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世界一の靴磨き職人・西上悦弘さんに学んだ革靴を長持ちさせる極意

5月4日にロンドンで開催された靴磨き世界大会2024で世界一に輝いた、西上悦弘さん(32)の工房を、RKBラジオのキャスタードライバー・スナッピーが訪問。6月26日のRKBラジオ『Toi toi toi』で、その卓越した技術を紹介しました。(報告・スナッピー神谷留菜)

 

西上さんが仲間と共に切り盛りしているのは福岡市中央区の靴磨き専門店「Boston&Re Olds」。靴磨き職人として11年目という西上さんは「靴を大切にしている素敵なお客様のために、自分自身も身だしなみには人一倍、気を遣っていきたい」と常にスーツ姿で接客しています。

 

店内には、今年5月の世界大会で優勝したときのメダルと、そのときに磨かれた革靴が飾られています。見てビックリ、つま先部分がピッカーン! 覗き込むと顔が写ってしまうくらい、鏡のように輝いています。

 

世界大会では、予選の写真審査を通過したたった3名が、開催地のロンドンで靴を磨きます。全く同じ新品の革靴の片足だけを20分間磨き、仕上がりの美しさを競いました。

西上さんは今回、2回目の挑戦。「長年のお客様に、やっと世界一の誇りを持って靴を磨いて恩返しができます」と笑顔をこぼしていました。

 

そんな西上さんに、世界一の靴磨きの極意を教わります。磨く靴はRKBラジオ『Toi toi toi』Sディレクターの黒い革靴。4年前に購入したコールハーンの革靴は白い泥汚れが目立ち、見るからに磨きがいがありそう(笑)右足を西上さん、左足をスナッピー神谷が磨きます。

 

靴磨きはブラッシングとワックスがけ、そして磨きの3ステップ。西上さんによると、この中で特に大切なのが、最初のブラッシングとのこと。靴の上をほうきで菷くように、優しくブラシを当てるのがコツです。この作業をするだけでも、靴のくすみが取れ、本来の革の黒い色味がより濃く感じるようになりました!

次に、色が抜けて薄くなっている部分に黒いクリームで補色しながら、輝かせたいつま先の部分には重点的にワックスを塗り込みます。

最後はガーゼ布を指に巻いて、ひたすら磨きます。始める前は靴の汚れを落とすために力を込めてゴシゴシするイメージでしたが、西上さんは「指先を使って力加減を調節し、革の流れを感じながら行うことが大切」とコツを教えてくれました。また「皮革は、肌のお手入れをすることに似ているんですよ」とも。

たしかに、靴磨きに使用するクリームやワックスは、ミツロウやシアバターなど、天然由来の優しい成分でてきています。まさにお肌を手入れするように繊細なものなのだと感じました。

出来上がりを比べてみると…

 

輝きの鋭さが違います! さらに最も大きな違いは、全体のバランス。西上さんの磨いた右足の靴は、つま先から後方にかけて、磨きが綺麗なグラデーションとなり、自然な仕上がりになっています。「ただ闇雲に磨くのではなく、最後の仕上がりをイメージしながら」磨いているそうです。

 

丁寧に手入れをすれば10年以上、長ければ20年も持つという革靴。梅雨の時期は湿気が溜まりやすいので、靴箱の扉を開けたり靴を立てかけたりして、靴底を空気にさらすと良いそうです。また、1度履いたらその靴は最低でも2日は休めるのが、長持ちさせる秘訣だそうです。

西上さんから靴磨きを通して、ものを大切にする紳士の心意気を学びました。ありがとうございました。

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神谷 留菜

スナッピー

出身地:沖縄県那覇市 誕生日:8月23日 趣味・特技 カラオケ、一人旅、スパイスカレー屋さん巡り、小倉祇園太鼓