JR九州の人気観光列車「SL人吉」が、23日、最後の運行を迎えました。営業運転中のものとしては最も古い蒸気機関車で、多くの鉄道ファンが別れを惜しみました。
100年以上現役を続けてきた通称・ハチロク
蒸気を噴き出しながらゆっくりと博多駅に到着した機関車「SL人吉」。駅のホームには最後の姿を見届けようと多くの鉄道ファンが集まりました。客車を牽引する蒸気機関車は、1922年・大正11年製造の「8620形58654号機」で、通称・ハチロクと呼ばれています。1988年から「SLあそBOY」として運行し一度引退したものの運転再開を望む声が強く2009年に「SL人吉」として復活。熊本ー人吉間で運行していましたが2020年7月の豪雨災害で、肥薩線が不通となり、翌年から熊本~鳥栖間で運行を続けてきました。2020年には人気アニメ「鬼滅の刃」の映画に登場する蒸気機関車「無限列車」にちなみ、「無限」と書かれたプレートをつけて特別運行も実施。全国の鉄道ファンから愛された機関車でしたが、車両の老朽化が進み部品の調達や技術者の養成が困難となったため引退することとなりました。
「お疲れさまでした」36年間整備を担当した男性の思い
SLあそBOY時代から36年間、整備を担当してきた玉井明人さんは、数年に1回行うボイラーの交換作業が特に大変だったと振り返ります。
玉井明人さん「全般検査というものがあるんですが、その時にボイラーの煙管を当時、全109本取り替える作業なんですよね。その作業が一番きつかったですね。燃焼ガスが流れていく時にすすなどがこびりついていくんですよね。109本ある大煙管、小煙管を手で触っても汚れがつかないくらい光るくらい磨くんです」
出発前の点検では、ナットにゆるみがないか、車体をハンマーで叩いて確認します。
玉井明人さん「お疲れ様でしたという、もう一言なんですよね、よく頑張ってきたなっていう。私はボイラーをいかに長くもたせるかということで、一生懸命頑張ってきたんですけど、よくここまで持ってくれたかなっていう思いです。」
「ありがとう」ファンに見送られ101年の歴史に幕
「出発!ポー」迎えた最終運行、SL人吉は、別れを惜しむファンたちに見送られながら博多駅を出発しました。
ファンはー「迫力があった。101年の歴史があるので、そんな古い車体が走っていることにすごく心動かされました」
沿線の熊本市では、「いつかまたあいましょう!」と書かれた看板が設置され、住民たちが手を振って見送りました。
ファン「思い入れがいっぱいあるので。よかったです。最後見られて」
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