櫛田神社の参道沿いにある「はかた太志」は、このエリアに昔からある博多町屋の造りのようなお店です。博多町屋特有の狭い間口、扉を開くとカウンター6席とテーブル6席のコンパクトで細長い空間が現れます。
店主は、宗像市の沖合にある大島で漁師の家に生まれ育ったという福崎大志さん。料理人として経験を積んだ後、2014年に警固にお店をオープンし、2年後の2016年に現在の場所に移転しました。「僕は魚で育ったようなものだし、今も変わらず魚好きなんです」と、海鮮メインの和食店にした理由を話します。
魚介は信頼を置く市内の鮮魚店や「道の駅むなかた」で仕入れ、さらには大島や神湊の漁師から直接買い付けもしています。
魚も野菜も基本は旬のものを使うため、メニューは日替わりが主体です。特に魚は種類が多く、この日も品書きにはたくさんの刺身や魚料理が並んでいました。
私はオコゼが好きなんですが、今や高級魚でなかなか食べる機会がありません。それが刺身2,200円、唐揚げ1,320円、みそ汁に至っては748円! 勝手にオコゼ祭りを開こうかとも思いましたがいろいろ食べたい気持ちの方が勝り、まずは「刺盛」を注文しました。
「刺盛」は白身魚、青魚、赤身魚、そしてイカや貝類などひと通り味わえる内容になっています。6種類以上は盛るようにしているそうで、1人前1,980円から2,200円です。
この日は、宗像のオコゼ、水イカ、アコウ、福岡のイサキ、五島のサバ、長崎のマグロ、そして蒸しアワビの7種類(写真は2人前で1人前2,200円)。しかもオコゼは薄造りのほか身皮や胃袋の湯引きも盛られていました。どの魚も抜群の鮮度で弾力があり、それぞれの持ち味、甘味を存分に味わえます。
福崎さんは日本酒にも力を入れています。2品目は、日本酒に間違いなく合う「メヒカリ一夜干し」(2匹759円)をいただきました。メヒカリの丸干しは食べたことありますが、開きは初めて。聞くと自家製で、福崎さんが一匹ずつ開いて干したものだそうです。仕事が細かい……。
頭はコリコリ、身はふわっふわ。スダチの爽やかな風味とやさしい塩加減、メヒカリの旨味がじんわりと口の中に広がります。そしてやっぱり日本酒との相性は最高です。
旬の野菜も味わいたくて、次に「なすそぼろ煮」(827円)を頼みました。素揚げしたナスは柔らかくもしっかり歯応えが感じられる火の通り方で、噛むとじわっとナスの味が滲み出ます。カツオと昆布で引いた出汁と鶏のコクの煮汁と交わり、そのやさしい味と温かみでほっとした気分になりました。
この日は日本酒に合わせ3品を味わいましたが、肉料理、シメのご飯や麺もあれば、旬のおまかせコース7,700円(小鉢、お造り、焼き物、揚げ物、煮物、ご飯物、デザート)もあるので、次は食事を主体に楽しんでみるのも良さそうです。
カウンターメインの落ち着いた大人な空間で、料理とお酒をゆっくりと味わうひととき。福崎さんは割と寡黙な方ですが話しかけると丁寧に応えてくれるし、むしろこちらも自分たちのペースで過ごせます。一人酒を楽しむ常連客も多いというのが納得できる、美味しさと心地良さが両立するお店です。
はかた太志
福岡市博多区冷泉町6-2エスポワール祇園1F
092-271-7190
ジャンル:日本料理
住所:福岡市博多区冷泉町6-2エスポワール祇園1F
電話番号:092-271-7190
営業時間:17:00~OS22:00
定休日:不定
席数:カウンター6席、テーブル6席
個室:なし
メニュー:刺盛1,980円~、メヒカリ一夜干し(2匹・759円)、なすそぼろ煮827円、揚げだしとうふ550円、アカモクポン酢495円、みそ汁330円、アカモクそうめん660円、季節のおまかせコース7,700円
URL:https://www.instagram.com/hakata.taishi/
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