※今回ご紹介のお店
鉄なべ荒江 本店(荒江)
華風 福寿飯店(高取)
2024年に創立70周年を迎えた、“食の中村”こと「学校法人中村学園」。1954(昭和29)年に「福岡高等栄養学校」を開校したのがそのはじまりで、多くの料理人や食産業に携わる人材を輩出していることで有名です。
福岡の食を支える「中村学園」の卒業生
UMAGAでは学園創立70周年を記念し、卒業生が営む店、活躍する店を紹介する連載をスタート。シリーズ第2回目は、先代からの味や歴史を守り続ける餃子と中華の名店をご紹介します。
カリッじゅわっと絶品の餃子!
伝統の味を守る「鉄なべ荒江 本店」
最初にやって来たのは、福岡名物として知られる“鉄なべ餃子”の名店「鉄なべ荒江 本店」。餃子を焼くときに使用する木蓋のイラストと赤字の看板が目印です。広々とした店内には、厨房に面したカウンター席、昔ながらの角椅子を据えたテーブル席、小上がり席が用意されています。
鉄なべ餃子の発祥は、1958(昭和33)年の北九州市・折尾。そこで餃子作りを学んだ初代・二田寿子さんが、1962(昭和37)年に旧博多駅前で屋台を出店したのが「鉄なべ荒江 本店」のはじまりです。1970(昭和45)年には現在の地・荒江に移転し、店舗を開業。餃子はもちろん、一品料理の内容も創業時からほとんど変わっていません。ちなみに、共に折尾で餃子を学んだ妹の林チヅ子さんが創業したのが現在の「鉄なべ 中洲本店」、二田さん姉妹から屋台を譲り受けた親戚にあたるニ田信義さんが開業したのが「博多祇園 鉄なべ」なのだそうです。
「鉄なべ荒江 本店」の2代目女将であり、「中村学園大学・家政学部(現 栄養科学部)」卒業生の二田美紀さんが迎えてくれました。気さくな人柄と笑顔が魅力的な美紀さんは、6人の子をもつ母であり、お店の常連さんにとってもお母さん的存在。店を営む上での思いや喜びをこう話します。
「母ひとり子ひとりの生活だったこともあり、中学2年生の頃には“私が母を支えよう。中村で食の勉強をして店を継ごう”と決めていました。大学4年生時に夫と結婚し、卒業してからは母と夫と3人、今では息子、娘たちも加わって、みんなで味を守り続けています。4世代にわたって通ってくださる常連さん、私が学生時代から続けているバレーのメンバー、子供たちや孫のお友達家族も来てくれるし、中村学園の先生方には今でもお世話になっています。人の出会いや繋がり、縁はとても大切。いろんな人に助けられ、支えられて今があると感謝しています。みんなが愛してくれている味だからこそ、メニューも作り方も変えないようにしているんです。“おいしい!”と喜んでくれるお客さんの笑顔が何よりのやりがいですね」。
現在、厨房を任されているのは「中村学園三陽高等学校」卒業生で、3代目の長男・豊さん。早速、自慢の「餃子」(1人前9個605円・写真は3人前)を焼いていただきました。「鉄なべ荒江 本店」の餃子は、皮・餡・タレ・ラー油すべてが自家製。ネギ・ニラ・キャベツといった餡に使う具材のカットから、皮作りまで毎朝手作業で行っています。多めの油で揚げ焼きするように仕上げるため、表面はカリッサクッ! じゅわりと広がる国産豚肉や野菜の甘味がたまりません。「グラム数を書き出したようなレシピはなく、目と舌、感覚で覚えていくしかないんですよ」と美紀さん。まさに一子相伝の職人技ですね。福岡には数少ない「サッポロ パーフェクト黒ラベル」の認定店でもあるので、生ビールの口当たり、喉越しも最高です。
さらには一品料理も見逃せません。ホロっと身離れがいいのにしっとりとした「手羽先」(1本330円)は、創業以来の秘伝ダレで煮込んでいる名物の一つ。手羽先と言いながら手羽元もついているので食べ応え満点です。優しい甘味とキュウリの食感が絶妙な「ポテトサラダ」(550円)、特製のラー油に絡めたプリプリの「とり皮」(550円)、自家製ダレが決め手の「レバニラ」(660円)もクセになるおいしさ。「餃子定食」(1,210円)といったお得な定食もあり、家族連れで立ち寄りやすいのも魅力です。GWも休まず営業しているので、ぜひ出かけてみてくださいね。
※2024年5月6日(月祝)は営業。7日(火)は振替休日
不動の人気メニューは皿うどん!
福岡屈指の老舗「華風 福寿飯店」
続いて訪れたのは、西新エリアにある「華風 福寿飯店」。福岡出身の方ならご存知の方も多い、福岡屈指の老舗中国料理店です。古民家を改装した店内にはアンティーク調の家具を配し、テーブル席はゆったり広々。シックな雰囲気ながら、どこか懐かしさを感じさせるアットホームさもあり、家族連れでくつろげる居心地の良さを感じます。
まずはその歴史を振り返りましょう。「華風 福寿飯店」のルーツは1951(昭和26)年、博多区下川端町にオープンした「福寿飯店」にあります。叔父が営んでいたその店を手伝いながら大学を卒業した初代の李憲章さんが、1977(昭和52)年、早良区城西に立ち上げたのが「西新 福寿飯店」でした。2006年には「大名華風」として大名に移転。2011年には「華風 福寿飯店」と屋号を改め、2018年にはスタッフの高齢化と人手不足により一時クローズに。“必ず復活を!”というファンの声にも後押しされ、1年間の充電期間を経て2019年6月に現在の地へ移転、再オープンを果たしました。
笑顔で迎えてくれたのは「中村学園三陽高等学校」卒業生で2代目の李健豊さんと、姉で「中村学園女子高等学校」卒業生の杉野美恵さん。ちなみに、李さんと杉野さんを含めた社員6名中4名が「中村学園」の卒業生だそうですよ。
健豊さんが、大切にしていることや店を続けることの意義を話してくれました。
「“時代の風、中華の風にのって華を咲かせる”というのが『華風』という店名の由来です。大切なものはしっかりと残しながら、時には新しい風も取り入れる、そんな柔軟性も大切にしています。歴史ある店を守るのは容易いことではありませんが、こうして続けられているのは、力を尽くしてくれるスタッフとお客様のおかげです。当店には1977年の創業時から勤続している70代の調理師もおり、『華風 福寿飯店』の味を支えてくれています。4世代で通ってくださるお客様も多く、『やっぱりこの味。昔の記憶が蘇る』『この料理、父の大好物だったんです』といったお声をいただく度に、誇らしい気持ちになります。おいしい料理を提供するだけでなく、思い出の1ページを作ることができる、本当にやりがいのある仕事だと感じています」。
「華風 福寿飯店」の調理師は実力派揃いで、かつては中国料理のオリンピックとも呼ばれる「第7回中国料理世界大会」で金賞を受賞した日本代表チームのキャプテン・出田さんも在籍していました。現在、調理長として厨房に立つのは、前調理長や出田さんをはじめとした先輩調理師の元で腕を磨いた河野陸人さん。歴代調理師の薫陶を受け、代々その味が受け継がれています。
まずは、“これがソウルフード”という常連さんも多い創業時からの名物メニュー「福寿皿うどん」(1,200円)をいただきました。多めの油で揚げ焼きしたちゃんぽん麺は香ばしく、噛むとむっちりコシがあります。熱々の中華あんは香り良く、エビ・イカ・豚肉・野菜と具沢山で旨味たっぷり! ボリュームも満点で、不動の人気No.1というのも納得のおいしさです。
続いての「マーボー豆腐」(1,200円)も皿うどんに負けない人気メニュー。唐辛子など5種類の素材で作る自家製のラー油やネギ油、花山椒の豊かな香りがたまりません。この香りと滑らかな口当たり、甜麺醤や豆豉の深い旨味を引き出すには強火の扱いが何より重要だそうで、調理師の腕の良さが伝わります。
そのほか、丁寧な仕込みや包丁技が光る料理や点心、デザートまで、おすすめのメニューはまだまだたくさん。「大名時代に比べて減らしたものの、これはあの方が、こっちはあのご家族が……といった具合に、料理ごとに常連様の顔が浮かんでなかなか絞りきれないんですよね(笑)」と李さんは笑います。お得なランチメニューやコースも多彩に揃うので、ぜひお腹を空かせて出かけてくださいね。
※2024年5月6日(月・祝)は営業。
5月の定休日は、7日(火)、8日(水)、13日(月)、20日(月)、21日(火)、27日(月)
この記事は「学校法人中村学園」の提供でお届けしました。
ジャンル:餃子
住所:福岡市早良区荒江3-10-4
電話番号:092-841-1549
営業時間:17:00~フードOS23:00、ドリンクOS23:30
定休日:月曜
席数:カウンター10席、テーブル14席、座敷37席
個室:なし
メニュー:餃子1人前(9個)605円、手羽先1本330円、レバニラ660円、牛すじ煮込み605円、とり皮(特製ラー油)550円、ポテトサラダ550円、餃子定食・貝汁定食・豚汁定食・だご汁定食 各1,210円
URL:https://www.instagram.com/tetsunabe_arae
ジャンル:中華料理
住所:福岡市早良区高取1-17-18
電話番号:092-407-9191
営業時間:11:30~OS14:15/16:45~OS20:45
定休日:月曜、ほか月6回不定休あり
席数:テーブル約45席
メニュー:マーボー豆腐、福寿皿うどん、サンラー湯麺 各1,200円、百花腐皮巻(海老のユバ包み蒸し)2個660円、平日限定サービスランチ1,200円、土日祝ホリデーランチ1,760円、チョイスセット(2人用・ランチ5,500円~、ディナー6,900円~)
URL:https://www.instagram.com/kafu_fukujyuhanten
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