のひとつが造り付け収納の活用です。

今回は、造り付け収納のメリットや計画する時の注意点、造り付け収納のおすすめ設置場所についてご紹介します。

新築時だからこそ検討したい!造り付け収納の4つのメリット

造り付け収納には、置き家具にないメリットがたくさんあります。注文住宅の設計段階からじっくり検討してより理想に近い間取りをつくるために、造り付け収納のメリットを4つご紹介します。

メリット1 空間を無駄なく利用できる

本体のサイズが決まっている置き家具だと、設置したスペースの左右や上部にデッドスペースができやすいですが、自由にサイズを決められる造り付け収納は幅や奥行き・高さを無駄なく活用できます。

スペースをしっかり活用するため収納力が高い上に、デッドスペースがないのでホコリがたまらず掃除がしやすいのも大きなメリットといえるでしょう。

メリット2 大きさや設置位置の調整が可能

造り付け収納は収納したいもののサイズや量にあわせて大きさを調整できるメリットがあります。加えて、住宅の施工と同時に取付を行うため設置位置も自由に決められます。

使う人の年齢や身長によってものの出し入れが楽な位置は変わりますから、置き家具よりも使いやすいです。リビングやキッチン、玄関など収納するものの数が多く使用頻度も高い場所には、造り付け収納を効果的に配置するのがおすすめですよ。

メリット3 地震が来たときに倒壊しにくい

下地補強した天井や壁に直接固定する造り付け収納は、家本体と一体化している分、地震の揺れで倒壊しにくいというメリットもあります。置き家具だと揺れの方向によっては勢いよく滑って衝突したり倒れたりするので、近くにいると怪我をする可能性が高いですが、造り付け収納はその危険性が低いです。

揺れの影響で扉が開き収納しているものが飛び出してこないよう、耐震ラッチをつけておくとさらに安心ですね。

メリット4 インテリアを統一しやすい

デザインや素材が個性的な置き家具はとても素敵ですが、部屋のインテリアにうまくなじませるようコーディネートするのは難しいものです。置き家具だが目立ちすぎて浮いて見えたり、テイストが微妙に違う複数の置き家具を並べて雑然とした印象になったりすることは珍しくありません。

造り付け収納は家の設計段階で計画するので、素材やカラーを部屋の内装材と合わせられます。すっきりとまとまりのあるインテリアに仕上げられるでしょう。

造り付け収納にはデメリットも!計画する時の注意点

さまざまなメリットがある造り付け収納ですが、計画段階でしっかり検討しておかないと「思っていたのと違った」という結果になることも。造り付け収納を計画する時に注意したいポイントを3つご紹介します。

設置後の移動や撤去が難しい

家と一体化した状態で設置されている造り付け収納は、天井や壁にしっかりと固定しているだけに設置した後の移動や撤去はしにくいです。一度設置してしまうと、置き家具のように気軽に移動することができません。

どうしても移動や撤去をしたい場合対応はできますが、天井や壁に残ったビス穴の補修が必要です。場合によっては壁紙を張り直すこともあり、かなり大掛かりな手間がかかると考えておきましょう。

コストが高くなりやすい

造り付け収納はいわばオーダー品で、希望の寸法やデザインで一から製作するため、既製品である置き家具と比較すると製作コストが高くなります。特に素材やデザイン、扉の取っ手や棚板など細かいパーツにもこだわって製作するとなると、職人の手間もそれだけかかるので材料費・製作費とも上がります。

注文住宅の場合、オプション扱いで追加費用が見積に上乗せされる可能性もあるため、予算とのバランスを見ながら計画しましょう。

完成するまで確認できない

造り付け収納は素材やサイズ、カラー、仕様などを自分で決めていくため完成品がありません。家具詳細図などの図面で完成した状態を想像するしかないため、計画段階での細かな確認は必須です。

使用する材料のサンプルを取り寄せて質感や色を確認する、幅や奥行き・高さが近い既製品でサイズ感をチェックする、内部の棚や仕切りなどのレイアウトが使いやすいか収納時のシミュレーションをしておくといったアクションは忘れずに。

あると便利!造り付け収納のおすすめ設置場所

最後に、造り付け収納を設置するとより使い勝手がいい場所をご紹介します。基本的に造り付け収納は家のどの場所でも使いやすいのですが、予算との兼ね合いで設置場所を絞り込みたいという方は収納計画の参考にしてみてください。

リビング

‐テレビボードやカウンターでこまごまとしたものをすっきり収納

家族が集まるリビングは、使用するアイテムが多いだけにものが散らかりやすい場所です。床から天井までのトール収納やテレビボードにもなるカウンター収納を造り付け収納として設置すると、こまごまとしたものを収納できてすっきりとしたインテリアに。
花やオブジェをディスプレイできるよう、一部分をオープン棚仕様にしておくとおしゃれな演出もできますね。

寝室や子ども部屋

‐壁面全体を利用したクローゼットで衣類をまとめて収納

最近はファミリークローゼットのように空間としての収納スペースを設けるケースが多いですが、それだけ居室スペースが狭くなることを考慮する必要があります。ライフスタイルによっては、寝室や子ども部屋にそれぞれ専用のクローゼットを設置して衣類やバッグ・帽子などの小物を個別にまとめて収納する方が使いやすいことも。
引き違い戸タイプのクローゼットなら、ドアの開閉スペースが不要でものの出し入れがスムーズです。

キッチン

‐アイレベルの造り付け収納で調理作業をスムーズに

キッチンでは、アイレベル(人が立った時の目の高さ)に収納があると食器や調理器具の出し入れがしやすく、効率的に調理作業を進められます。食器や調理器具は重さがある物が多いので、耐荷重を考慮して下地補強した壁に直接固定する造り付け収納がぴったり。
使う人の身長に合わせた設置位置で希望通りのサイズの収納スペースが確保できます。

玄関

‐家族分の靴や傘をしっかり収納できるサイズで収納力を発揮

限られたスペースで家族分の靴や傘などを収納するには、デッドスペースをつくらないよう希望サイズで製作した造り付けの玄関収納がおすすめです。土間部分から20cm前後浮かしたフロートタイプのデザインなら、圧迫感がなく掃き掃除もしやすいですね。
扉前面に鏡をつけておくと、自然光や照明の光を反射して玄関内が明るくなるメリットもありますよ。

まとめ

造り付け収納は、サイズや仕様を自由に決められる一方で「何をどのように収納したいのか」を明確に決めて製作・設置することが大切です。せっかくコストをかけるのですから、効率的な収納が実現できる造り付け収納を設置したいですね。

この記事を参考に、自分や家族のライフスタイルに合った収納計画を造り付け収納で叶えてくださいね。

WRITER
河野 由美子 二級建築士・インテリアコーディネーター・防災備蓄収納1級プランナー

住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手ハウスメーカーでの勤務を経て独立。 日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わっています。 建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、建築関連資格対策テキスト監修、工務店施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

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この記事を書いたひと

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