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今季初勝利のスチュワート投手にアメリカと日本の野球の違いを直撃!

2019年に来日したカーター・スチュワート・ジュニアは大学から直接日本のプロ野球に飛び込むことを決めた。日本でプレーすることに迷いはなかったのか。来日直後は日本球界に自分の足跡を残せるという期待感と、日本文化を存分に体験できるという興奮に満ちていた。
 

来日後は慣れない環境で苦しんだという。2021年4月17日にNPBデビューを果たしたが、勝ち星は挙げられず、翌年は1軍登板なし。来日5年目の2023年7月26日、オリックス戦で待望の初勝利を手にした。
この年、ホークスで3勝6敗、防御率3.38の成績を残し、2年の契約延長にサイン。

今年は5月11日のオリックス戦で6回1失点という好投で今季初勝利を挙げた。
そんなスチュワート・ジュニアに野球生活や、日本文化に慣れたかどうかについて尋ねた。

 

アン(インタビュアー):私のこと覚えていますか?2019年に初来日したときにキャッチボールしながらインタビューしたんだけど。

カーター:やあ、もちろん!あなただと思った。すぐにわかったよ。

アン:あのインタビューは私の人生で最高の思い出の1つでした。

カーター:そう言っていただけてとても嬉しいです。

アン:この4、5年について少しお聞きしてもいいですか?

カーター:もちろん、ぜひ話したい。

アン: ありがとうございます。まず、この数年でどのように成長したと思いますか?

カーター:長い旅だったね。19歳でこっちに来て、しばらく母と一緒に暮らしていた。でも、母がアメリカに帰った後は、僕はすべて自分でやらなければならなかった。初めての一人暮らしで、しかも海外だったから、最初の2~3年は、特に新型コロナのこともあって、ストレスが多かったと思う。だから、その数年間は大人になる方法を学んでいたんだ。今は日常生活に必要なことは全てできるようになったので、野球に集中できるようになった。そのおかげで、ストレスが少し軽減されたんだ。
 

アン:語学の勉強は進んでいますか?日本語は少し話せるようになりましたか?

カーター:頑張っているよ。ここ2年ほど、福岡で知り合った日本語の先生に教えてもらっている。先生は今アメリカに住んでいるので、週に1回ほどオンラインでレッスンを続けている。野球生活と日々の忙しさの合間を縫って、頑張っているんだ。チームメイトも助けてくれるし、僕はできるだけ日本語で話そうとしている。私の通訳者も素晴らしい人で、たくさん教えてくれる。日本語を学ぶプロセスを本当に楽しんでいるんだ。他の言語を学びたいとずっと思っていたし、僕にとって良い機会だと思う。だから、一歩一歩着実に頑張っていきたい。

アン:日本での生活はどうですか?文化や人々を楽しんでいますか?

カーター:日本はとても安全で、いいところだよ。特に福岡はいい街だ。大きさもちょうどいいし、みんながつながっている感じがする。みんなホークスファンだし。僕にとって住みやすい環境だ。家族や友人を案内して楽しい時間を過ごしてもらうにもいい場所だ。彼らがこっちに来ると、福岡の美しさに驚くんだ。
 

アン: そうでしょう!本当に素晴らしい街だよね。では、野球の話に戻りましょう。前回お話したとき、カーターさんは日本の野球がどれほど好きか、そして日本のプレースタイルを称賛していましたね。その後、日本の野球とアメリカの野球の違いを感じたことはありますか?

カーター:日本の野球をとても尊敬している。だけど、MLBのプレーとまったく違う。メジャーではホームランと三振が多いけど、日本ではバントなど、塁と塁をつなぐプレーが多く、アメリカで見られるようなホームランの連発は多くはない。野球のスタイルは違うが、私は日本の打撃スタイルと、彼らの緻密なやり方を尊敬している。もちろん、投手としてその打撃スタイルにはこの6年間それなりに悩まされていることはあるけど、尊敬してるよ。
日本の選手は自分の技術の向上に多くの労力と時間を費やし、信じられないほど勤勉だ。彼らは決して戦わずして倒れることはない。簡単にはあきらめないし、ステップアップする選手は皆、プランを持っていて、違いを生み出そうとしている。

アン:基礎に重点を置いているところが素晴らしいですよね。

カーター:そうだね、高校に入る前の若いうちから始めるんだから。でも、ひとつだけ悲しいのは、日本ではみんな野球というひとつのスポーツしかやらないこと。僕は子供の時からずっといろいろなスポーツをやっていた。いろいろなスポーツをやることで、野球もうまくなった気がする。日本でも、若い子たちがいろいろなスポーツに挑戦するのを見たいね。アメリカでは、みんな4つも5つもスポーツをやっている。それが普通だったね。

アン:そうだね。日本では、中学校と高校で1つのスポーツしかやらず、3年生になると受験に専念するために辞めてしまう学生も多いね。アメリカでは、3年生の時に、スカウトが一番多く来るので、絶対にやめませんよね。

カーター:そうだね。辞めることは絶対にないね。


アン:カーターさんの話に戻りますが、5月に今季初勝利を挙げましたね。あの試合のピッチングには満足していますか?
 

カーター:うん、かなりうまくいったと思うよ。まず、雰囲気の違うバファローズのスタジアムに慣れないといけなかった。 だから、早い段階でいくつか調整をしなければならなかった。でも、僕がチームメイトに勝利のチャンスを与えることができて嬉しかった。今、我々のラインアップはとてもパワフルだ。本当に好成績を出している9人だ。自分の役割は、ただマウンドに上がって、そしてチームが試合に勝つチャンスを与えることだと思っている。たとえ自分の調子がベストでなくても、彼らに勝つチャンスを与えたい。前回はそれができたと思う。
 

アン:では、今シーズン何か具体的な目標があるんですか?

カーター:10勝はしたいですね。個人的にはあまり勝ち星にはこだわらないけど、努力するための具体的なゴールがあった方がいいと思う。僕が本当にやりたいのは、試合に出て、1軍のチームに残り、チームメイトにチャンスを与えることだ。それが今の一番の目標だ。そしてもちろん、僕はこれからも向上し続け、より良くなり、先発登板のたびに何かを得たいと思っている。
 

アン:この5年間で選手として成長したと感じますか?

カーター:あぁ、以前の通訳者に、"19歳か20歳のときはホントにごめんね!"と言ったんだ。 僕は少し態度が悪かったし、なぜこんなことやらなきゃならない?って、疑問に思ってばかりいた。でも、日本で勝利を挙げるためにはやりたくないことでもやるしかないと学んだ。プロになるために、小さなことでも進んでやるようになった。
 

アン:あなたが10勝を挙げることを、私たちはみんな応援しています。今日は本当にありがとうございました。

カーター:ええ、もちろんです。私も感謝しています!
 

インタビュアー&ライター:アン・クレシーニ

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