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ハイラックスの最新モデル Z“Revo ROCCO Edition”の感想でございます

私にはあの黒いハイラックスが眩しく輝いて見えた

私にとって「映画とクルマ」といえば、真っ先にバック・トゥ・ザ・フューチャーのあのクルマが頭に浮かぶ。
デロリアン?
チッチッチ。違いますぜ。物語のラストでマーティ・マクフライが手に入れたアレです。

そう、ハイラックス。
ハリウッド映画に日本車が憧れの対象として出てきたのも嬉しかったし、なによりマーティと同世代の私にはあの黒いハイラックスが眩しく輝いて見えた。劇中で「ドリームカー」と呼ばれていただけあって、我々当時のティーンエイジャーからするとデートもキャンプもこなせるまさに夢の一台なのであった。映画の影響なのか、その後、街ゆくハイラックスをよく見かけたもんだ。

それから月日は流れ、かつて英国BBCで絶大なる人気を誇ったTop Gearでハイラックスが特集された。
テーマは、「本当にハイラックスは不死身なのか?」
使われたのは4代目ハイラックス。
番組の司会者である英国の三馬鹿トリオは、ハイラックスを海に沈めたり、放火したり、屋上に置いてビルごと爆破したり、数々の壮大な実験を行った。そのたびにハイラックスは簡単な整備だけで蘇り、辛口で評判のジェレミー・クラークソンを感動させたのであった。この番組によって、ハイラックスは不死身であると世界中のクルマ好きの共通認識となったのだ。


ハイラックスの最新モデル、“Revo ROCCO Edition”

前置きがとても長くなりましたが、今回はそんなハイラックスの最新モデル、2024年6月に発売されたZ“Revo ROCCO Edition”の感想でございます。

ハイラックス

ROCCOとはタイ国内でオフロード仕様として発売されたハイラックスのグレードで、どでかいオーバーフェンダーや迫力のあるフロントグリルなどが特徴だ。
いやあ、あらためて見るとハイラックスもずいぶん巨大になったもんだ。車重2.1トン、全幅1.9メートル、全長5.3メートル。なかなかの迫力である。

ハイラックス

それでは乗り込もう。
ドラポジは乗用車ライクであり、足を伸ばすようにペダル類を操作できる。これはいいね。見晴らしがよく、スクエアなボンネットで見切りも良好だ。

ハイラックス

さて、ギアをDに入れてアクセルを踏む。
おっ!
トヨタ謹製2.4リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンが非常に優秀で、スタートダッシュでは低回転で強大なトルクを生み出し、まるでライトウエイトスポーツカーのように気分良く前へ進む。やるじゃないか。

ハイラックス

それにディーゼル特有のカラカラ音が車内にまったく届かない。高速道路では、もうあなた、ノーストレスですよ。どの速度域でも思った通りの加速をしてくれる。ホイールベースが長いこともプラスに働き、長距離を走っても疲れ知らずでクルージングを満喫できる。時代を感じるのが、運転支援システムがハイラックスにも搭載されているところだ。レーダークルーズコントロールやレーンディパーチャーアラート(車線逸脱防止装置)がついておるので、安全対策もイマドキだ。渋滞中は先行車に勝手について行ってくれるので、とても楽だ。

ハイラックス

ただし、こいつのレーンディパーチャーアラートは高速道の分岐線をたまに勘違いし、まっすぐ走るべき状況で誤って作動することもあったので今後の課題だ。予期せぬところでハンドルが勝手に動くのは恐怖だ。ハイラックス乗りならこんな機能はオフにするだろうけど。
今回、悪路走行はナシなので、高速道路の次は峠道に向かう。実際、悪路よりもそこにたどり着くまでの高速道路や峠道などの走行が長くなるから、多くの人たちの参考になるはずだ。もはや地球の重力は、ハイラックスを引き留めることはできない。急な上り坂でもトルクフルなエンジンのおかげですいすいと登っていく。

圧巻は下り坂のコーナーリンクだ。コーナー手前で車重をかけるためにギアを落とした際、感動のあまり鳥肌が立ったのだ。変速ショックを一切感じない極めてスムーズなシフトダウン。まるで熟練のMT乗りのようだ!こりゃなにか特別な仕掛けがあるに違いないと思って調べたら、ブリッピングダウンアシスト制御が採用されていた。コンピュータがエンジン回転を調整し、できるだけ変速ショックのないようにシフトダウンができるという仕組みだ。ハイラックスも未来のクルマになったのね。

さて。足回りは、前輪は高級乗用車にも使われるダブルウィッシュボーン方式。後輪は車軸式半楕円リーフスプリング(いわゆる板バネ)。タフな悪路走行と日常ユースでの快適な乗り心地が両立できる味つけになっている。へらへらと走っていて、路面状況で車体が跳ねると「あ、忘れてた。こいつはトラックだったわ」と思わず笑ってしまうほどだ。



ハイラックス ハイラックス

そう。ハイラックスはトラックなのである。それでも乗り味は乗用車チックというのがトヨタの凄さ。
6速ATの味付けも悪くない。シーケンシャルモードでMT車のように1速ずつシフトチェンジすることが可能で、状況に合わせてハイラックスの出力を思いのままに操ることができる。

ハイラックス

豪華装備として、パノラミックビューモニターが搭載され、360°全周をナビ画面を通してチェックすることができる。まるでZガンダムのコクピットみたいだ。これなら狭い林道や住宅地でも周囲を確認しながら進むことができる。悪路走破に関するシステムはランドクルーザーやFJクルーザーと同等である。よそのクルマが立ち往生する場所でもランクルファミリーと同様に生きて帰ることができる。ハイラックスが世界最強のトラックたるゆえんである。

唯一の弱点は5.1メートルという長さゆえ、都市部のコインパーキングからはみ出てしまうことだ。それは都会人にとって致命的な弱点になるかもしれない。全長5メートルを超えるハイラックスや三菱トライトンは都会の日常では停められる場所に制限が入るのは確実だ。ハイラックスより車幅のあるFJクルーザー乗りの私が厳しいと言うんだから説得力があるだろう(FJは全長4.6メートルなので辛うじて駐車枠に収まる)。
なので、ハイラックスやトライトンを「普段の街乗りでも快適!」なんて書く自動車ライターは信用してはならぬ。いい加減な提灯記事を書くやつだと思って間違いない。

それでも都会を颯爽と走るハイラックスオーナーには、愛すべきクルマバカとして尊敬の念を抱く。都会でも乗り抜く覚悟は格好いい。

実際、こいつは操って愉しいし、私みたいな野遊びも走りも楽しみたい人間には最強の相棒になるだろう。ミーハーの素人がランクル70に手を出せても、ハイラックスには手を出せまい。乗り手を選ぶという点でもハイラックスは間違いなく所有欲を満たしてくれる一台だ。

以上が私のレポートだが、こいつから降りるのが名残惜しいので、もう少し走りまわるとする。もちろんヒューイルースアンドザニュースの「パワーオブラブ」を流しながら。




ハイラックス

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