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2024年版博多祇園山笠スケジュール&追い山笠見物おすすめスポット

博多の三大祭りのひとつである博多祇園山笠の季節がやってきます。7月1日から15日まで行われる、国指定の重要無形民俗文化財でもある伝統行事です。『櫛田入り』『コース』ともに所要時間を競う7月15日の「追い山笠」が有名ですが、行事期間は2週間あります。(実は1年間をかけて計画実行される行事。)
 

博多祇園山笠は、鎌倉時代に、承天寺の聖一国師が、夏の疫病対策に、祈願した聖水を施餓鬼棚に乗って撒いたことを起源とすると言われています。
 

今回は、この山笠行事のスケジュールと追い山笠見物のおすすめスポットをご紹介します。山笠ファンはもちろん、まだ山笠を観たことがない人も参考にしてみてくださいね!

博多祇園山笠スケジュール

7月1日 注連(しめ)下ろし

祭り初日の早朝に、舁き山笠の流区域を清める行事が行われます。町の若手などが笹竹を立て、注連縄を張り、櫛田神社の神官が祝詞を奏上し、期間中の安全を祈願します。恵比須流は、明治43年まで山笠行事が旧暦で実施されていたことから、今も6月1日に行っています。

7月1日 ご神(しん)入れ

山笠に神様を招き入れ、神格化する行事です。山笠は神聖な神様の依代となりますので、一般の人が触れることはできません。この日から一般公開される、商店街などに建つ「飾り山笠」が先行して執り行われます。舁き山笠のご神入れは6日または7日頃に行われます。

7月1日 当番町お汐井(しおい)とり


その年の各流の当番町が、石橋堂(博多区)から筥崎宮(東区)の箱崎浜まで約3キロを駆けていき、浜辺で汐井(真砂)を小さな升やテボ(竹ヒゴで編んだ器)に入れて持ち帰ります。
 

持ち帰った汐井(真砂)は、山笠につるしたり、玄関先に下げたりします。舁き手は山笠行事に出る前に、祭りで怪我をしないように身に振りかけ、お清めとして使います。

7月9日 全流お汐井とり

舁き手全員が揃うのでその光景は圧巻です。舁き山笠に参加する七流の男たち全員が、締め込み、法被姿で石橋堂から箱崎浜へ。各流は午後6時から7時過ぎに箱崎浜に到着し、沈む夕日に柏手を打ちながら安全を祈願します。そして帰り道には筥崎宮や櫛田神社を参拝します。


昔は博多部の浜で行っていましたが、明治以降の博多港開発で砂浜が消え、箱崎浜まで取りにいくようになったそうです。

7月10日 流舁き


それぞれの流区域内を舁き回ることからこの名前がついています。山小屋に納められていた舁き山笠が、それぞれの流区域内で走ります。舁き出しの時刻は午後4時から午後6時までで、各流によって異なります。コースも年によって変わります。この祭りは細い路地まで舁き入れるため、地域に深く根ざしたものであることが分かります。

7月11日 朝山笠

まだ薄暗い午前5時から6時にかけて行われる流舁きです。「祝儀山」とも呼ばれ、招かれた総代らは帷子(かたびら)に角帯を締め、台上りでは白麻の半纏(はんてん)を着用するのが慣例です。また、この日だけ、当番町の子供たちも山笠の「杉壁」内に乗せてもらえます。

 

追善山

この1年に亡くなった山笠功労者に対して、自宅前に山笠を舁き入れ、感謝を伝え、冥福を祈る習わしです。遺影の正面に山笠をピタリとつけ、静寂の中舁き手たちが「博多祝い唄」を唱和し、手一本を入れます。山笠が神事であるという重みを感じることができる行事です。

7月11日 他流(たながれ)舁き


自分たちの流の区域外に出て山笠を舁くことから他流舁きと呼ばれています。本来は、ほかの流の当番町への表敬訪問の意味があったそうです。この日だけ、舁き手たちは1日に2回舁きます。また、一部の流では、翌日の追い山笠ならしに向けて、櫛田神社の清道を回る「櫛田入り」の練習も行われます。

7月12日 追い山笠ならし 午後3時59分

フィナーレ「追い山笠」よりも1キロ短い約4キロを駆け抜ける、追い山笠に向けた予行練習です。一番山笠から順に、「櫛田入り」し、奈良屋町角の廻り止め(ゴール)までのコースを全力で舁きます。一番山笠は、「追い山笠」同様に「櫛田入り」の際に山笠を止めて「博多祝い唄」を歌うことが許されています。「櫛田入り」とコースは、所要時間も計測されます。

7月13日 集団山笠見せ 午後3時30分

商人の町、博多で生まれた山笠が、祭り期間中に一度だけ城下町・福岡に舁き入れる行事です。福岡市から観光客のためにとの要請で、昭和37年から始まりました。最初は昭和通りで行われていましたが、昭和58年からは明治通りの呉服町交差点から天神(福岡市役所)までの約1.3kmが「舞台」となりました。この日だけは知名士が台上に登り、各流の総務とともに舁き手を鼓舞する役割を果たします。

7月14日 流舁き

流区域内を山笠が舁ける、翌日の追い山笠に向けて調整する最後の機会となります。また、追い山笠では、経験豊かな若手やベテランの舁き手が交代で山笠に参加するので、若手や参加したばかりの舁き手にとっては、棒につける最後のチャンスです。また、一部の流では「櫛田入り」の練習も行われます。

7月15日 追い山笠 午前4時59分


午前4時59分、一番山笠が櫛田神社の清道に走り込み、清道旗を回ったところで山笠を止め、「博多祝い唄」を合唱します。午前5時5分には、二番山笠が続き5分毎に舁き出します。
 


「櫛田入り」の後、境内を出て須崎町の廻り止め(ゴール)を目指しますが、旧博多部に設けられた約5kmの「追い山笠コース」は、昔ながらの狭い路地や急角度に折れるカーブなどがあり、難所が多いと言われています。「櫛田入り」と「コース」の所要時間も計測され、櫛田神社の能舞台では午前6時から、荒ぶる神様に捧げる鎮めの能が演じられます。
 

ちなみに、もともと山笠は櫛田神社に奉納された後、町を穏やかに担いで廻っていましたが、江戸初期(1687年)の正月に、堅町(現・恵比須流)の婿が、嫁の里の土居町(現・土居流)で、酔った土居町の若者に余興で桶をかぶせられるなどしてケンカになり、その年の夏の山笠で堅町の山笠が追い抜こうと走り出し、驚いた土居町も慌てて走り出したことをきっかけに、時間を競うようになったそうです。

追い山笠見物ガイド&おすすめスポット

早めに現地到着しよう

山笠のために、福岡市営地下鉄など臨時列車が走りますが、山笠を観るために集まった人たちで混雑し、駅も道も大混雑しますので時間には余裕をもって櫛田神社に向かいましょう。昨年から地下鉄七隈線「櫛田神社駅前」が開通したので、地下鉄移動がおすすめです。

コースをたどって見学する


「櫛田神社一帯」、「東長寺前」、「承天寺前」、「東町筋」、「大博通り」、「西町筋」、「須崎町廻り止め一帯」をめぐりながら、お気に入りスポットを探すのもおすすめです。七流あるので、一番山笠が櫛田神社を出てからコースをたどっても、後から続く山笠を各ポイントで見学できます。

櫛田神社一帯


舁き山笠が次々に櫛田入りし、境内の清道を廻ります。土居通りには七流の舁き山笠と飾り山笠の上川端通が一列に並びます。

東長寺前


2つ目の「清道(旗)」があり、山門前で住職が出迎え、各舁き山笠の台上がりも拝礼して清道を廻ります。飾り山笠・上川端通はここまで。

承天寺前

3つ目の「清道(旗)」がある博多山笠発祥の地。ここでも老師が出迎え、山笠が清道を廻る際に聖水を撒きます。台上がりは拝礼します。

東流筋

承天寺から、博多の町につくられた縦筋のひとつ“東町筋”を一気に浜に向かって下ります。電柱もあり、慎重に山笠を舁かなければなりませんが、昔の山笠を思い出させる展開もあり、急魚町の下り坂は玄人好みのスポットといわれています。

大博通り


元呉服町筋。博多の有名な通りで、戦前から戦後にかけて拡幅された通りで、歩道も広いので、子ども連れや山笠初体験の観光客の人たちも安心して見ることができます。ただ、その分混雑するので、自転車やベビーカーは控えた方がよさそう。

西町筋

 

とにかく道幅が狭い!特に冷泉町周辺は狭く、電線も多いのでどの流も慎重に担ぐ。広い大博通りと違って、目の前を通る山笠を一番間近に見ることができるので、山笠の迫力を存分に感じることができるスポット。

須崎町の廻り止め一帯


5分ごとに舁き出した各山笠が、5キロのコースを走り廻り止め(ゴール)に向かって直線で加速します。所要時間を計測していることもあって、掛け声にも力が入り舁き手のエネルギーを一番に感じられるスポット。走り終えた舁き手の達成感溢れる表情を見ることができます。

山笠が終わってからのみどころスポット

山笠崩し(山笠解き)


山笠を当番町まで舁いていき、山笠人形を舁き手たちが豪快に壊す伝統行事「山笠崩し」を行っているのは現在、西流のみ。山笠の飾り物や人形の一部を無病息災の縁起物として持ち帰る為に、「博多祝い唄(うた)(祝いめでた)」を歌い、博多手一本を入れた後、次々と若手が山笠を壊していきます。山笠崩しを楽しみにしている見物客も。運が良ければ飾り物の一部をもらえることもあります。

石村萬盛堂の祇園饅頭

山笠のゴールである須崎町の廻り止めのすぐ横にある石村萬盛堂本店は、店舗内は櫛田神社による山笠のタイム計測場として利用されています。7月1日(月)~15日(月)まで店頭販売されていますが、廻り止めで山笠を観終えた直後に、本店で祇園饅頭を購入しお土産にする人も多いようです。ほんのりと酒かすの風味が香る、甘さ控えめのこし餡を包んだ上品な味で、博多祇園山笠という神事を観終えたお土産にピッタリです。

博多祇園山笠見どころまとめ


博多祇園山笠は、7月1日(9日)のお汐井取りから始まり、15日の「追い山笠」でクライマックスをむかえます。早朝から人々が集う追い山笠はもちろんですが、これから始まる山笠行事で怪我をしないように安全を祈願して身体にふりかける「お汐井取り」から「流れ舁き」、「他流れ舁き」、「朝山笠」、「集団山笠見せ」、「追い山笠ならし」など、二週間山笠行事を追いかけるのもおすすめです。
 


博多の総鎮守櫛田神社へ奉納される夏祭りである博多祇園山笠。期間中の人出は約300万人とも言われる日本を代表する祭りのひとつです。博多の夏の風物詩「博多祇園山笠」で夏の訪れを感じてくださいね!
 

※参考文献:西日本新聞社・福岡市博物館『博多祇園山笠大全』西日本新聞社(2013)/半田隆夫・堂前亮平『福岡県謎解き散歩』新人物往来社(2011)/「福岡検定」実行委員会『福岡博覧』有限会社海鳥社(2013)

PR:勇壮!博多祇園山笠2024

7月15日(月・祝) 早朝3時55分 
博多に夏を告げる祭り博多祇園山笠、そのフィナーレ「追い山笠」を生中継。ゲストにタレントの朝日奈央を迎え、迫力溢れる映像で祭りの息吹を余すところなくお伝えします。

*BS-TBSは早朝4時30分
*「勇壮!博多祇園山笠2024ダイジェスト」は同日ごご3時40分放送

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この記事を書いたひと

山内亜紀子

福岡の情報誌とWEBメディアにて編集・ライターを勤めた後、現在フリーの広報、ライターとして主に映画、グルメ、旅行、イベント等のコラムを執筆中。